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厨房 ≒ 厨房

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

ぼくがお世話になったファミレスの厨房は、いま思い出しても本当によくできた厨房だった。
30年も前の厨房なので、いまのようにスチコン(スチームコンベクションオーブン)や真空調理機、電磁調理器といった調理機器やコンベアオーブンのような特殊な設備があったわけでもない。いわゆる洋食屋さんやレストランの厨房を想像したときに誰もがイメージされる昔ながらの設備のみだった。
それでもまったくというほど無駄のないレイアウトに加え、無駄な作業や動作をなくすための工夫が至るところにあるお陰で本当に動きやすい厨房だった。

とはいえ、ぼくの主なポジションは洗い場だったので他の厨房を知るまでは、あの厨房の素晴らしさに気づいていなかった。
その後いろんなお店で働く中で、ファミレスの厨房が幾度となく脳裏に浮かびフランス料理屋さんで働いているうちに、ふと思った。

それにしてもよく考え抜かれた厨房だったな
ファミレスでは鉄板にのせたステーキやハンバーグ、簡単なサラダ、スパゲッティなどを作っていたけれど、あの厨房でフランス料理を作ることは十分可能だな。というよりあの厨房の方が効率よく作れるんじゃないか

考えてみれば当たり前の話で、そこ(厨房)にある設備や道具はオーブンやコンロ、フライパンや鍋、包丁・・・と、フランス料理屋さんであれファミレスであれ基本的には変わらない。
ぼくは小さなフランス料理屋さんで働きながらファミレスの厨房を想像し、よく頭の中でフランス料理を作ってみた。

絶対にできる。上手くやればフランス料理のファミレスがつくれないかな

このときに思い描いたことが、その後ずっと変わらず頭の中に残りつづけることになる。
ぼくは修業中から今日に到るまで、いつかやりたいことの一つにフランス料理のファミレスがあった。
自分で店をして以来、いろんな取材やインタビューをしていただく中でも「いつか、フランス料理のファミレスをつくってみたい」 と度々話してきたし、それが活字になったこともあった。


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