見出し画像

文化人物録2(小泉純一郎)

2小泉純一郎(元首相、2003〜04年、2015年〜)
→文化芸術人物録に政治家かという声もあるだろうが、政治的な功罪はともかく、文化芸術を愛し、かつこれらの分野に造詣が深い人物であることは間違いない。よく「ワンフレーズポリティクス」などと言われたが、裏を返せば言葉の持つ力、重みを認識していたのだろう。

僕は小泉氏が首相在任中、1年にわたり近くで話を聞く機会があったが、軽く拾うだけでも文化やスポーツに関する発言が多く、本人も嬉々として喋っていたように思う。エルヴィスプレスリーやXJAPANの大ファンとして知られ、大相撲での貴乃花優勝時の「感動した!」発言はいまだに語り継がれている。

首相を退任し、東日本大震災発生後は党派を超えた脱原発運動をライフワークにする一方、オペラやクラシックの公演に頻繁に通う。音楽雑誌で思想信条、立場の違う共産党の志位和夫委員長と音楽について対談をしたことも話題になった。

首相在任中は超多忙なため、何かあった場合に中座しにくい舞台公演にはなかなか行けなかっただろうが、とりわけヴェルディ作品への思い入れは常に持ち続けていた。いわゆる「小泉劇場」の原点がオペラ、特に権力闘争を扱う作品が多いヴェルディにあったのは間違いない。

・松井秀喜NYデビューについて「さすがだねえ、それと野茂英雄選手がすごいでしょ。球史に残る。まさに英雄中の英雄だよ」(2003・4)
・スペイン・マドリードのソフィア王妃芸術センターでピカソの「ゲルニカ」鑑賞「作品は年代によりずいぶん違うな。初期はピカソと思えないくらい優しい。ゲルニカは決してきれいな絵という訳ではないが、だからこそ心を動かされるものがある」(2003・4)
・映画「スパイ・ゾルゲ」鑑賞「やっぱり歴史の重みだろうね。事実は小説よりも奇なりというけれども、いい映画だった」
(2003・6)
・映画「踊る大捜査線 THE MOVIE2」鑑賞。長男・孝太郎さんの映画初出演について「なかなかうまかったんじゃないか。初めてにしては」(2003・8)
・ヤンキース優勝について「良かったねえ。松井選手も2塁打打ったでしょ。やはりスターの素質があるんだね」(2003・10)
・米クリントン前大統領と首相官邸で会談。「ハイ・ヌーン(真夏の決闘)というゲーリークーパーが出ている米映画が好きだ。非常に難しい状況に陥った時に勇気を与えてくれる」(2003・11)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?