[ 創作墨字 告白 ] 娘の嘘は母娘の闘いがもたらした

我が家にやってきたばかりのあの娘は
確かな存在感を放っていた

日常生活に手助けが必要ではなく
放っておいても構わない

こちらが妙に気を遣わずとも
あの娘はちゃんと自分のことに集中し
必要なタイミングを見計らって
私に声をかけてくる

なんというか、
それが絶妙なタイミングなので
感心するのを超え
腹ただしくさえ感じる

完全に私の「気」を超えているのだ


私の母はお見通しだったらしく
「あなたに叶う相手じゃないよ」と
何度か忠告頂いた。


しのごの言おうが言うまいが
生活は続く 


何もかも操られてしまう恐怖が湧いてきて

そうはさせまいと
必死に抵抗する



どんと構えていれば良い


そんなふうに一言で括ってしまえるほど
単純なものではなかった



妻と娘が1人の男を奪い合ったのかと言えば
それは全く違う

女と女の目に見えない闘い

手綱を握るのはどっち
主導権を持つのはどっち



後ろに下がったフリしておけばいいのはわかっている


それが全くできないことがもどかしいのだ


出口のない隅っこに追い詰める戦法

勝つにはこれしかない

そうやって追い詰めてしまったのは私なんだと
。。

追い詰められても負けを認めたくないあの娘は
仕方ないからその場しのぎの嘘を使う

そうしないと出口が見つからなかったのだろう


そのうちそれが癖になり
それが普通になる



なぜ手を差し伸べられなかったのか

考えてもせんないことだが
私が小さかった

そして過ぎ去った時は戻ってこない


戻ったとして


だったらどっしり構え
手を差し伸べることができるのか



いや

全く自信がない


[ 五輪の創作墨字 こくはく ]

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告白するときは、そっと小さな口をあけ

少しずつ少しずつ心を開いていくのです。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます! これからもていねいに描きますのでまた遊びに来てくださいね。