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フィンランド教育はやっぱり異次元だった。|Teacher2.0セミナーレポート

9月26日(土)、フィンランド研究家・Elämäプロジェクト代表の石原侑美さんを講師に招き、「フィンランド教育と生き方キャリアデザイン」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。

まずはフィンランド基本情報

面積は約33万㎢で、日本より少し小さいくらいです。人口は約530万人で、なんと兵庫県と同じくらいだということです。山が少なく、平らな土地で、農業、林業、IT産業が盛んです。スウェーデンとロシアに支配されていた時代が長く続いていましたが、1917年に独立した比較的新しい国です。

日露戦争で日本が勝利したことが精神的支柱になってフィンランドの独立を後押ししたと言われています。

1970年代のオイルショックにより大量の失業者、アルコール中毒者を生んでしまいました。この頃から再生可能エネルギーの開発に着手します。

1990年代には再び世界経済危機の影響により大量の失業者を生んでしまい、そこから高福祉国家を目指すようになります。教育改革が行われ、現在のフィンランド教育の基礎が築かれました。世界で最も注目されているフィンランド教育はここ30年で築かれたものなのです。

フィンランド教育制度

「教育こそが国家の貴重な資源」の精神のもと改革を行ってきたフィンランドの教育制度について見ていきましょう。

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出典:ベネッセ教育総合研究所

フィンランドの義務教育は日本と同じ9年間です。高校進学時に、大学入試資格高等学校と職業資格職業専門学校に別れます。中学校卒業段階で自分の人生について考える必要があります。ただし、どちらの道を進んでもやり直せたり、職業専門学校から大学に進学したり、フレキシブルになっています。また、高校や大学は若い人だけではなく30代や40代の方も3割程度在籍し、高齢の方も含めて幅広い年齢層の方が在籍しています。もちろん教育は全て無料で提供されていますので、フィンランドの人々は、学校はみんながいくものという感覚を持っているそうです。

フィンランド教育

フィンランド教育の特徴として

・自立学習型 ・少人数制 ・平等で均等 ・エリートを育てない教育 ・多い読書量 ・質のいい教師(先生は全員修士課程必須)・裁量権は学校が持つ

などが挙げられます。

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年度始まりは8月。終わりは5月下旬または6月上旬。丸々2ヶ月は夏休みとなります。1コマ45分授業で、1週間に19〜30コマ。小学4年生ごろから選択授業があり、学びたいことを学べるようになっています。

宿題はない、もしくは最小限に留めています。自宅では自宅での学びがあるのでわざわざ学校から宿題を出すものではないという発想があるそうです。

数字による成績評価も最小限に留めています。テストも論述式のみで、選択式の問題はありません。フィンランドの学生がアメリカに留学して選択式のテスト問題をみたときに驚いたというエピソードもあるのだそうです。成績は偏差値などではなく、自己評価と他者評価を合算して成績に納めていくシステムとなっています。

フィンランド教育の目的とキャリア教育

フィンランド教育の目的はずばり「自立」を促すことです。

そのために、学校ではキャリア教育を積極的に実施しています。例えば、職場体験は中2と中3で実施され、生徒自ら職場にアポをとって2週間の労働体験を行います。その間に働く人にインタビューをして自らの人生について考えるきっかけとしています。また、学校内でもキャリアガイダンスが実施され、キャリアカウンセラーと相談することによって、将来の自立を促しています。

家庭科(Home Economics)の授業では、クレジットカードの作り方やローンの組み方を学習することもあるそうです。というのも、フィンランドでは15歳になると、我が子の銀行口座ですら管理できなくなるという法律があるため、義務教育卒業段階でお金の管理ができるようにしておかなければならないのです。

フィンランドの先生たちの働き方

フィンランドの先生の働き方の特徴として

・フィンランドの先生は有給を完全に消化する ・夏休みは1~2ヶ月 ・1日8時間、週40時間は必ず守る ・職員室はフリーアドレス ・法律で定められたコーヒー休憩がある 

などが挙げられます。

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フィンランドのコーヒー消費量は世界ナンバーワンというほどコーヒーが好きな国民で、保護者と対話するときもコーヒーを飲みながらリラックスしてコミュニケーションを取るため、モンスターペアレンツは少ないそうです。

放課後、子供たちと長々と話している先生はおらず、定時になったらすぐに帰宅します。人は人、自分は自分という意識があり、さらには、子供と対話するのは授業内で、という意識があるのだそうです。

さらに、校内研修やOTJはありません。なぜならフィンランドの先生は、学生のうちにしっかりと学び、完璧な状態で教壇に立っていると自負しているからです。実際、教師になるためには3年の学士課程と2年間の修士課程を修了する必要があり、教育実習も日本では2〜3週間程度ですが、フィンランドでは3ヶ月間を3回に分けて行くそうです。

先生同士の横の繋がり

フィンランドの教育関係者のほとんどが出席すると言われている教育イベントが毎年行われ、そこで対話をした先生と横の繋がりを作ることができるそうです。また、フィンランドの教員免許を持っている先生しか入れないSNSがあり、授業のアイデアを共有したり、現状の問題点を共有したりできるそうです。

Learning not for school - but for life.

フィンランドの文部科学省にあたるMinistry of Education and Cultureが4年前に作成した動画です。

動画の最後に"Learning not for school - but for life."「学校のための学びではなく、人生のための学び。」というメッセージがありますが、これがまさにフィンランド教育の真髄です。

石原さん、素晴らしいセミナーをありがとうございました。

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