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割と神様こんな感じだよね。---映画「神様メール」レビュー 多少ネタバレあり

先日、雨が降るように人が死ぬという記事を書きました。私ももういつ死んでもおかしくない年齢に差し掛かってきたせいか、あとどれくらい生きられるのかということを結構リアルに考えるようになってきて、そんな気分から書いた記事だったんですが、この記事を書いた直後に呼んだ記事が私の気分にピタリとハマってしまいました。こちらの記事です。

日々有益な映画関連の記事を書いておられてフォローもさせていただいている松重ひろさんの記事です。一読して「これは見るべき作品だ!」とビビッと来まして、即AmazonPrimeVideoを視聴した次第です。

あらすじを含め内容につきましては松重さんのレビューをぜひご覧いただきたいのですが、ざっくり書くとこんな感じです。

・世界(ブリュッセル)は神様がパソコンで作った。
・今は人々を苦しめる仕組みを作って楽しんでいる。
・神様は天上で4人家族。
・家族は奥さんの女神様、息子のJC(=磔刑の人)、娘のエア。
・JCは勝手に下界に降りて帰ってこない。
・エアが父親に反抗。パソコンを使って全人類に余命を通知!
・エア、下界に降りて使徒を6人集めて新新約聖書を書くことを決意。
・神様、エアを追いかける。
・余命を知った使徒6人6様の人生と、余命が通知された世界の運命は!?

箇条書きで9行ありますが、ご心配なく。8行までがイントロです。

正直キリスト教にはあまり詳しくない私ですが、物語はシンプルでとてもわかりやすく、そしてかわいいです。同じように余命宣告が通知される物語としてはNETFRIXの「地獄が呼んでいる」がありますが、雰囲気は正反対で、とても穏やかな気持ちで観ることができる作品でした。

ここからが感想です。
基本的に私たちは生まれながらにして「寿命」という余命宣告を受けて生きています。曖昧ですがまあ100歳まで生きられれば上等だよね、という感じです。最近よく見る「○○歳までにこれをやっておけ」みたいな書籍が売れているってことは、皆が余命というものを意識している証拠だと思います。

しかし、上でも書きましたが、それなりの歳になってくると余命という言葉がもっとリアルに響いてくるようになってきました。

例えば、こんな感じです。私が100歳まで生きるとしたらオリンピックはあと10回です。では10回前のオリンピックはどこかというと、ロス五輪です。若い方々には遠い歴史上の話かもしれませんが、私にとってはつい最近の出来事のような気がします。話題の映画PLAN75に準じて自分の寿命を75歳で計算するとオリンピックはあと5回。5回前のオリンピックはアテネ五輪です。こう書くとほら、意外とすぐだったりするわけです。若い皆さん、老いの加速は想像以上ですぜ。

とまあ、寿命について嫌なことばかり書きましたが、そんなに暗い気分になるもんでもないんですよ。寿命があるってことは良いことです。生きてるうちに、元気なうちに何かをやっておきたい、何かをやるまであと何年は生きていたいって気持ちは、うまく表現できませんが、すごく生きていくうえでの馬力になるんですよね。背中押してくれる。この先身体が言うことを聞かなくなれば話は別でしょうが、今のところはまだ大丈夫。限られた時間だからやれることも限られているけれど、その限られた何かだけでもちゃんとやんなきゃな…そんな自分の想いと「天国メール」の登場人物たちの姿が重なって、見ていてとても心地よかったです。

それと、もう一つとても面白かったのが「神様」の描き方です。
この作品の神様は人間がうんざりする仕掛けを作っては人間をイラつかせて楽しんでいます。一見突飛に見える神の姿ではありますが、一晩考えて意外と私が思っていることと近いかも、と思うようになりました。

私もここまで生きてきて、いいこともあれば悪いこともありました。神頼みをしたことも何度もありますが、よくよく考えれば神様にお願いして何かが好転したなんて記憶は全然ありません。むしろ私たちは神様が用意しているさまざまな意地悪を前にして、それを克服することで成長というか前進している感じがするんです。

例えば私たちは移動するために車という道具を持っているわけですが、そもそも神様が私たちをもっと移動しやすい身体にしてくれればいいわけであって、意地悪くも足が遅く移動に時間がかかるような体にされてしまったから、私たちは頑張って車を作った、みたいな。たとえ悪いですかねコレ。

最近ちょっと不運な目にあって、「それでも正月に家内安全のお祓いをしてもらったからこれで済んだ」なんてことも言われるわけですが、その考えって神様に都合が良すぎるよなあと思うわけです。そもそもお祓いしたんだから不運な目に合わせるなよと。

そんなこともあって、確かに「神様は意地悪しか考えていない」ってのはその通りだよなあと感心してしまった次第です。

アマテラスも一度ウズベキスタンに行ったらいいんだよ!

…というわけで支離滅裂な文章で作品の良さが全然伝わらないと思いますが、神様メール、詩的な映像表現であふれている上、女性はどこまでも美しいし、さらに物語もすごく素敵でかわいいのでおススメです。

松重さん、素晴らしい作品を紹介していただきありがとうございました。
あと、こんなレビューですいません…

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