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江戸っ娘の着物日和 vol.9: 普段着仕様で映画鑑賞

今年のお盆は猛暑・大雨・台風となんでもありの様相を呈しておりますが、みなさま、お変わりありませんでしょうか。
夏休みといえば、帰省や旅行にかつては江戸っ娘も勤しんでおりましたが、コロナになって以降、すっかり引きこもりが定着してしまいました。
とはいえ、それはそれで普段やり残したことに時間をかけられるので悪いことばかりではないかと思っています。

さて、さる夏休み初日、久しぶりに映画を観に映画館へ行ってきました。
最近はネット配信で見られる作品も多くありますが、それでも大きなスクリーンとド迫力の音源で映画の世界に引き込まれるのは現実世界のあれこれを忘れられるので、とても大好きな時間です。

江戸っ娘の周囲の人からは毎日・毎週のように着物を着ているように思われがちですが、やっぱり行先や一緒に行く相手によって着物・洋服を使い分けていますし、同じ着物でも柄や着方を考えて選んでいます。
そうすると場合によってはどうしても袖を通してないものが出てきてしまいます。これは着物であっても洋服であっても変わらない悩みかと思います。

なので、誰にも気兼ねのいらない一人でのお出かけやプライベートの用事の時にはできるだけ好きなものを着るようにしています。

今回もそんなうちの一つ。
月とウサギをモチーフにした浴衣で、来月に十五夜を控えた今のタイミングがぴったりの浴衣です。
数年前に衝動買いしたプレタポルテの浴衣ですが、当時から花火大会や夏祭りっぽくない、日常遣いができて、かつ粋な柄を探していた江戸っ娘。
この柄は一目惚れでした。

地色が黒というのもお気に入りのポイントです。
浴衣というと、どうしても藍色に朝顔、最近ですとクリーム色に大柄の花模様というものが多く、差別化が着物に比べると難しいジャンル。
皆さんがお祭りに着ていきたい浴衣で思い浮かぶのはどんなものでしょうか?

逆に黒というと、どうしても結婚式で両親が来ている留袖、羽織袴姿、喪服などの礼装、もしくは振袖のイメージがほとんどではないかと思います。
モノトーンで汎用性があるのに、案外着物では少ないのが地色の黒です。
その黒を惜しげもなく、浴衣として気楽に着られるというアドバンテージが江戸っ娘には刺さりました!

それから、さりげなく組香の図柄が入っているのも気に入っています。
組香とは、利き酒などと同じく、香りを焚いて、その香りが何か当てる聞香という遊びの際に、積み木を組んで答えを表すものです。
江戸っ娘も深くは知らないのですが、浴衣にあるこの模様は「花宴」という源氏香の一種とのこと。
源氏香は源氏物語、全五十四帖のうち「桐壺」と「夢浮橋」を抜いた五十二帖の中から五つの香りを抜き出して当てる聞香だそうで、「花宴」が表しているのは、一番と三番の香が同じで、他の二、四、五番が違う香ということを表しているそうです。
う~~~~~ん、奥が深い。。。

というわけで、浴衣自体のお話はここまでにして、帯の方に移りたいと思います。
着物と帯の色合わせをする時、洋服と同じようにまずは着物の中にある色を選ぶのも常套手段ですが、洋服と違って反対色を選んでも派手になりすぎないのがいいところ。
これだけでも組み合わせは無限に広がるので、反対色はワンポイントに取り入れたり、ちょっと工夫がほしい時に江戸っ娘もよく取り入れます。

ただこの浴衣の場合、ついついウコン色の博多の半幅帯を合わせたくなってしまいます。
たぶん、月のイメージが強く、黒と黄色の対比でより月の神々しさや夜の中の光の儚さみたいなものを演出したくなるのかなぁ、と勝手に自らの心理分析をしております(笑)

そしてこの日の帯結びは、道行太鼓です。
本格的なお出かけの時はもう少し垂れている部分の長さを短くした方が颯爽としたまとまりになるのですが、今回は完全プライベートなので、長めに垂らして抜け感を演出してみました。

着物を着慣れていないと、どうしても「教科書通りにちゃんと着なきゃっ!」という気持ちが強くなってしまうと思いますが、本来、日本人の普段着なので決まった着方はありません。
なので、最初の一回は教科書通りでも、慣れてきたら好きにアレンジしたらいいと江戸っ娘は思っています^^

それから最後に小物関係ですが、この組み合わせで着るとどうしても全体を締めるために帯揚げ・帯締めは暗めの色をチョイスしたくなります。
ちゃんとしたお出かけの時は江戸っ娘も紺と白系のものをチョイスしたりしますが、今回はプライベートかつ猛暑の中のお出かけなので、逆に薄めの水色系を選ぶことで涼を演出してみました。

同じ着物と帯の組み合わせでもこうして小物で少しずつ雰囲気を変えられるのも着物の楽しみではないかと思います。

まだ暑い日が続きますが、浴衣は比較的手を出しやすい着物だと思いますので、みなさまも自分の好みに合わせて自由に楽しんでいただけたらと思います。

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