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冷静さを欠いた映画レビュー

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冷静さのかけらもない、感情にまかせた映画レビューをちょいちょい書いています。
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記事一覧

いいぞ相鉄もっとやれ! --- 相鉄・東急直通線開業記念ムービー『父と娘の風景』

CMではなく「記念ムービー」なので、私の中では映画枠です。 私は相鉄沿線住人なので、明日からの東横線直通にかける相鉄グループの思いというのはよくわかっています。JR、東急への相互乗り入れの計画が発表されたときは夢物語のようでしたが、見事に実現してくれました。 まあ実際のところ、沿線住人としては通過列車や待ち合わせが増えたり、直通と言いながら途中での乗り換えが必要だったりと不便になったことも多いのですが、今は都心乗り入れの悲願を達成した相鉄に素直におめでとうと言いたいです。

心底女性が羨ましい! --- 「ミセス・ハリス、パリへ行く」ショートレビュー

本当に、見れば絶対幸せな気持ちになれる映画なのに、上映館が少ないのがもったいないなあ。今のほとんどの人たちは大画面だったり大音響が必要な作品以外は「配信で見ればいいや」って選択になっちゃうのがすごく残念。この映画は日比谷あたりの映画館にでかけていって見終わったあとにちょっと奮発してお買い物して帰ろうかなみたいな楽しみ方をするのが最適解なんじゃないかと思うのですが…。 まあ、出てくる品物がクリスチャン・ディオールのドレスなのでおいそれと買って帰れるものではないのですが、まあ目

煙草をふかす井上真央! --- 映画「わたしのお母さん」ショートレビュー

井上真央という女優さんから受けるのは「真面目な人」というイメージです。主役をつとめた大河ドラマ「花燃ゆ」の視聴率が振るわないことに対して「自分の力不足」と責任を背負ってしまうような姿が印象に残っているからかもしれません。役柄も普通に良い人の役が多かったように思います。 この作品では長男夫婦の元を追い出された母親をやむなく引き取る長女の役なんですが、ちょっとグレた井上さんがなかなかいい感じです。まあ子供のない夫婦共働きの家庭に少々自己中心的で厚かましい母親を急に迎え入れたとこ

おバカな君にいてほしい --- 映画「マイ・ドッグ・ステューピッド」ショートレビュー

久々に目をつぶってキノシネマ。今日タイミングがこの作品。軽めのヒューマンコメディですが、とても良かったです。 主人公のアンリは中年と言うより初老に片足っこんだくらいの小説家。デビュー作で大当たりして以来泣かず飛ばすではあるものの、綺麗な奥さんと息子3人娘1人。金銭的にも何不自由無い暮らしをしています。もう子供たちも十分に大きくなってはいるものの、豊かな暮らしの中で甘やかされて来たのか口ばっかり達者になって親のすねかじりから抜け出せない。なんだかんだで家庭内の雑事や心配事に追

記憶を失いたいのは本人か。 --- 映画「宮松と山下」レビュー ちょいネタバレ

※今回のレビュー、敬称は略させていただきます。 酒癖の悪さと、女性への暴力行為で香川照之が芸能界の表舞台から3か月が経ちました。年始恒例のカマキリ先生が観れなくなったのは残念ですが、世の中はたいして変わらず、「香川照之」はもはや最初から世の中にいなかったような感じになってます。 そんな中「宮松と山下」の予告編を見て、久しぶりの香川照之はやっぱり凄そうだという期待感がどうにも膨らんでしまったので観てきました。 いつものように公式サイトからあらすじを引用します。 エキスト

ケーキナイフでも深く刺さる。 --- 映画「カランコエの花」AmazonPrimeVideo版 レビュー

配信サイトの「あなたにオススメ」みたいなカテゴリーで見たいと思うことは普段あんまり無いわけですが、今が旬の今田美桜さんの主演作ということがひっかかり、見てみることにしました。 公式サイトからあらすじを引用します。 LGBTの啓発を目的に作成された映画なのかどうかは知りませんが、教習所とか学校の授業で見せる教育的な映画独特の押しつけがましい雰囲気は全くありません。たった39分の作品ですが、とある田舎の学生たちの間に起きる小さな出来事とそれが学生たちにあたえていく影響を描いた

それを見せる西野七瀬は凄い。---映画「恋は光」AmazonPrimeVideo版 ショートレビュー ネタバレあり

前回の「ハケンアニメ!」に続いて今年見逃した作品を配信で観る企画の2本目は小林啓一監督の「恋は光」です。 出てくる人間がイチイチおかしなしゃべり方をするとか、「乙女ちゃんか!」と突っ込みたくなる女子連中とか、あの年代の男子があんなにストイックだなんてテストステロン値を調べてもらったほうが良いんじゃないかとか、そもそも恋心が全然わからない人間が文学作品が楽しめるのかとかそういう話はもうどうでもいいです。 たったひとつ、"それ"さえ見せてもらえれば。 この作品はそういう作品

私のところにもようやく届いた。--- 映画「ハケンアニメ!」AmazonPrimeVideo版 ショートレビュー

「良い作品が売れるとは限らない。」 「作品がどんなに良くても見てもらわなければ意味がない。」 作品の中に出てくるセリフです。 そ れ を 地 で や っ て ど う す る よ ? と思わず言いたくなるこの作品。トップガンに正面からぶつかってしまったらしく一部で相当な高評価を得ていながら、ぜんぜん私のところには届いていませんでした。当時どんなプロモーションの仕方をしたのか知りませんが、吉岡里帆いいよなーと思っている私なのに「見たいリスト」に入っていなかったのです。 一

ベタをやるにはココが要る --- 映画「天間荘の三姉妹」レビュー ネタバレあり

※今回は敬称を略させていただきます。 感想は後ほど、とつぶやいておきながらずいぶんと時間が経ってしまいました。この作品を褒めたい自分とその逆の自分がいてどうにも感想がまとまりません。 とりあえず公式サイトのあらすじを引用します。 --- --- この作品は髙橋ツトムの人気漫画「スカイハイ」のスピンオフ作品「天間荘の三姉妹-スカイハイ-」が原作です。それなりに長い作品を上手く1本の映画にまとめていましたが、やはり説明が足りないと感じるところも多々ありました。わかりにい

どうすればこんな演技ができるのか。 --- 映画「千夜、一夜」レビュー ネタバレあり

もう前振り無しで本題行っちゃいますが、もうびっくりなんてものではなかったです。田中裕子凄い。いや、彼女だけじゃなくて監督の腕も脚本の冴えもあるのだとは思いますがこの作品、終盤はずっと全身鳥肌立てて観てました。正直、私が感じた凄さの1%も伝える自信が無いです。 北の離島(平たく言っちゃうと佐渡)で突然失踪した夫を30年に渡って待ち続ける女、登美子(田中裕子)。 ある日彼女の元に2年前に失踪した夫の洋司(安藤政信)を探す女、奈美(尾野真千子)が訪ねてきます。奈美はなぜ夫が消えた

富田靖子は今でも --- 映画「向田理髪店」レビュー ネタバレあり

今日は夜勤なので空いた時間に映画を見ようと思ったら、キノシネマもブルク13もイオンもTOHOもキネカ大森もイマイチ食指が伸びず、最後に横浜のムービルを覗いたら大正解。「千夜、一夜。」か「向田理髪店」かで悩み、結局「向田理髪店」を鑑賞。最終的にダンカンと板尾創路のどちらの顔が見たいかで選びましたw。 相鉄ムービルは私たち50代の浜っ子にとっては、映画のイロハを教えてくれた映画館です。現在の横浜シェラトンホテルの場所にあって、第1次アニメブームの時はセル画欲しさに徹夜で並んだも

綾瀬はるかも凄いけど麻生久美子が! --- 映画「はい、泳げません」レビュー ネタバレあり

本作、なかなか時間が合わずに観れないでいて、U-NEXTでは配信も始まったということで映画館で観ることをあきらめていたのですが、こちらの記事を読んで再度鑑賞意欲がムクムクと湧いてきたので久しぶりにキネカ大森を訪ねることにしました。 最近はシネコン以外だとキノシネマばかり通っていたのですが、久しぶりのキネカ大森、やっぱいいですねぇ。何がいいって、ロビーに溜まってる客の雰囲気です。まあ普通の映画好きの方々なんでしょうが、なんとなくツワモノ揃いというか、無頼な感じというか、鬼滅の

度付きIMAX眼鏡を早く売れ! --- 映画「アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター」IMAX3D レビュー

どなたかのレビューにもあってとても共感したのですが、私もリアルタイムのアバターに乗り遅れてしまって、映画館で観るチャンスをずっと待っていました。 まあ当時はCGのあの顔も3D映像もどうせ作り物っぽいだろうと高を括っていたのですが、あとからあとから聞こえてくる評判にアホですからどこか意固地になっていたんですかねぇ、結局観ずに内心後悔していたわけですが。 いやあ、見て良かったです。わざわざ映画観賞用の眼鏡を作った甲斐がありました。 後半のクライマックスあたりは何となくテレビ

”いい意味で”より苦手な言葉がある。 ーーー 映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』レビュー ネタバレあり

先日靴ひものロンドを観た際に予告編を観て、最後の岸井ゆきのさんの啖呵が素晴らしすぎたので、観に行ってしまいました。 その啖呵というのが、↓これ。 ”いい意味で”って何なの!? 私ホントにそれ嫌い!” ひゃー、相変わらず岸井さんステキです。 というわけで、公式サイトよりあらすじです。 私は夫婦円満の秘訣は、互いに不満を溜め込まないことだと思っているわけですが、うちのカミさんはなかなかそれが苦手らしくて、しばらく機嫌良さそうな日が続いてるなと思うと必ず内心でなにか溜め込