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記憶に残るレイアウト

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

ぼくは記憶力がとても悪い。
人間の脳の働きがどうなっているのかよくわからないけれど、不器用なことと記憶力というのは連動している気がしてならない。
脳の記憶を司る部分が他の人と少し違っていたり、何か大切なパーツが欠けているのでは、と本気で思ったりすることまである。
一方で30年も前の記憶が鮮明に残っていることもあるので「よくそんな昔のことを憶えているな、記憶力良いね」と言われることもあるけれど、きっと憶えていないことの方が多い。

大変なことであっても楽しかったり好きなこと、興味あることは鮮明に記憶する代わりに興味の浅いことなどは削除している気がする。
自覚する容量の少なさを考えると削除というより無意識のうちに記憶する、しないを初めから取捨選択しているのかもしれない。

そんなぼくが鮮明に憶えているものの一つに、厨房のレイアウトがある。
フランスも含めこれまで働いてきたお店のレイアウトを憶えているというわけでもなく、なぜか一番最初に働いたファミレスのものだけが鮮明に残っている。
無論ファミレスのアルバイトを辞めた30年前以降、その厨房に入ることもなければ誌面などで目にしたわけでもないし、その後何軒ものお店の厨房を観てきたはずなのに。
初めて働いた厨房ということや思い入れのある好きなお店だったことはあるかもしれないけれど、特段に厨房レイアウトを憶えようと意識したこともない。
その後働いたお店にも大好きなお店は何軒もあったし、厨房で過ごした時間だってファミレス時代よりも後に働いたお店の方がどこも長い。

それでもファミレスの厨房だけを鮮明に憶えているのは、恐らくその考え抜かれた動線などが本当に素晴らしかったからだと思う。


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