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江戸っ娘の着物日和 vol.15:お仕立てに出す

すっかり朝晩は涼しくなり、袷の季節ですね。
洋服と同じく、着物も秋~春はおしゃれの幅が広がるので何を着ようか選ぶだけでも楽しい季節です。
例えば、襦袢に半衿つけようかなとか、上着を羽織るならショールか羽織かコートかなどなど。
とはいえ、昼間はまだ暖かい日もあるので、やっぱり脱ぎ着しやすいものがいいのも洋服と一緒です。

そんな中、今シーズン初めての袷の着物を着て、呉服屋さんに反物のお仕立てをお願いしに行ってきました。
袷は裏地のある冬物の着物のことです。

足元は敢えてブーツでモダンに

なぜ着物屋さんに着物をわざわざ着ていくの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は着付けのいい練習になるんです。
大概の呉服屋さんの店員さんは店頭に立つときには着物を着ています。
なので、自分で着つけて呉服屋さんに行くとできてないところを直してもらったり、アドバイスをもらうことができるんです。
中には未熟な手前で着ていくのは恥ずかしいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、着付け教室みたいに大々的に習うわけではないのでコストパフォーマンスは抜群です。
しかも多くの呉服屋さんは1回500円くらいで着付け教室やってますので、店員さんもしっかりアドバイスくださいます。
とまぁ、こういうわけで江戸っ娘はよく呉服屋さんに着物を着ていきます。
また、こういう練習をすることで自分に似合う柄や色もわかってきますし、お店の人にも自分の好みをわかってもらえるという一石二鳥の効果もあります。

閑話休題、今回はお仕立てです。
呉服屋さんで着物を買うと多くの場合、お仕立てされたものを納品されます。
でも、ご先祖様から反物のまま譲り受けたり、リサイクルショップで気に入ったものが反物だったなんてこともあります。
なので、お店の利益を考えたら一気通貫で買ってもらえる方がお店としてはありがたいのですが、なじみのところであればお仕立てだけでも引き受けてくださいます。
今回の江戸っ娘のは、お稽古事の反物です。
名取(免許皆伝)になったので、制服のようにお揃いの着物が必要になります。
そこで反物が支給(実際のところ、強制的購入ですが・・・)されるのですが、もちろん反物のままでは役に立たないので、今回、お仕立てだけお願いするに至りました。

反物
前身頃のイメージ

サイズはずっと前に採寸済みなので、それですぐ出せるかというと、そう簡単にはいきません。
舞台衣装なので「ライトの熱で暑くならないように単衣仕立て(裏地なし)」「立ったり座ったり動き回るので、お尻周りは補強して敷居当てをつける」「やはり動き回るので多少汚れても汚れが落ちやすいように撥水加工」などなど、意外と決めることは多いんです。
もちろん、値段最優先で安く仕上げてもらうこともできるんですが、そう簡単に買い換えられるものでもないので、コストパフォーマンスを考えると最初が肝心だと思います。
特にお尻周りは江戸っ娘も経験がありますが、本当に破れやすいんです。
ただ、和裁のすごいところは糸が切れるだけで生地が破けることがないので、何度でも縫い直せることです。
先人の知恵ですね。
これで、大体お仕立てに1か月くらいかかります。

ちなみにこの日は夕方から雨の予報だったので、洗える着物です。
大学時代に親におねだりして買ってもらったもので、緑地の格子柄で個人的には着物単体では気に入っているのですが、意外と帯と合わせにくいなぁと仕立てあがってから思っている物でした。
そんな経緯もあり、江戸っ娘自身では毎回コーディネートに悩む「洗える着物」でしかなかったのですが、今回、呉服屋さんで「銘仙っぽい」と言っていただいたことで視界が広がりました。
銘仙とは江戸末期以降に関東で作られるようになった絹製の着物で、大正時代から昭和初期に流行したものです。
一番イメージしやすいのは大正ロマンの大柄・カラフルな着物かもしれません。
ただ、当時の輸出品にならない売れない絹を転用しているせいか、生地として丈夫さに欠けるなんて話もあったりなかったり。
江戸っ娘は銘仙はもっていないので、その辺の真偽は不明です。
ただ、上に書いたように大正ロマンと思えば、それらしい帯を選んで柄on柄にすればいいので、ちょっとこれから帯探しが楽しみになっています。

この日の帯は夏帯です。
やっぱり昼間は暖かいので、どこかで温度調節が必要ということで、このチョイスです。
帯結びは銀座結び、別名角出しです。
この結び方はお太鼓と違って、帯の形を整えるための帯枕というアイテムが必要ないので、結び方も少し楽です。
その一方で、前にも書いたかもしれませんが、こなれた感が出るので江戸っ娘は好きな結び方です。

前から見たら普通でも…
後姿はちょっともったり

洋服だと用事が済んだらすぐ帰宅してしまうような日も、着物を着ると「せっかく来たんだし♪」と歩き回りたくなるのが着物のいいところ。
特にコロナでこの2年ほどは引きこもりだった方も多いと思うので、運動不足解消のために着物生活を始めるのもありかも(⁈)しれません。

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