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否定は時に自らの描こうとした世界を壊したがるんだ(短編小説)

世の中を渡り歩くとこんな言葉が飛びかってくることがある。


『夢でも見てるんじゃないか?目を覚ませって』


『ありえないよそんなことができる世界なんて』


『そこに行ったら危ないよ戻っておいで』


子どもの頃に夢を語ると誰もが聞く言葉。

確かにこの言葉の多くは今まで産まれてきた子どもに世の中のルールを教えることで不運な人生な事故から救ってきた。

それは大人になるにつれてその人の常識となりまたその子どもに伝わっていくというような一種の慣習となりつつある。

ただ、ここに1つの問題が生じていた。


『人は否定され続けると、自ら夢を壊して安定という夢を見る』


ということだ。当たり前だが全くもって悪いことではなく、むしろ、この事が多くの家庭を守ってきた。

その逆もしかりで…

『人の忠告を無視し続け、自分の勝手だけで判断して行動したら夢の世界におぼれた』


このおぼれた状況にならないように助けてきたのがその前述である。

ただ、これらは、まれで普通に生活していれば起こることはほとんどないはずだ。

世の中がそんな人だらけであればどこもかしくも治安の悪いスラム街へと一直線だと思う。

では、そろそろ前置きはおいといて、次に進もう。

大人になるにつれて子どもが持っているものを失うのはなぜだ?


『大人になるにつれて思うことがあるんだよね』

居酒屋で親友のさつきが話を繰り出した。

『なんだよ、いきなり』

俺は、こう話を返すとさつきはこう答えた。

『なんか、大人になるにつれて大きな夢をみなくなったなって思ってさ~』

『また、始まった』

さつきは、お酒が進むと仲の良い年下に対して人生のボヤキを語り始める。

ただ、毎度の事なので少しウンザリはするものの毎回そのボヤキが面白く本質をとらえている。

楽しみとウンザリさが半々といったところだ。





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