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留学生盗難後③

サンホセOIJ
見覚えのある入り口、見覚えのある金属探知機。前来たのが数年前かのように感じるここに、我々は確かに12時間ほど前に来ているのだ。同じように待合室に進まされる我々は、昨日と同じ担当者さんだといいなという思いを込めながら発券機を押すものの、同じ担当者さんがいるわけでもなく、すぐに通された窓口にはむっすりとした顔のふくよかな中年女性が座っていた。盗難届を連名で出している我々は一緒に窓口に入ろうとするや否や、怒鳴ってくる中年女性。ちょっと待てと拙いスペイン語で説明しようとするも、全て遮られこのままだといけないと思った私は、両手を上げ参りましたと言わんばかりに申し訳なさそうな顔をしながら待合室のベンチに戻っていく。なぜこうも公共施設の中年の方々は頑固な方が多いのだろうとベンチに深々と座り込み考えること数分、相方が情報の追加をもう一度したらしく、次は私の番だと案内された。できるだけ気を損なわせまいと、ニコニコ受け答えをした私、ずっとむっすりな中年女性、静かな部屋で唯一音を発しているコンピューターのファン。もう情報はエレディアのOIJで追加したというのにも関わらずもう一度情報を追加し膨大になっていく盗難届証明書。やったことに変わりはないわけだが、どっと疲れた我々、手続きが終わり次は何が待っているのかと案内されるがまま次の部屋についていくとそこはドキュメンタリーに出てきそうな警察官的な人が二人いる窓口であった。ここで担当の人を割り振るんだよといかにもいい人そうなお兄さんに説明され書類を全て渡す我々。簡単な質問に答えた後、ソファーに座って待っていてねと言われ、言われた通りソファーに腰掛け先ほどの中年女性とこのお兄さんの対応の違いについて談笑しながら待つこと約1時間。出てきたお兄さんは現在の状況を確認するべく我々の盗難届の状況を説明してくれた。我々のスマホの情報は以下の通りである。
 

盗難届情報1

確かにあっていると相方と確認した後、お兄さんは一言、“難しいね”と。IMEIもシリアルナンバーもわかった上で所在地も分かれば簡単に回収できるらしいが、あいにく全部揃っている情報がないということで改修が難しいとのことなのである。こんなにも奮闘して盗難届を出したにも関わらず…と話していると、お兄さんはまだわからないからとりあえず月曜日にここの電話番号に連絡すれば、担当官と繋がるからあとはそっちと話してねとだけ言われ、月曜まで待てってかと思いながらもまたまたUBERに乗り込みエレディアへと帰っていく我々なのであった。  
 
エレディア9/17日
もう一夜明け、古いスマホでルーティンをこなすことにも慣れ、月曜日まではなんの進展もないだろうと思っていた私に相方から連絡が入る。なんとシリアルナンバーとIMEIの情報を手に入れたそうだ。情報を追加しにいくかと聞くとぜひ行こうというので盗難届証明書を握り締めもう一度エレディアのOIJへと向かう。もう常連ではないかというぐらい短期間にOIJへ向かう我々だが、一度も同じ担当者に当たらず、いろんな人の仕事の仕方を見られて大変興味深いものであった。一新した情報は以下の通りである。 

盗難届情報2


さあこれで情報も揃ったぞと今の状況を担当者に伝えると、調査が始まるのは月曜日だからそれまで待てと一蹴。まあ仕方ないかと我々もちまえの精神でこれも経験と笑いながら月曜日までは待つかと来週に迫っている修学旅行的なものの準備に取り掛かるためそれぞれの家へ帰っていくのであった。 

エレディア未明
一つでも情報が不足していると文句を言われ、携帯を撮りに行ってくれないかと思った私は、なんとか私のiCloudになんとかサインインしようと試みていたがずっとパスワードが分からずできていなかった。それがなんと判明し、ログインできたのである。すぐに自分の携帯の居場所を探そうとするもオフラインで居場所が特定できずロストモードにだけし、オンラインになったら連絡が来るように設定。あとは待つのみとこちらができることは全てやり切った私は燃え尽きるわけもなく月曜日に吉報が入ることを待つのみであった。

 9/18月朝
大学にて授業を受け終え、昼頃に事務所に行くとちょうど電話がかかってきた。さあ、どうなるかと思っていたが、内容は担当者の自己紹介と盗難届の内容の確認だけであった。とりあえずこっちも仕事たくさんあるし、情報不足しているから次の連絡待ってねと言われ、電話を切られる。あ?舐めているのか?ということは口に出さずあまりのいい加減さに笑いがとまらない私と事務室の現地ディレクター。思った通りである。これはあかんな、絶対帰ってこないなと確信しながら、私のスマホの位置情報さえ出てくれれば回収しに行ってくれるという淡い期待を持ち、次の授業へと向かうのであった。確かにみんなを巻き込んでいた熱気が徐々に冷めていくことを感じながら、次に来る波を今か今かと待つサーファーかのように静かに時を待つ日々の始まりであった。

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