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そこじゃない、と思う

ここ最近の相場は株式であれ為替であれ、退場者続出の死屍累々といった惨状なのではないかと想像する。
捉え方や投資スタイルによるけれど、特に短期投資の人にとって今の相場は、それくらい難しい。

為替介入だ、トランプさんの発言だ、と一喜一憂し、わちゃわちゃしているのは相場に触れている人たちがほとんどだと思うけれど、その人たちにとって今一番の焦点は、やはり日米金利差だと思う。そしてその根底には、金利差が縮まれば円安が是正されるといった考えがある。
先日16日の日経新聞にも「円相場、米利下げ回数が焦点 介入効果には限界も」の見出しで、「市場関係者の最大の注目は米利下げ動向。」とあった。

本当にそうなのか
てか、天下の日経新聞がそれでいいのか

コロナ禍以降この2年ほど、ドル円と金利差の推移は相関すると言われてきた。
だから金利差が開けば(上がれば)同じようにドル円も上がる(ドル高・円安)と思っている人がいるし実際その通りだったけれど、最近ではそうでもなくなった気がする。
それに、3月には日銀がついにマイナス金利の解除を決定し長期金利は一時、1%を超えたけれど、それでもドル高・円安は止まっていない。

リスクシナリオを考えてみた

4月以降、金利差は拡大していないのにドル円が上昇しているのは、日本円が独歩安であることや、そこが本丸でない証左な気がする。
もちろん短期的には、金利差が円安や円高といった為替に影響を及ぼす要因であるのは間違いない。だから市場関係者や投資界隈の人たちがそこを注視するのは、わかる。
けれど世の多くの人を苦しめ不安にさせている円安、インフレは、それではおそらく止まらない。それどころか、ぼくはまだまだ進行すると思っている。

米国のインフレ率が低下したことで、9月のFOMC(金融政策決定会合)では利下げを決定するとの見方が強まった。
仮に予定通り米国が利下げを、日本が利上げをしたとする。すると金利差は縮まるので円高・ドル安に振れるのは間違いない。しかしこれも中長期的には、またドル高・円安に戻ると、ぼくは思っている。
上述したように、すでに金利差の拡大がなくてもドル円が上昇している現実があるし、最近では米国の統計が悪くなってもそれほど円が買われていない。

そもそも問題の根源はおそらくそこじゃない。
だから為替介入が焼石に水だったように、日米金利差の縮小も「為替介入よりはマシな時間稼ぎ」にしかならない気がする。

「仮に」それぞれが利上げ、利下げをしたらと考えてもこう想像するのに、そもそも日銀は本当に利上げできるのかな。
個人的には、利上げをしなきゃならない局面を迎えていると思っているし(まぁ遅すぎたってことだと思う)、日銀だって内心はこう思っているに違いない。

そんなこと、わかっとるわ。やれるもんならオレだってやりたいわ


日本は景気が悪いから利上げができない
利上げをすると中小零細企業の倒産が増加する

その通りだと思うけれど、それがいわゆるゾンビ企業を増加させ、結果、生産性の上がらない日本が世界の負け組になった要因の一つでもあると思っている。こうして甘い顔をし、問題の先送りをしてきたツケがいよいよ回ってきたのが現在の日本なんだろう。

それに、鶏が先か卵が先か的な話になるけれど、景気が悪いから利上げができないのではなく、利上げをしないから景気が悪くなっているとも考えられる。中小零細企業や消費者を苦しめている今のインフレ、円安は、利上げをしないことも要因なんだから。

また、一番利上げをしたくないと思っているのは、国債発行という放漫財政を長年繰り返してきた政府だろう。利上げをすると予算の財源に困ることになるだろうし、政府の利払いも雪だるま式に増えることになる。

そんな政府や日銀にできることは、もはや非常手段であるはずの為替介入を連発する時間稼ぎくらいしかない。
今後、利上げは避けられないだろうし、その時に増税、あるいはシン・〇〇税で尻拭いをさせられるのは、ぼくら国民なんだろう。

もう一つ。
先日の暗殺未遂事件もあって、すっかり空気は「もしトラ」から「確トラ」になり、トランプ劇場が始まった。
多くの人が米国は次回のFOMCで利下げを決めると思っているところに、「大統領選挙の前に利下げをするべきではない」と、トランプさんがFRBを牽制したというニュースがあった。
一方日本では、おっちょこちょい河野デジタル大臣が管轄外であるにもかかわらず、海外メディアで円安についてコメントをしたせいで円高期待が高まっている。

今月末には日銀政策会合、9月にはFOMCがある。
米国の「利下げは織り込み済み」だから、あまりドル売りにならないかもしれないけれど市場の期待が高まる中、もし米国の利下げがなかったり、日銀の発表が期待外れだったとしたら・・・
失望は、さらなるドル高・円安を進行させる可能性が高い。

外国為替証拠金取引(FX)をはじめ投資をされている人は、十分に気をつけましょう。

つづく



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