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【葬送のフリーレン】バスケと冒険者の戦略・戦術の進化③

最近「NBAバスケ超分析 語りたくなる50の新常識」という本を読みました。

ざっくりな内容としては、NBAの観戦力を高めるために、現代バスケの新常識を紹介する、という本です。

データを混じえながら、どのようにバスケの戦略・戦術が進化していったかを紹介する、良著だと思います。

一方、葬送のフリーレンにおいても、冒険者、特に魔法使いの戦略・戦術の進化が描かれることがあります。

詳細は以下の記事にてまとめていますが、内容が長いので、時間があれば御一読ください。

本記事では、上記の書籍を参考に、バスケの戦略・戦術の進化と、葬送のフリーレンの冒険者の戦略・戦術の進化の類似性を考察し、両分野の幅広い視点での楽しみ方を紹介したいと考えています。

本記事は以下リンクの続きになります。


漫画「葬送のフリーレン」の記述内容は、単行本全10巻97話までを含みますので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。


以下では、バスケと冒険者の戦略・戦術の進化の具体例について、上述の書籍と葬送のフリーレンの内容を引用しつつ、紹介していきたいと思います。

柔軟な役割遷移

現代のバスケも、葬送のフリーレンの冒険者の戦闘も、柔軟な役割遷移という戦略で解釈することができます。

その戦略は以下の1つの要素が関係しています。

①ビッグマンの3ポイントシュートと前衛と後衛の切り替え

前の記事にて、3ポイントシュートの活用が重要であることは述べましたが、昔はリング周りでの攻撃が役割だったビッグマンも、3ポイントシュートを打つようになりました

そのことについて、著者は以下のように述べています。

ポジションの概念がここ10年近くで大きく変わった一端に、センタープレーヤーやビッグマンたちによる3ポイントの試投が増えていることも挙げられるだろう。『スラムダンク』に登場する赤木のポジションであるセンターが3ポイントショットを放っているシーンなど10年前は容易に想像できなかった。しかし、リーグ全体で3ポイントショットが増えているのと同様に、センターによる3ポイントショットも増えており、その数は確実にデータに現れている。

佐々木クリス著「NBAバスケ超分析 語りたくなる50の新常識」 p156より
ビッグマンも3ポイントシュートを打つようになった
佐々木クリス著「NBAバスケ超分析 語りたくなる50の新常識」 p156より

この傾向は、敵のビッグマンの守備をリング周りから引き出す狙いから来ており、ペース&スペースの利点を最大限活かすには、不可欠な要素になってきました。


一方葬送のフリーレンの世界でも、この傾向に似たようなものがあり、それが前衛と後衛の切り替えです。

前の記事にて、質量攻撃が有効だと述べましたが、その質量攻撃は戦士の攻撃並の物理攻撃能力があると考えられます。

例えばゼンゼは、防御魔法の物理耐性を破るほどの、重く強力な物理攻撃を持っており、後衛よりも前衛での戦いに適した魔法を持っています。

ゼンゼの攻撃は巨岩のような重さ
原作:山田鐘人/作画:アベツカサ「葬送のフリーレン」 第51話より

また物理防御能力についても、例えばゲナウは、魔族の将軍の一太刀を防ぐほどの、強力な物理防御を持っており、こちらも前衛で十分戦えるほどの魔法を持っています。

魔族の将軍の攻撃を防ぐゲナウ
原作:山田鐘人/作画:アベツカサ「葬送のフリーレン」 第74話より

上記の例のように、状況によっては前衛や後衛などの役割を、柔軟に変化させて戦う戦術も、現代では採用するようになったと考えられます。

両者の違いは、変化の方向です。

バスケにおいては、リング近くにいたビッグマンが3ポイントラインで活動できるようになったのに対し、葬送のフリーレンでは、後衛にいた魔法使いが、敵近くの前衛で活動できるようになったので、変化の方向が逆だと言えます。


NBA選手と葬送のフリーレン登場人物

これは個人的な趣味ですが、NBA選手と、それに対応すると思われる葬送のフリーレンの登場人物を、簡単な理由とともに列挙します。

スティーブ・ナッシュ ⇔ クヴァール

2000年代にペース&スペースの最初期で活躍した選手。後の2010年代のペース&スペース最盛期の礎となる。

一般攻撃魔法の元になった人を殺す魔法を開発したクヴァールと似ている。

ティム・ダンカン ⇔ ヒンメル

2000年代のスパーズ王朝を先導したパワーフォワード。

常勝軍団のスパーズを優しく引っ張った英雄と、魔王討伐のパーティを優しく引っ張った勇者を重ねてみました。

デビッド・ロビンソン ⇔ アイゼン

海軍出身で屈強な体格を持つスパーズのセンター。

単純に両者の体の頑丈さから、似ていると思いました。

トニー・パーカー ⇔ ハイター

2000年代のスパーズ王朝を支えたポイントガード。

ティム・ダンカンを支える役割と、ヒンメルを支える役割が、似ていると思いました。

スティーブ・カー ⇔ フリーレン

1990年代のブルズ王朝で活躍した3ポイントの名手。2003年のスパーズNBA優勝にも貢献。2010年代はウォリアーズのコーチとして、ペース&スペース最盛期の先導役となる。

魔王討伐のパーティでは一人の魔法使いとして、現代のパーティでは先導役として活躍しているフリーレンと似ていると思いました。

ステフィン・カリー ⇔ フェルン

2010年代のウォリアーズ王朝を先導した3ポイントの名手。超ロングレンジの3ポイントを良く打つ。

一般攻撃魔法の速射性能・遠距離性能を最大限に活かした戦い方をする、魔法使いのフェルンと似ていると思いました。

ドレイモンド・グリーン ⇔ シュタルク

2010年代のウォリアーズ王朝を支えたセンター。守備に関しては超一流。

フリーレン一行のタンク役として活躍しているのが似ていると思いました。

アンドレ・イグダーラ ⇔ ザイン

2010年代のウォリアーズ王朝を支えたグルーガイ。

パーティのつなぎ役を担っているザインと似ていると思いました。

コービー・ブライアント&シャキール・オニール ⇔ 南の勇者

2000~2002年にレイカーズにて3連続優勝を達成したときの2人。

南の勇者自体が剣技も魔法も使う勇者だったので、コービーとシャックの2人を合わせたくらいが、妥当な比較だと思う。


まとめ

本記事では、バスケと冒険者パーティーの類似性、及び現代バスケの戦略・戦術の進化と、葬送のフリーレンでの冒険者の戦略・戦術の進化の類似性を考察しました。

3ポイントシュートと一般攻撃魔法による、攻守の均衡点の変化や、アーリーオフェンスと魔法の高速化の流れなどに類似性があり、いつもと違う視点で葬送のフリーレンを楽しむことができると思います。


長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。


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