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4分前後コント集~その1「殺人鬼」

親友のケントに呼ばれて自宅を訪ねるタカシ

ピンポーン(呼び鈴の音)
ガチャ(ドアを開けるケント)

ケント「ごめんねー!忙しいところ(やたらテンション高め)」
タカシ「なんかいつもと違うぞ。気持ち悪いな」
ケント「まま、さあさあ上がって」

(タカシは一足だけ女性のパンプスがあるのに気づく)

廊下を抜けるとリビングが広がっている。
ソファには女性用のブランドバッグ、
ハンガーラックには女性用のコートとストールが
タカシの目についた

ソファに腰掛ける二人

タカシ「あれ、今日呼ばれてるのオレだけ?」
ケント「そうだよ。タカシに話しておきたいことがあってさ」
タカシ「いやいや、みんなも呼ぼうぜ(ちょっと不安がる)」
ケント「タカシだけに伝えたいんだよ(ちょっと意味深)」
タカシ「(部屋にある女性モノを見回して)
    いやいや、無理無理(慌てる)」
ケント「大丈夫だよ」
タカシ「大丈夫って、何が?(ますます慌てる)
    オレ、そんな趣味ないからな!」
ケント「何言ってんの?」
タカシ「(驚いた様子で)お前、カミングアウトして、
    オレに告ろうとしてんじゃないの?」
ケント「違うよ!(タカシの視線を追って)あー、アレ?
    ちょっと待って」

ケントはそう言って隣の部屋に行き、
一人の女性を連れて戻ってきた。

ケント「紹介するわ。フィアンセのセイコ」
セイコ「(ちょっと照れながら)初めまして(会釈をする)」
タカシ「あ、(急いで立ち上がり)初めまして(会釈をする)」

二人が頭を上げて互いに顔を合わせると
二人とも怪訝な顔をした

ケント「お前に最初に紹介したかったんだ(うれしそうに)」
タカシ「そ、そうなんだ(ケントから目をそらし、
    何かを思い出そうとする)」
(セイコも必至で思い出そうとしている)
タカシ・セイコ「(互いを指さして)あーーーーー!」
ケント「何々、まさか二人とも知り合い?」
タカシ「なわけあるかよ!(必死でごまかそうとする)」
セイコ「ないないない(必死でごまかそうとする)」
ケント「でも…」
タカシ「見たことある顔だなーって思ったら、
    グラビアタレントの、なんだっけ、
    ほら、あの子に似てたからさ(笑ってごまかす)」
セイコ「私も、見たことあるなーと思ったら、
    この前ケントと言った動物園のゴリラだった(笑ってごまかす)」
タカシ「なんだとー!」
ケント「セイコ、確かに似てるけど、初対面でそれはちょっと…」
セイコ「あ、ごめんなさい!」
ケント「(気を取り直して)とりあえず乾杯しよっ!ちょっとシャンパン持ってくる」

ケントはキッチンにシャンパンを取りに行く
その隙に、二人は顔を近づけ小声で話をする

タカシ「オレと別れたあとで、よくケントと付き合えんな」
セイコ「あなたの友達なんて知らなかったわよ」
タカシ「やっぱり金か。ケントの家金持ちだからなー」
セイコ「いいじゃない、どうだって」
タカシ「親父の会社が倒産したらオレから離れていった、セイコらしいよ」
セイコ「…」
タカシ「な、ケントを殺って、
    相続した金で二人で遊んで暮らそうぜ」
セイコ「何言ってんの!」

ケントがシャンパンを持って戻ってきた

ケント「お待たせー!じゃあ、乾杯しようか。
    出会いにカンパーイ!」

みんなでグラスを当てる

ケント「で、二人で何話してたの?」
セイコ「ケントの秘密教えてもらってたの」
ケント「マジかよー、タカシ余計な事いってないよなー
    (なんかうれしそう)」
タカシ「それはどうかな(笑)」
ケント「(セイコの方に向いて)そう言えばさー…」

テーブルの上にある果物籠から
タカシが果物ナイフを取って
ケントの背に向かって振り上げようとする

セイコ「(大声で)早いっ!」

その言葉にタカシはナイフをしまう

ケント「びっくりしたー。何が早いって?」
セイコ「ケントと付き合ってから
    もう1ヵ月なんて、早いなーと思って」
ケント「そうだね、幸せだと時が経つのもあっという間だね」
セイコ「ケント、シャンパンにはイチゴじゃない?」
ケント「そうだね、取ってくるわ」

ケントがキッチンへ行くと
また顔を突き合わせて小声で

セイコ「ばかじゃない、まだ結婚もしてないのに
    何殺ろうとしてるの?
    それじゃただの殺人犯じゃん」
タカシ「そうか、あまりにも気が焦って」

ケントが戻ってくる

ケント「お待たせ!」
タカシ「結婚はいつなんだ?」
ケント「(にやつきながら)なに、藪から棒に」
タカシ「やるなら早くやろ」
ケント「まだ付き合ったばかりで…(セイコをちらっと見る)
    でもオレは結婚したいよ…(またセイコを見る)
    こればっかりは一人じゃ決められないから…
    (またセイコを見る)」
タカシ「(セイコに向かって)したいよな!」
セイコ「…(ちょっとあきれ顔)」
タカシ「したいって!」
ケント「ほんとにーーー!(すごくうれしそう)」
タカシ「さ、いつにする?今日?明日?」
ケント「いくらなんでも早いってー」
タカシ「善は急げっていうだろ?これから入籍だけでもしちゃえよ」
ケント「(タカシの顔を見て)お前怖えー顔してんな!
    まるでシャイニングのジャック・ニコルソンじゃんか」

セイコはわざとシャンパンをこぼし

セイコ「あっ、ケントごめん、拭くものもってきてくんない?」
ケント「お、わかった」

ケントがまたキッチンに行くと
二人は顔を付けあわせ

セイコ「殺人鬼丸出しの顔してんじゃないよ」
タカシ「ご、ごめん(顔を戻して)」
セイコ「ほんと、アンタはバカだね。
    親も親なら子も子だね。
    だから、お金持ってるのはケントのお父さん。
    ケントは援助を受けてるだけで、
    資産なんてほとんどないも同然。
    お父さんが亡くなって初めてケントに遺産が入るの。
    わかってる?」
タカシ「なんとなくな」
セイコ「わかれ!」
タカシ「じゃあ、まずは、えーっと、親父を殺ればいいんだな
    (また怖い顔になっている)」

タカシはおもむろに立ち上がり
部屋を出て行こうとする

ケント「タカシ、どこ行くの?」
タカシ「お前の実家!」
セイコ「いっぺん死ね!殺人鬼」

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