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抽象的な理論を学習するときに、定理の証明の様子を具体的に見れるとgood

数学の抽象的な理論を理解するときに、定理の証明が複雑になったり、表している表現が理解しにくいときがあったりします。

そんなときに、程よく様子を観察できる具体例を知っていると、理解の手助けになります。

以前に投稿したnote記事です。

この記事は、線形代数学で扱われる行列式の計算について、3行3列の正方行列や4行4列の正方行列を使い、成分を扱いやすそうな整数として具体的に計算方法を説明したものになります。

行列式論の証明は、一般の n 次の内容について、n 次の対称群が絡み、証明を理解するのが大変です。


具体的に3次や4次を頑張る

もちろん、2次の正方行列で、具体的に状況を表せている内容のものは、2次を観察しつつ、一般の n 次での理解へと進むと良いかと思います。

ただ、2次だと、小さ過ぎて、定理の内容に関連する様子を具体的に観察できないときもあります。

そうなってくると、3次や4次の出番となります。

抽象的な例

n 次正方行列 $${A=(a_{ij})}$$ の行列式の定義を見てみます。

$$
|A|=\displaystyle\sum_{\sigma \in S_n}sgn(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}\cdots a_{n\sigma(n)}
$$

このように、行列式論を学習しようとすると、行列式の定義の段階から、初学者には気持ちが折れそうになるほどの複雑さです。

2次のときでも、参考になることは多いと思います。しかし、もの足りないというときもあるかもしれません。

そんなときに、3次や4次で観察をします。

階乗は一つ増えると多くなる

行列式の定義だと、対称群の一つの元について、一つの項が出現することになります。

そのため、対称群の元の個数分の項が出現することになります。

対称群の元の個数は、異なる n 個のものを並び替える操作ということで、n! 個の元が含まれています。

2次だと、2! = 2 個の元です。

2個なので、具体的に扱いやすいです。

そのため、2次のときで様子を調べると、内容を理解する良い手助けになります。

しかし、例えば、ファンデルモンドの行列式を2次のときに見てみると、なんだかもの足りないと思うかもしれません。

小さ過ぎて、十分に観察した感じがしない、、、

そんなときに、3次で。

3次だと、
$${3!=3\times 2\times 1=6}$$ 個の元が、3次対称群に含まれています。

この記事では、3次と4次の対称群の元を具体的に書き出しています。

6 個の項を具体的に書き出して見ると、結構な観察ができます。

4次だと、 24 個の元なので、大変ですが、気合を入れて、ここぞというときに書き出すと、理解の助けになってくれます。

$${sgn(\sigma)}$$ の部分を符号といって、偶置換だと値が 1 で、奇置換だと値は -1 となります。

この符号があるために、なかなか具体的に行列式を書き出すのが大変です。

そこで、3次や4次の対称群の元を、すべて書き出しておくと、偶置換なのか奇置換なのかを見分けて、行列式を具体的に計算することができます。

抽象的な行列式論を学習し始めるときに、6 個や 24 個を書き出して見ると、良い観察データとなってくれます。

この具体的な観察を足掛かりにすると、結構な基礎理論の理解の助けになるかと思います。

関連する記事について

n 次の対称群に関して、偶置換と奇置換の個数は同じになります。

この内容の抽象的な証明は難しいのですが、参考までに記事を投稿しました。

宜しければ、ご覧ください。

では、これで失礼します。

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