見出し画像

30歳で自分の市場価値を確認して驚愕。そこから自己ブランディングをスタート

僕が独立した理由-紀藤 康行さん-
経営者でファンも多い『7つの習慣』の研修会社から独立し、人材育成や企業研修をしている紀藤さん。好きな言葉はスティーブ・ジョブズの言葉。
If today were the last day of my life,
would I want to do what I am about to do today?
「床の間の天井にはりつけてある」のだそう。常に今日が最後の日ならと考えて生きる。じつは、もっとも大事なことなんじゃないでしょうか。紀藤さんは毎日メルマガを配信し続けるという偉業を5年以上も続けています。後悔しない人生を送るために、今やるべきことを考えさせらるお話です。

2019年夏、”いわみんプロジェクト”として、社長や起業家、独立して活動している方を対象に100人インタビューを実施しました。彼らがどんな想いで起業し、会社を経営しているのか? その中での葛藤や喜び、そして未来に向けて。熱い想いをたくさんの人に伝えたいと思っています。

画像1

紀藤 康行(きとう やすゆき)さん

㈱カレッジ 代表
愛知県岡崎市出身
北九州市立大学 文学部人間関係学科卒業。大手外食企業にて新規業態の立ち上げに関わった後、人材コンサルティング会社を経て、フランクリン・コヴィー・ジャパンで企業の人材育成に携わる。500社3000名以上が読むビジネス系メルマガカレッジサプリ(旧 未来習慣)を365日日刊にて配信。“組織と人の可能性を引き出す”ことをテーマに活動中。

クラスのリーダー格の子にくっついている
金魚のふんみたいな小学生時代でした

 小学校に入る前はバスの運転手が夢でした(笑)。記憶にはないのですが、書いた絵が残っていました。その後、小学校高学年になると、父がしていた設計の仕事の影響を受けて、ものづくり関係の仕事にあこがれるように。高2までは動物好きから獣医など、基本は理系職業を考えていたのですが、数学についていけなくなり、その一方で、哲学や心理学にハマって「カウンセラーになりたい」と思うようになりました。
 僕は身長も低く、運動もできなかったので、おもしろいことを言ってクラスを盛り上げたり、スポーツ万能だったりするクラスのリーダー格の子たちのようにはどうしてもなれず、常に彼らにくっついている、金魚のフンみたいな幼少期だったと記憶しています。そんな自分に対してのコンプレックスから、心理学や人間関係について興味をもつようになったのだと思います。

画像2

 大学は人間関係学部のある九州の大学へ進みました。大学時代のバイト先の店長から、いわゆるパワハラで殴られ、あごを骨折するという事件がありました。暴力に屈した自分が許せず、本気で強くなりたいと思い、友人の紹介でボクシング部へ入部しました。その時は、めちゃくちゃ練習しました。
 その後、大会に出場し、小さな試合ですが一応、準優勝になり、そのプロセスを通じて少しだけ自分に自信を持てるようになりました。哲学などの影響もあり、自分の存在意義を見出すことに気持ちが向かっていきました。大学4年の時、父がタイへ赴任していたタイミングでタイとカンボジアをひとり旅し、北海道から九州までヒッチハイク日本縦断もしました。人とはちょっと違うことをしたり、自分の内面を見つめることをしていた時期です。

 卒論テーマは『ビジネス界とスポーツ界の成功者の共通点は何か?』だったのですが、成功者や成功するヒケツというものに興味がを強く持っていました。そのときに書店で出会った『7つの習慣』には衝撃を受けました。当時さまざまな本を読んで考えているようなことが、より詳細にまとめられて書かれていたからです。

画像4

自分探しをしていた学生時代。紀藤さんは、上に立てる子や強い人、成功している人へのあこがれを持ちつつ、自分にできることを探っていきます。常に自分のことを内省したり、他者との関係を考察し続けてきた紀藤さんらしく、このあとはユニークな観点で現実を見極めながら、自分のやりたい方向へ進んでいきます。

いくつかの会社を経た20代。
30歳になり、自分を見つめ直した結果。。。

 就職先は、当時成功者として有名だった社長のいるところで働きたいという一心で、某飲食チェーンに入社しました。ただ、いわゆるブラックな労働条件と、人間関係のもめごと対応の日々に心身を病み、1年半で退社することに。しばらくコールセンターで働くも、そのころ体調不全が続き、入院や手術をすることも重なり療養期間となりました。

 その後、24歳で、人材採用のコンサルティングを行っている会社に営業として就職しました。先輩や上司に恵まれ、日々叱られつつも鍛えてもらい、少しずつ成果が出るようになり、最終的にはトップクラスの営業成績を収めることができました。5~6年働いて30歳で結婚するのですが、そのタイミングで「今後の人生はどうしていきたいのか?」「このままで満足なのだろうか?」という疑問がわいてきました。ある時、思い立って、自社の転職市場の検索サービス(リクナビNEXT)で自分の市場価値を測ってみました。

画像3

 自分の現状のスキル、【法人営業、30代、東京】で、入力して検索してみると、数万人くらい同レベルの人間がいることがわかりました。しかし、例えば、そこにTOEIC800点を加えると2000人、TOEIC900点だと150人というようなイメージで絞られていきました。つまり、自分の持つスキルや経験に何かを掛け合わせて、市場価値を高める必要があることを理解しました。

 お世話になっていた人材採用コンサルティングの会社は素晴らしい会社で私の基礎を作っていただきましたが、今までの人材領域での経験を活かせ、かつ自分自身が好きな教育・研修の領域、加えて、新しい経験として、外資系というポイントを加え、いろいろと考えていました。
 そんな中、思い出したのが『7つの習慣』の研修会社であるフランクリン・コヴィー社でした。ホームページには特に採用募集はなかったのですが、ちょうどその頃、リーマンショック後で市場が回復傾向にあり、人材採用を考え始める可能性が高いと想定しました。直接、電話をして問合せしたあとは、面接に向けて戦略的にアプローチをしました。

画像5

 仕事上、人事の方たちから話を聞いていたので、採用側が求めることは理解しており、価値を提供できる人材であることをアピールしました。そもそも、人材紹介や求人広告を使わなければ、通常かかるはずの、多大な採用コストがかかりません。自社に合ったいい人材がタイミングよくタダで採用できれば、メリットしかないわけです。よって、社長面接の際には、自分が提供できる価値についてのマインドマップを見せながらプレゼンし、面接後には御礼の手紙を送りました。そんな熱意の結果、無事採用され、外資系研修会社のセールスとして活動を始めることができました。

紀藤さんがとった戦略は、採用をマーケティング視点でとらえたものです。自分の想いを押し付けるのではなく、相手のニーズやメリットを最大限にアピールすることで、自分の想いを伝えたのです。この手法はぜひ、参考にしていきたいですよね。

自己ブランディングのための毎日メルマガをスタート
7年間休まずに今でも継続中

 転職直前の同時期に3日間通ったあるセミナーでの学びも非常に大きなものでした。とにかく毎日継続することの大切さを教えてくれたのです。転職した会社は、外資ということもあってか、比較的自由な社風でした。そのため入社3か月後くらいで、僕が提案した『7つの習慣』にちなんだ習慣化サポートのためのメルマガを毎日配信するプロジェクトをスタートさせることができたんです。最初は社内の人に送り始め、そして少しずつ登録数を増やしていきました。

画像6

 メルマガは365日休みなく、僕が感じたことや参考になりそうな情報などを書き続けています。述べ500社3000名を超える学生、社会人、経営者、そして人事の方々が登録してくれています。継続することで、お客様に自分のことを知っていただくとともに、お客様との信頼関係も築くことができ、営業活動にもプラスになりました。
 入社して5年後、営業のトップをとったタイミングで、自分の次のステージを考え始めました。自分で教育会社の経営をやってみたいと思い、会社に相談し、正社員から業務委託契約に移行させてもらいました。株式会社カレッジと、フランクリン・コヴィー・ジャパンの業務委託の二足わらじという形で独立をしました。

 今でもメルマガの配信は継続しています。自分が学び続けるためにも、お客様の信頼を得るためにも、非常に意味のあるものになっています。現在は、お客様のニーズに合わせて、オリジナルコンテンツで研修を企画したり、人材開発や組織開発のコンサルティングを行うなど、サービスを増やしているところです。
 変わりたいと思う方、また、力を発揮しきれていないという方。そんな方々が、学びと挑戦を通じて、自らの力をもっと発揮し、自身の可能性を拡げることのお手伝いをしたいと思っています。たぶん、私自身の人生のテーマそのものとリンクしているのかもしれません。自分の人生の課題に取り組むかのごとく、組織と人を育てるお手伝いをさせていただきたい、そのように思っています。

画像6

▲プライベートでは、ウルトラマンマラソン(100キロ)に何回も挑戦しているそうです。

転職活動もさることながら、その後の独立に向けた自己ブランディングの手法はあっぱれとしか言いようがありません。毎日メルマガで書くネタが枯渇しないか聞くと、「常に書くネタを脳が探している状態だと、さまざまな発見や経験ができる」のだと言います。人は意識した瞬間にそれらを探し始める脳の働きをうまく活用し、それが習慣づいてしまったということです。簡単にはマネできないことだから価値があります。私もステキな習慣を身に着けていきたいと思います。




下町の2D&3D編集者。メディアと場作りのプロデューサーとして活動。ワークショップデザイナー&ファシリテーター。世界中の笑顔を増やして、ダイバーシティの実現を目指します!