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振り切れなくて、いい

本を読んでいて、「まさしく今、この本を読むべきタイミングだったのだ!」と、天啓のような力を感じることがある。

昨日、積読本のひとつを読み始めた。たぶん、息子が生まれたばかりの頃に買ったものだ。

それが今読んでいる、『読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか』(著:ステファニー•スタール)である。

表紙には、散らかった部屋と眠る赤ん坊、そしてソファの上で本を読む女性の姿が描かれている。私は自身をフェミニストだと自覚しているし、イラストの女性と、出産直後の自分が重なって、思わず手に取ったことを覚えている。

本書は、赤ん坊の世話に必死になっているとき、堅い文章を読むことができず(脳のリソースの問題)、長らく積読状態になっていたものだ。

それが昨日読み始めて、嘘でしょこれって私のために書かれた本なんじゃない?!と共感しまくっている(本書のペルソナにハマっているのかもしれない)。

そのなかで、特に「今の自分の苦しみ」を体現している箇所があったので、ここに抜粋したい。

私にはフェミニズムが染み付いていたし、「筋金入りのキャリアウーマン」の理想的な手本である母もいた。

しかし、私は自分がどういう女性になりたいかをはっきりと言葉で表現できないように感じた。

皮膚の下でたえず不安がくすぶっていた。

これだ!
私が仕事復帰して、息子が保育園に通い始めてから、絶えず私を苦しめていたもの。

私は、自分の理想とする姿がいまいちよくわかっていなかったのだ。

というか、それを望むこともないまま、とにかく頑張ってしまっていた。結果、なんだかいつも気持ちが宙ぶらりんで、苦しかった。

私には、私が充分だと思えるほど、息子と一緒の時間が必要だ。でも、まったく仕事をしないのは無理。仕事は糧を稼ぐのと同時に、自己を救済する術でもある。

つまり、息子ともたくさん一緒にいたいし、仕事も納得できるまでしたいのである。

でも、周りのお母さんはそうじゃない。フルタイムでバリバリ働いているか、自宅保育でがんばっているかのどっちかだ。

以前、こんなことがあった。
平日に保育園を休ませてベビースイムに行ったときに、同じ保育園のお母さんに偶然でくわしたのだ。

彼女は上の子を保育園に預け、下の子の育休中だった。それで、下の子をベビースイムに連れてきていた。

挨拶したら「なんで平日なのにプールにいるんですか?」と言われた。私が「え?今日は仕事休みなんで……」と答えると、そのお母さんはいぶかしげに「ふぅん」と言ったのだった。

今書いててもモヤっとするんだけども……。私は自営業だし、夫も平日休みのことがあるので、土日しか休んじゃダメってことはなくない……?

私なりにバランスをとって家庭と仕事を両立していて、きっとそれがわが家にとってはベストなのに、外野からの何気ないひとことで、長い間もやもやしてしまったのだった。

このモヤモヤは、本書のなかにあった「自分がどういう女性になりたいかをはっきりと言葉で表現できないように感じ」ていることからくるものだったのかも。

それに気づいてから、私は、自分がどういう女性になりたいのかを考えてみることにした。

導き出された結論は「育児にも仕事にも振り切らず、どっちも楽しみたい」ということ。

ほどほど(決して手を抜くということではない)にがんばり、どっちにも「楽しい!」と思える気持ちで対峙したい。いいとこ取りかもしれないが、それが私の本当に望むものなんだと思う。


読書の楽しみは、他者の考えのなかに自分の気づきを得ることである。きっと、本書を読む機が熟したのだろう。とてもよい読書体現であった。


(Day.41)

▼昨日の記事。舞台俳優は「覇気」を操る。▼

▼ほぼ毎日エッセイ『私に翼』▼

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