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【葬送のフリーレン】魔法について:魔法使いの戦略・戦術の遷移①

漫画「葬送のフリーレン」では、魔法使いのフリーレンが主人公ということもあり、魔法による戦闘がよく登場します。

本記事では、魔法使いの戦闘について、その戦略や戦術が、時代によってどのように遷移してきたのかを、推測も含めて考察したいと思います。

なお関連記事として、大まかな魔法の歴史については、以下記事にてまとめましたので、時間があれば御一読ください。


対象は単行本全10巻97話までですので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。


フランメ登場前の魔法使い

エルフの膨大な魔力を活かした戦略

フランメが登場する前は、人類の魔法使いはほぼエルフの独壇場だったと考えられます。

ただエルフの魔法使いが、当時どのような戦い方をしていたかを推察する記述が少なく、正直わかりません

推察の手がかりとなる場面は、ゼーリエがマハトと対戦するところです。

マハトの魔法に対してゼーリエが使用した、"呪い返しの魔法"ですが、この魔法は神話の時代には、既に存在していたことがわかっています。

魔法の効果は絶大で、魔物・魔族が使用する"呪い"を自動的に跳ね返すという、非常に強力なものですが、習得に100年の修業を有し、膨大な魔力を消費するところが難点です。

ここから推察するに、当時のエルフの魔法使いは、原理や効率とかは関係なく、エルフの膨大な魔力と永遠に近い寿命を最大限活かして、非常に強力な魔法を使用して戦闘していたと考えられます。

いわゆるゴリゴリの力技戦略です。

"呪い返しの魔法"の説明をするゼーリエ 第10巻103ページ
"呪い返しの魔法"は習得に100年の修業を有する 第10巻166ページ
"呪い返しの魔法"は膨大な魔力を消費する 第10巻169ページ

フランメ登場後の魔法使い

フランメが登場した頃は、エルフを皆殺しにする命令が魔王から出ており、実際フリーレンの故郷の集落も魔王軍に潰されています。

つまりエルフの魔法使いが使っていた、魔力に頼る力技戦略が使えなくなったと言えます。

それに代わる戦略として、フランメは3つ仕掛けを残します。

人類社会の防護優先

1つ目の戦略は、結界魔法による防護です。

エルフの魔法使いが居なくなり、急激に魔法使いの戦力が低下したことに対し、フランメは一旦結界魔法で、魔物・魔族の攻勢から人類社会を防いだと推察されます。

防御に使用する魔法は、生存率に直結するからです。

とはいえフランメの結界魔法は優秀過ぎたので、1000年後も現役のものもありますが。

防御魔法は生存率に直結する 第1間133ページ
1000年後も現役であるフランメの結界魔法 第9巻155ページ

騙し討ち

2つ目の戦略は、騙し討ちです。

代表的な例は、フランメがフリーレンに教えた、認識した魔力の誤差で欺く戦術で、これはフリーレンが生涯をかけて実践しています。

相手が認識した魔力の誤差で欺く戦術 第3巻71ページ

上記のような戦術は、魔法使いとして卑怯だとフランメは認識しており、そのようなことをするのは私達だけでいいとも言っています。

卑怯者は私達だけでいいと言うフランメ 第3巻72ページ

ただ当時の人間の魔法使いの実力は、それほど高くないと思われるので、宮廷魔法使いの教育係でもあったフランメは、魔力制限以外の騙し討ち戦術も、その魔法使い達に教えたと推察されます。

当時宮廷魔法使いの教育に携わっていたフランメ 第6巻103ページ

魔法の軍事転用研究

3つ目の戦略は、魔法の軍事転用研究です。

フランメが死去するまで、人間にとって魔法は魔族の技術であるとして、表だった研究は禁忌とされてきました。

ただフランメの働きかけにより、統一帝国による魔法の軍事転用研究が開始されました。

これにより人類の誰もが魔法を使える時代が予見され、つまり人類が魔王軍に抗う力を手に入れる未来が訪れることを意味します。

かつて魔法は人間にとって禁忌だった 第6巻103ページ
人類の誰もが魔法を使える時代が予見された 第6巻104ページ

上記をまとめると、フランメ登場後の魔法使いの戦略は、

1.結界魔法による人類社会の防護
2.フリーレンを筆頭とした騙し討ち
3.人間による魔法の軍事転用研究

の3つで、魔法使いにとっては、次世代のために耐えて我慢する時代だったと考えられます。

魔王討伐の時代の魔法使い

魔王討伐の時代では、上記の魔法の軍事転用研究のおかげもあり、町を歩けば必ずすれ違うくらいに、魔法使いが増えました

魔王討伐の時代には魔法使いが数多くいた 第4巻182ページ

また、以下のリヒターの発言より、この時代の魔法使いは、強く誇り高いと形容されているので、騙し討ちなどの卑怯な戦略は採用しなくていいほどの、強い攻撃魔法・防御魔法が開発されていたと考えられます。

魔王討伐の時代には強く誇り高い魔法使いが数多くいた 第5巻45ページ

当時の魔法使いがどのような戦略・戦術を採用していたかについては、正直描写は少ないですが、以下の2つが推察できます。

援護射撃

1つ目の戦略は、援護射撃です。

下の場面では、ヒンメルがフリーレンに援護射撃を行うように指示しています。

フリーレンの役割は援護射撃 第6巻90ページ

なぜ魔法使いが援護射撃を行うかについては、当時の攻撃魔法がそれほど威力が高くなかったのではないかと推察しています。

以下の場面には、魔王討伐の時代の攻撃魔法が描かれていますが、距離が遠くなると魔法が広がって、威力が分散しているように見えます。

つまり、攻撃魔法の威力を最大限に活かすなら、最接近して放つ必要がありますが、それだと魔法使いは危険なので、多少威力が落ちてもいいから、援護射撃程度でダメージを与える、というのが当時の戦略だと考えています。

比較として、後述する一般攻撃魔法は、距離が遠くなっても魔法が広がる描写が無いので、遠距離でも威力が分散しないのだと思います。

魔王討伐の時代の攻撃魔法 第2巻135ページ
現代の一般攻撃魔法 第3巻44ページ

属性攻撃による弱点攻め

2つ目の戦略は、属性攻撃による弱点攻めです。

とはいえ、これに関しては明確な根拠はないのですが、葬送のフリーレンに登場する、比較的老齢の魔法使いが、広範囲の属性攻撃を多用することから、おそらく当時はそのような攻撃をして、弱点を攻めるのが主流だったのだろう、くらいの推論です。

風と炎の広範囲属性攻撃を使うフリーレン 第5巻122ページ
雷の広範囲属性攻撃を使うフリーレン 第6巻97ページ

また、次世代への仕掛けとして、人を殺す魔法の研究も開始しています。

人を殺す魔法の研究

これは当時、賢老のクヴァールが用いていた魔族の魔法で、当時の人類の魔法使いでは到底対処できない、脅威の魔法でした。

その強さゆえに、クヴァールが封印された後、人類によって徹底的に研究・解析され、現在では一般攻撃魔法と呼ばれるほどに、人類の魔法体系に深く組み込まれています。

人を殺す魔法は人類により徹底的に研究・解析された 第1巻141ページ

上記をまとめると、魔王討伐の時代の魔法使いの戦略は、

1.援護射撃
2.属性攻撃による弱点攻め
3.人を殺す魔法の研究

の3つで、魔法使いにとっては、後方にて冒険者パーティーを支援する時代だったと考えられます。


長くなりましたので、現代での魔法使いの戦略・戦術については、以下記事にてまとめました。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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