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使ってみた。 『ブリリアント』

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

パン屋さん時代に考えたこと、やってみたこと、使ったもの 25.

2014年、大丸京都店さんへの出店にあたり、これまでとは違った商品構成をと決めたのがベーグルとドーナツだった。

ぼく自身はこれまでほぼ食べることもなければ作ったこともないベーグルを作ることにしたので、今回もとにかくいろんなお店のベーグルをたくさん食べた。
パンラボの池田さんと一緒に視察へ行ったN.Y.でも、とにかくベーグルとドーナツを食べる。食べて考えて、また食べる。これの繰り返し。

今度は試作の繰り返し。
実際に試作をしてくれるのはうちのスタッフで、ぼくは「もっとこうしてみて」と伝えるだけ。
ぼく自身がそうだったように、完成された配合(レシピ)を集めるよりも思考錯誤してたどり着く方が、きっとみんなにとって良い経験になると思うから。

3ヶ月間ほど試作を繰り返しオープン日が近づいてくるといろんなものを混ぜたものが出てきたけれど、ぼくはすぐにプレーンのベーグルの試作を続けるよう指示をした。
プレーンの生地で美味しいものが完成しない限りチョコレートやレーズン、リンゴなどを混ぜても本当に美味しいベーグルにならないと考えていたし、逆に言えばそれさえできれば、バリエーションは後からどうにでもなると思っていた。
ぼくの考え方の基本で、これはベーグルに限らず他のパンでも同様になる。

これなら大丈夫だろうと思える生地が完成したのが、オープン10日前のこと。
その3日後、たまたま店に来られたニップンの営業担当さんから「こんな粉が出たんですよ。ドーナツなんかには良いと思いますよ、使ってみませんか」と、いただいたのが発売されたばかりの『ブリリアント』という銘柄の強力粉。
普段ならお願いしたわけでもないサンプルを使うことはないけれど、せっかくなのでこれを使って早速ベーグルとドーナツを作ってみると、それまでと同じ配合とは思えないほどの出来だった。
オープン1週間前での変更だったけれど、直前にこんな良い小麦粉に巡り会うぼくは何て強運なんだと思ったし、このタイミングで持って来てくださった営業担当のおじさんが天使に見えた。

その後、ベーグルとドーナツだけでなく、うちの全店舗の強力粉をこのブリリアントに変えた。
ぼくは同業者の方に驚かれるほど(呆れられるほど)使用する小麦粉の種類は少なくこだわりもないので、創業当時から今日まで使用する銘柄を変えることもなかった。そんなぼくが長年使用していたものを即決で変更するほどの強力粉だったともいえる。

ぼくが書くのもどうかと思うけれど、良い粉だと思いますよ、ブリリアント。

つづく


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