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連載小説 ロックンロール先生(25)


僕達はオーディションにどの曲で挑むか話し合った。コピーバンド達に勝つにはオリジナル曲で勝負すべきだと、僕達は全員一致でグラハムと僕が最初に作った曲に決めた。

僕達のバンドは下手で落選第一候補だと軽音の中で噂されていた。オーディションまでの間、僕達は勝負曲を徹底的に練習した。

オーディションの順は抽選で決まる。僕達は一番最後の順番だった。実力派と噂されるバンドが次々と演奏を終えて行く中、僕達は緊張しながら出番を待った。彼等の演奏は確かに上手いかも知れない。だが僕には本家のCDを聴いている様にしか思えなかった。

二十組以上が演奏を終えた。流行曲のコピーで曲が被るバンドも多かった。飽き始めた審査員達が採点用紙に落書きしたり、大きな欠伸をしている。そしてようやく僕達の出番がやって来た。

「下手くそ達出てきたぜ」

「やっと最後だ、さっさと終わらせろ」

ひそひそと聞こえる声も全く気にならない程僕達は集中していた。ロック魂込めて全力で演ってやる!僕はマーシャルのアンプのボリュームを最大に上げた。


つづく

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