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ITIL4のコア書籍紹介①「Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)」(CDS)

前回の記事で、ITIL®の最新バージョン「ITIL4」についてご紹介しました。今回は、ITIL4のコア書籍の一つ「Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)」(CDS)の概要を当社IT VALUE EXPERTSのコンサルタントの所感と共にご紹介します。
(前回までの記事はこちらをご覧ください。)

ITIL4 Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)とは?

ITサービスマネジメント領域で最も採用されているベスト・プラクティス・フレームワークであるITIL4の5つのコア書籍のうち、「ITIL®Foundation」に続いて2番目に出版されたのが「Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)」(CDS)です。
ITIL4の資格体系の二つのトラックのうち、マネージングプロフェッショナルのモジュールの一つに位置付けられています。(下記資格体系図参照)
日本語版書籍および日本語での研修コースが提供されています。

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コンテンツをざっくりご紹介

1.前提
「Create, Deliver & Support(作成、提供およびサポート)」(以下、CDS)は、「ITIL4 Foundation書籍の内容がベースになっていますので、CDSを読む前にITIL4 Foundation書籍を読むことを強く推奨します(日本語版書籍はこちら)。Foundationを読んでいる時間がない!という方は、前回の記事(最新のITIL®「ITIL4」とは?)をご確認下さい。

2.CDSの章立て
CDSの章立ては以下の通り。

Chapter1 イントロダクション
Chapter2 ITとサービスマネジメントにおけるプロフェッショナリズムの進化(=人の側面)
Chapter3 サービスの開発、提供、サポートにおける情報と技術の活用(=技術の側面) 
Chapter4 サービスの開発、提供、サポートのためのバリューストリーム
Chapter5 作業の管理とサプライヤーの管理
Chapter6 結論
Appendix バリューストリームの参考例

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3.CDSに含まれる内容
CDSは、「ビジネスとテクノロジーの進化に応じて、サービスマネジメントも進化しなければならない」というITIL4の前提に立ち、「より新しい働き方・より新しい手法を積極的に取り入れて、サービスマネジメントを進化させていく必要性」を明確に提示しています。

CDSが取り扱う領域は、開発、テスト、ナレッジ、CS(顧客満足)/ES(従業員満足)、新たなテクノロジー、ソーシング、作業の管理などで、サービスの開発、提供、サポートのための新たなサービスマネジメントのアプローチを提示しています。
CDSの各章に含まれる具体的な内容については、下図をご確認ください。

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当社のコンサルタントが考えたCDSの特徴

当社のコンサルタントがCDSを読んだ所感を元に、その特徴を挙げてみます。(以下はあくまで当社コンサルタントの見解です)

1.ITIL独自の内容は少なく、他のフレームワーク・手法が多く取り込まれている
ITILv3からITIL4への重要な変化として、ITIL以外のフレームワーク・手法でも良いものは積極的に取り入れていくという姿勢が、CDSにも表れています。幅広くフレームワークを学んだ方にはしっくりくる内容です。

2.CDSのコアとなるバリューストリームは、具体例も含め、詳細に記述方法が紹介されている
「バリューストリーム(価値の流れ)」は元々はLeanで使われている用語で、ITILがこれまでコアとしてた「プロセス」に代わる概念です。CDSでは、バリューストリームの定義、活動の階層が定義されており、いくつかの具体例も紹介されています。バリューストリームはテンプレートではないので、現場ごとに作っていく必要がありますが、本書を読めば、その概要は理解できると思います。

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3.新たな開発手法等、期待していた内容は含まれていたものの、Body of Knowledge(BoK)的な記述も多く、適用における裁量の範囲は大きい印象
例えば先進的なプラクティスについて、見本やサンプルは書かれているものの、現場ですぐ使えるようなベストプラクティスや手法ではないので、「ITIL4プラクティス」を参照しつつ活用していくことが必要です。

4.新たなテクノロジーの紹介は、そのテクノロジーとサービスマネジメントとの関連性が記述されており非常に参考になった
RPAやAI Ops、コグニティブ等がサービスマネジメントの観点でどのように活用されているかが説明されており、現場での適用だけでなく、知識のアップデートとしても役立ちます。

5.ITSMツールについては新たな機能の紹介も含め、v3までよりも具体的な記述が増えた
これまでの書籍では、特定の製品・ソリューションへの言及を避ける意図もあり、ツールについては踏み込んだ記載があまりありませんでしたが、CDSでは具体的な記述も増えており、実務に携わる方には参考になると思います。

6. 組織カルチャーについての言及が多い
組織のカルチャー面での問題が、世界的にデジタルトランスフォーメーションや新たな働き方における課題になっていることの証左と言えます。カルチャーの問題の解決は難しくても、どういうところに問題は起こりえるのか、またどのような要素が組織の文化を決定付けるのか等、内容を理解することは有用です。

その他のキーワード

上記の特徴以外にも気になったワードがいくつかありました。(以下は例)
興味のある方はぜひ書籍を手に入れて、中身を確認してみてくださいね。

・Self-organizing team
・Servant Leadership
・CooperationとCollaboration
・ES(従業員満足度)
・SRE
・Toil
・VSM
・Swarming
・Shift-left
・SIAM

おわりに

ITIL4に引き続き、今回は「Create, Deliver and Support(作成、提供およびサポート)」についてお伝えしました。CDSは幅広い領域をカバーしているため、紹介内容も長くなってしまいましたが、興味を持っていただけたでしょうか?
今後もITIL4のコア書籍について順次ご紹介していきますので、どうぞフォローしてくださいね。

当社IVEでは日々のコンサルティング活用の中でITIL4の適用も始めています。当社のサービスについてのお問い合わせ、提案依頼、協業のご相談等がございましたら、下記からお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://iv-experts.co.jp/contact/
IT VALUE EXPERTS Webサイト:https://www.iv-experts.co.jp/
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以上

※本文中に記載されているフレームワーク、ベストプラクティス等に関する商標の情報はこちらをご参照ください。

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