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ほぼ毎日エッセイ『わたしに翼』

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2024.03.09〜 タイトルは大好きな朝ドラ『虎に翼』をもじって。 書くことで、大きくて豊かな、どこまでもいける、「私だけの翼」が手に入りますように。
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#創作大賞2024

アカンボカワイイ

アカンボカワイイ

20歳くらいまで「子供」という生き物が嫌いだった。いや、嫌いというより「どう接していいのかわからない」という方がしっくりくるかもしれない。

無遠慮にこちらを見つめてくるし、いきなり大きな声を出すし、うまくコミュニケーションがとれないし、どうしたらいいのかわからなかったのである。

それに、多感な頃は自分のことが嫌いだったから、本気で「自分の遺伝子を残したくない」と考えていた。親友Tは、私がそのこ

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わたくしの小さな相棒と、サードプレイスとしての本屋

わたくしの小さな相棒と、サードプレイスとしての本屋

サードプレイスとは、カフェや公園、コミュティ活動の場など、自宅、学校、職場とは別に存在する、居心地のいい居場所のことを指す言葉である。

先日、とてもいいサードプレイスに出会えたので、この経験をシェアしたいと思う。

✎✎✎

その日は朝から大荒れの天気で、気圧の変化に弱い私はゲンナリしていた。いつもはショートスリーパーの息子も、大雨の日にはよく眠る。夫を会社へ送り出したあと、息子とふたり、昼過ぎ

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親友からの感謝状

親友からの感謝状

とかく、私の身近には「死」が多い。親戚付き合いが盛んだからかもしれないけれど、一番は私の母の存在が関係しているのだろう。

母は自らを「おくりびと」と称するほど、たくさんの人の死に立ち会ってきた。姑、大姑、自分の父親……。死に立ち会うということは、彼らの介護をしていたということだ。

美容室を経営し、子育てをし、協力的とは言い難い(娘の目線からだが)夫を持ちながらの介護は、どれほど大変だったろうか

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みんなの子ども時代

みんなの子ども時代

子どもの頃の話を聞くのが好きだ。

どんな人にも等しく、子どもだった時代はある。えらそうなおじさんにも、優しいおばあちゃんにも。私にも、あなたにも。

目の前にいるこの人は、どんな子どもだったんだろう?想像するだけでわくわくする。

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私は、幼少期のことをかなり色濃く覚えている。

私と妹はふたつ違いなのだが、妹が生まれた日のことをはっきりと覚えているのだ。黄色いおくるみに包まれた妹

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