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声と表情の大切さを紹介。アナウンサーだった経験から生まれたオリジナルビジネス

私が独立した理由-川越 こず恵さん-
ひきつけられる笑顔とよく通る声。アナウンサーというお仕事をしているだけあって、第一印象でのオーラがハンパない川越さん。とはいえ、ライフキャリアはなかなか苦労も多く、見た目と違う大胆な行動力で進んできたそうです。声や表情がもたらすすばらしい効果について教えてくださいました。

2019年夏、”いわみんプロジェクト”として、社長や起業家、独立して活動している方を対象に100人インタビューを実施しました。彼らがどんな想いで起業し、会社を経営しているのか? その中での葛藤や喜び、そして未来に向けて。熱い想いをたくさんの人に伝えたいと思っています。

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川越 こず恵(かわごえ こずえ)さん

SmileVoiceラボ代表
フリーアナウンサー
大学を卒業後
青森テレビのアナウンサーとしてキャリアをスタートさせる
4年目にフリーアナウンサーとなり独立
子育て期間にママコミュニティを主宰し
フリーアナウンサーとして活動する傍ら、
セミナーや講師としての活動も行う

アナウンサーになるための学校と
厳しい就職活動を乗り越えて!

 比較的小さいころからアナウンサーになりたいと思っていました。テレビをよく見ていたので、女子プロレスラーにあこがれた時期もありました(笑)。ラジオもよく聞いていたので、そのあたりが興味を持ち始めた原点だと思います。極めつけは、母から「アイドルよりアナウンサーのほうがいいんじゃない」と言ったひと言が、何気に影響していると思います。ぼんやりとしたあこがれだったものが、具体的な夢になったのは、高校3年生の時、阪神淡路大震災で被災地の方への呼びかけをしているアナウンサーの姿を見て、私もこんなふうになりたいと強く思いました。

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 大学に通いながらアナウンススクールにも通い、満を持しての就活スタート。アナウンサーを目指す人で、大手キー局しか受けないなんて人はほとんどいません。地方ローカル局を片っ端から受けることになるのですが、その移動費は約100万円です! しかも、毎回試験で会うのは同じ顔ばかり。アナウンサー試験は、一般的なダークカラーのリクルートスーツではなく、パステルカラーを着る習慣があるんです。同じ飛行機に乗って次のローカル局の試験のために移動する、パステルスーツ軍団という、異様な光景が毎回ありました。

 なかなか内定がもらえず、すでに顔見知りになったパステルスーツメンバーが1人減りまた1人減り。。。途中でつらくなって、「一般企業の試験なら合格できるのでは?」と思い、2つほど受けて内定をもらうことができました。当時勢いに乗っていたベンチャー企業で、今ではそこそこ大きくなった会社です。ただ、ちょうど同じタイミングで青森テレビの内定が決まったので、そちらの内定をお断りしたのですが、「本当にいいんですね?」と何度も確認されました。そちらに行っていれば、もう少し常識があるオトナになっていたかもしれません(笑)。。。

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 念願のアナウンサーになったものの、ローカル局では1年目からどんどん現場に出されて、なんでもやらされてました。私がやりたかったジャンルだけでなく、バラエティから裏方みたいな仕事まで、とにかくやりながら覚える、という感じでした。大変でしたが、学ぶことは多かったですね。3年ほどして退社し、しばらくしてからホリプロのオーディションを受け、合格をいただきました。

晴れてフリーのアナウンサーとしてデビューを切った川越さんですが、現実はそんなに甘くはなかったと言います。仕事を自力で獲得しないといけないため、たくさんのオーディションに参加したそうです。

独立したものの、妊娠したことで仕事が減少
事務的な仕事でさえもらえなかった

 アナウンサーの仕事だけでは収入が足りず、バイトと両立しながらの生活でした。考えた末、友だちに聞いた老舗のアナウンサー事務所に登録し直すことになりました。アナウンサーの仕事は、ほとんどがオーディションを受けて決まるものなので、いくつもオーディションを受け、レギュラーでのお仕事なども増えて、収入面は安定するようになりました。
 ところが30歳で妊娠したことを機に、一気に風向きが変わりました。今まで、私がレギュラーでいただいていたお仕事現場で、傷つく言葉を言われたり、冷たい態度をとられたり…。仕事もまったくなくなってしまったんです。今だったらマタハラと言われるような状況でも、声に出してクレームを言えるような環境ではありませんでした。

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 家庭に入って専業主婦になれるタイプでもなく、ずっと仕事をしていたいと思っていたので、アナウンサーとは関係ない普通の派遣事務所に登録に行きました。そこでショックな出来事がありました。面接すると、「CA(キャビンアテンダント)やアナウンサーはデスクワークの基礎がないから、紹介できる派遣先はない」と言われたんです。さらに、「受付ならアリだけど、それも若い子のほうが優先されるから難しいですね」というお話でした。本当に悔しいし、つらかった時期です。

 ただ、私はいつまでも落ち込んでるタイプではないので、「仕事がないなら、自分でつくるしかないな」とすぐに切り替えました。ママたちのコミュニティを作っていたので、そこでベビーマッサージやベビーヨガなどママ講師として活動を始めました。子どもが成長して少し落ち着いてくると、アナウンサーの仕事も少しずつ復活してきました。

「仕事はないなら作ればいい」攻めの姿勢で考えられる思考回路がステキすぎます。どうしても、「仕事はもらうもの」「誰か声かけてくれないか」と待ってしまう人が多い中、自分から動ける強さは見習いたいものです。

講師として活動する中で見えた自分の強み
発声、話し方、立ち居振る舞いの大切さ

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▲NHK 「所さん大変ですよ!」で声のアンチエイジングを紹介されました。

 ママ講師として活動している中で、同じ講師でもうまい人とヘタな人がいることがわかってきました。また、他のママ講師から悩み相談も多く受けるようになってきて、上手な話し方や立ち居振る舞いなどのアドバイアスを求められるようになったんです。そこで、だったらこれをビジネスにしようと思い、Smile Voiceラボを立ち上げました。
 欧米では、ビジネスボイスといい「声で成功できる」とも言われています。さらに、じつは舌を正しく使うことは健康にも美容にも非常に大切なことなんです。舌のトレーニングでは、舌筋がつきます。舌や口周りを動かすことで表情は豊かになります。口角が下がり始めている人には効果的ですよ。

 また、最近の子どもたちは食べ物の影響や、あまり話す必要がない環境のため、舌の筋力が弱く正しい発音ができない子たちが多いんです。舌の筋肉がないことで、口腔機能が低下する子どもが増えています。舌は咀嚼より嚥下や滑舌に影響があります。健康を害することもあります。
 最近では、私がもっている知識とスキルを多くの人に伝えるために、ママたちだけに限らず、学校や地域の方などを対象にレッスンをするようにしています。これからもより多くの人に笑顔や舌の大切さを伝えていきたいと思っています。

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舌をしっかり使っている子と、そうでない子の差がはっきりわかる写真などを見せてもらい、このことからくる悪影響のお話も教えてもらいました。人間のカラダはすべてつながっていて、どこかしらに不具合があるとカラダにも心にも影響するものです。「人は幸せだから笑うのではなく、笑っているから幸せになれる」そんな有名な言葉もあります。川越さんの活動で、笑顔の人が増えて、幸せが広がっていきそうです。



下町の2D&3D編集者。メディアと場作りのプロデューサーとして活動。ワークショップデザイナー&ファシリテーター。世界中の笑顔を増やして、ダイバーシティの実現を目指します!