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#沈黙のパレード

こちらの記事は、週に一度二度、映像作品(主に映画)を見る私が、その感想を整理するために書き殴る内容となりますため、読者向けの言葉遣いをしておりません。ご了承ください。また、私はその作品を見ることを楽しみにされている視聴者へのネタバレを行うことを、強く目的にしておりませんため、私と同じくネタバレが苦手な方は閲覧を控えてください。追伸、座右の銘は「予告なんて一度も見ない方が楽しめるやんか」です。よろしくお願いいたします。(使用可能なものを検索して写真を使わせていただいております。)

本日は「沈黙のパレード(ガリレオシリーズ」です。

はじめに

熱狂的な原作やテレビドラマのファンではありませんが、過去作「容疑者Xの献身」を自宅で見てラストシーンで号泣しました。全体的に暗いものの、堤真一さん演じる石神哲哉を中心とした脚本と、がっちりとはまる主題歌「最愛(KOH+)」もあってその世界観に没入しました。私の彼女の影響でテレビドラマ版も見るようになりましたが、テレビドラマ版と映画版では福山雅治さん演じる主人公、湯川学のキャラクター設定というか性格に違いを感じています。テレビドラマ版が作品映えするアクティブな印象が特に強いがしているのですが、映画版は暗くネガティブな印象で、続く「真夏の方程式」でも「僕が事件を解決しても、誰も幸せにならない」的なことを言って暗いです。本作はテレビドラマに近い印象です。普段は洋画ばかり見ていますが、契約しているサブスクリプションで貯まっているポイントでほとんど無料で見られるため、映画館に行ってきました。原作は読んでいないため、機会があれば原作を以て記事とできればとも思います。

最初のシーン

どこか知らない街のお祭り、夕陽を浴びて透き通った声で「Jupiter」を歌う少女。目の前の審査員に緊張している様子で1回目の伴奏には声が出ずに歌い直すと、2回目に聴こえてくる歌声はとても伸びやかで暖かく、その心地よさに見守る観客はうっとりして笑顔で見守る。そこには恋人や両親や妹、彼女を昔から知る商店街の友人など、その全員が彼女の家族のよう。審査員を務めた方は彼女を導き、いよいよ歌手としてデビューというところで彼女は死んでしまう。彼女の人生をダイジェストで見届けているだけで私は辛くなりました。

ストーリー

彼女が死んでしまった事件には明確に犯人が居て、両親をはじめ彼女を想う人々が容疑者となる。その犯人は湯川学の親友で刑事の草薙が過去に担当した事件で無罪となった容疑者の男だったことから、本来なら担当でない草薙が捜査本部に呼ばれるところから始まる。犯人の名前は蓮沼寛一。父親が刑事であった彼は事件の被疑者が完全黙秘を貫けば罪に問われないという知識から、草薙が担当した過去の事件で完全黙秘をして無罪となった。蓮沼は今回の事件でも完全黙秘によって無罪となり、性懲りも無く遺族の前に現れるが、そのうち何者かの手によって蓮沼は窒息死かと思われる状態で遺体となって発見される。殺人であったとして絞殺痕のない遺体、周囲の人間には殺害する動機があるもののアリバイがある。本作は蓮沼の殺害事件がきっかけとなって主人公湯川学が動き出す。この事件で蓮沼の殺害容疑で容疑者となった被害者少女の両親や彼女を昔から知る商店街の友人達は、彼女を思うあまり主人公湯川学や刑事の取調べに対して不信感を露わに口裏を合わせて黙秘を貫こうとする。複数の容疑者全員が黙秘を貫くところから「沈黙のパレード」と銘打っていることが分かります。

相関図(おじさんの名前忘れました。青い方が共犯)

印象的なシーン

  • 最初のシーンで被害を受けた少女が歌手を夢見たシンデレラストーリーはダイジェスト映像ですが、私は冒頭からこんな純粋無垢な彼女が死んでしまうんだろうと考えるとしんどかったです。

  • 捜査本部に呼ばれた草薙が「なぜ私が呼ばれるのか・・・」と言い始めたところで事件詳細が書かれたホワイトボードに、過去に自分が関わり未解決となった事件の被疑者の名前を見つけ、思わずその場で嘔吐してしまう。これまで飄々としていたキャラクターからは想像できない拒絶反応が辛いです。

  • 事件前から数ヶ月、現場の地域で研究していて、並木家の常連となっていた湯川学が商店街の常連とお酒を飲んでいると、その場の全員が憎む蓮沼が飲みに来たと言い店に現れる。店にいた常連は怒り狂い、被害者の父親は包丁を手にするが常連に止められる。蓮沼は全員の心を逆撫でするように言葉を吐き捨て、火を点けていたたばこを床に投げ捨てて出ていく。

  • 商店街で毎年行われるお祭りの裏で、蓮沼が遺体で見つかる。

  • 湯川学が草薙と部下の内海に蓮沼が殺害された方法を考察し始め、初めて説明してみるが、突飛な説明をしてそれ以上の方法が浮かばなくなる。時間を貯めに貯めて発した「さっっっっっっっぱり分からない」は爆笑。

  • 捜査はやんややんやする。

  • 結果的に被害者の恋人だった高垣が最初に自供し、「蓮沼を懲らしめようという企画に乗ったが、殺してしまうとは思っていなかった」ことと、被害者の父親の親友である戸島より持ちかけられたと言う。そこから高垣、戸島、並木祐太郎、新倉直紀、吉田羊さん、蓮沼の同僚おじさんが共犯だと分かる。

  • 蓮沼の同僚おじさんが睡眠薬で蓮沼を眠らせる。戸島が液体窒素を用意、吉田羊さんのお祭りの荷物に紛れ込ませ、高垣が荷物から液体窒素を取り出して蓮沼の自宅の前に置いて去り、並木祐太郎がその液体窒素を使って蓮沼に娘の殺害を自供させて殺さずに助けるというか懲らしめる計画だった。

  • 並木祐太郎が担当する予定の前に店に来ていたその日最後の客が腹痛により病院に送ることになり、並木と戸島の判断で計画を中止することになった。

  • 新倉直紀は中止の判断を受けて蓮沼の自宅前に放置された液体窒素を回収すると申し出るが、実は蓮沼は並木祐太郎の代わりにその役を行い、被害を受けた少女の殺害を自供させた上で液体窒素そのまま浴びせ続け、殺害してしまう。

  • 湯川学は捜査から考えられる自身の仮説を並木祐太郎に話す。湯川学は新倉直紀が警察に自首してきたとの電話を受ける。

  • 草薙は新倉直紀の供述に違和感を感じながらも、彼が実行犯であると結論づけるが、その報告を受けた湯川学は同じ違和感に草薙が気づかないはずは無いと容赦無くそれでいいのかと言い、草薙は湯川学の胸ぐらを掴む。

  • 湯川学は並木祐太郎に話したこととは違う自身の仮説をある人間に話し始める。

感想

私には過去作「容疑者Xの献身」の方が全体の世界観に没入しやすく感動的でした。過去作は堤真一さん演じる石神哲哉が全ての罪を背負い、刑務所に連行される直前に彼が庇った女性が自供してしまうことで、冷静で寡黙な彼の悲痛な激情を感じるシーンによって視聴者の感情を揺さぶる。今回は共犯者が複数居ることと、犯人がどういう状況で死んでしまおうと後悔のないことで、共犯者たちの犯行や罪に対する責任というか希薄だったように見えたこと。また、最初の人間が自供したところから湯川学が視聴者に根拠説明のないまま仮説を話し、共犯者はみんなどんどん自供し始める姿がとんとん拍子過ぎるので、過去作の寂しさや重厚さのようなものを感じませんでした。結果的に共犯者全員が殺人幇助に関わっているのに、一部の人間は状況証拠を以て何の罪にも問わないということに違和感を覚えました。私にはそう見えただけかも知れません。前述「はじめに」で申し上げたとおり原作を読んでいないため、私の違和感や疑問点を補完する内容があるのかも知れませんが、機会があればそれを読むか、今後自宅で映像を再視聴する機会があれば、この記事を再検討したいと思います。

おすすめな見方

とは言えこれまでの作品で見られた湯川学と内海の掛け合いや、そもそも福山雅治さんと柴咲コウさんの共演と主題歌制作そのものはファンの待望する事実です。私は北村一輝さんが大好きなのですが、北村さん演じる草薙を含めた3人の声が物語を通して落ち着いていて一生聴いていられます。ただ、物語の本質に草薙はがっつり掛かり、常に葛藤を抱える姿にこれまでの飄々さは無いため、草薙ファンの視聴者の皆さんにはそれを一緒に受け止めてあげる覚悟を持っていただきたいです。総じて、まだまだ人の運びの少ないうちにでも映画館で観ていただきたいと思います。

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