一気見のススメ＃3 「モダン・ファミリー」　良いとこ取り×優しい世界

インプットのための一気見（binge watching）のススメ　＃3
「モダン・ファミリー」～良いとこ取り×優しい世界

最近、コメディドラマ「モダン・ファミリー」（原題：Modern Family）情報をよく目にするようになった。実に11シーズン目にしてファイナルを迎えるという。何年か前まで「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」（原題：The Big Bang Theory。惜しまれつつも2019年のシーズン12で終了）と双璧をなす超人気のコメディだったが、こっちもついに終わっちゃうかー。
どれだけ人気だったかは、獲得した賞の数が示しています。英語版Wikipediaから引用してみると、

The show won the Emmy Award for Outstanding Comedy Series in each of its first five years and the Emmy Award for Outstanding Supporting Actor in a Comedy Series four times, twice each for Eric Stonestreet and Ty Burrell, as well as the Outstanding Supporting Actress in a Comedy Series twice for Julie Bowen. It won a total of 22 Emmy awards from 75 nominations. It also won the Golden Globe Award for Best Television Series – Musical or Comedy in 2011. Being on air for 11 years, it is currently ABC's longest-running comedy series.
（https://en.wikipedia.org/wiki/Modern_Family より引用）

シーズン10までの累計で、エミー賞で75ノミネート⇒22獲得、してると。ビッグバン★セオリーでさえ46ノミネート⇒7獲得（ほぼシェルドン役のジム・パーソンズ）なので、まさに圧巻の数字です。
ビッグバン～はシェルドンが際だって目立っていたのに対し、モダン・ファミリーは層が厚いからなぁ。

さて、いつものように紹介はザッと済ませて、当連載の主題であるオススメポイントの紹介にいきます。

不動産営業マンの夫・フィルと完璧主義の妻・クレア、3人の子供たちからなるダンフィー家、裕福なお爺ちゃん・ジェイ＆ラテン系美女・グロリアの年の差夫婦、弁護士のミッチェルと陽気な主夫・キャメロンのゲイカップル。親戚同士の3家族のドタバタを描く。
（U-NEXTの本作紹介ページより引用。ページトップのサムネイルも同様）

■オススメポイント

このモダン・ファミリー、多くの先行作からエッセンスを抽出しつつ、きちんと現代風（モダン）にまとめ上げている点で、非常によくできています。うまい「いいとこ取り」の例というか。

会社経営者の（要は金持ちなジジイ）ジェイの家は、いわゆる“格差もの“コメディ（古いところでは「アーノルド坊やは人気者」「ダーマ＆グレッグ」あたりか）。たった3人の家族なのに、貧富（妻のグロリアはメキシコ生まれのド貧困育ち）、世代（ジェイから見て子供世代の妻、孫世代な義理の息子）、まぁこれは好みによるが美醜（誰もがうらやむ美人のグロリアと、ジジイ、やや太めの子供）と、さまざまな格差が詰め込まれている。

弁護士ミッチェルの家は、カップルもの＋マイノリティもの、ですね。「ふたりは友達? ウィル&グレイス」（独身女性と独身ゲイ男子の友情もの）を思わせます。

不動産営業のフィルの家は、いわばバカの大見本市（褒め言葉）。いやー、ほんっと、バカにはかなわない（褒め言葉）。バカキャラといえば筆者は「ファミリータイズ」でマイケル・J・フォックスが演じたアレックス、「マイネーム・イズ・アール」のランディが好きなんですが、フィル一家の面々も、負けず劣らず、大バカ（褒め言葉）。素晴らしい。

そしてこのドラマ全体で描かれているのが、米国コメディの王道といえる「家族愛」なわけです。
前述の「ファミリータイズ」（タイトルを直訳すれば「家族の絆」）や「フルハウス」（こっちは家族でいっぱいになっている家）を思わせます。
この流れを汲みつつ、今風のエッセンス（扱うネタが現代的なだけでなく、「優しい世界」である点も◎）でまとめた。だから、「モダン・ファミリー」（今どきの家族）なんだろうと。

このドラマ、1回あたり30分なんですよ。たった30分で3家族それぞれきっちり出してたっぷり笑わせておいて、最後は毎回「ほっこり」。
こんだけ要素詰め込んでおいて、よく毎回綺麗にまとめられるもんです。

ちなみにさっき3家族の職業に触れましたが、基本的にはどの家族も裕福だという点に気づかれた方もいらっしゃるかと。優しい世界……安心して見られるという意味で正しいとは思います。個人的には「マイネーム・イズ・アール」のような「中間よりやや下」を扱ったコメディも好物ですが、まぁ一般受けはしないかもしれません。

もひとつ余談。「グリー」や「アメリカン・クライム・ストーリー」で有名なプロデューサー、ライアン・マーフィーが手がけた「New Normal」というドラマ、タイトルといい、ゲイカップルがメインとなる設定といいモダン・ファミリーのパク……もといインスパイアされたのかなと思っちゃったんですけど、実際はどうなんでしょうね。

制作：Lloyd-Levitan
放送：ABC
公式サイト（英語）：https://abc.com/shows/modern-family
日本では現在「U-NEXT」で配信中。詳しくはこちらで

さて次回は……もう少しダイレクトにゲーム業界向けのネタを。オンラインゲームの未来形、xRの次の世界を垣間見せてくれたあのドラマを紹介します。