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私が好きな「条文」~北谷馨の場合~

民法(平成16年改正前)
第1条の3 私権ノ享有ハ出生ニ始マル

平成9年4月、私が法律の勉強を始めて最初に出会った条文が、(平成16年改正前)民法1条の3「私権ノ享有ハ出生ニ始マル」でした。

「なるほど。法律の勉強というのは、こういう意味不明な文章を解読することなのか。」と思い、早速法学部に入ったことを後悔してしまったことを思い出します。

しかし法律はそのような浅いものではなく、一つひとつの条文に込められた意味の深さを知る度に、知的好奇心が湧き起こってきたものです。受験勉強は「学問」とは異なるので「深入り不要」ではありますが、合格後はぜひ法律の奥深さを追及してみるのも良いかと思います。

現行法では「私権の享有は,出生に始まる」と民法3条1項に規定されているこの条文ですが、「権利能力を取得する時期は出生時である」というだけの規定ではありません。これは、憲法14条の法の下の平等の規定を受けて、「すべての人間が権利能力を有する」という「権利能力平等の原則」を定めたものでもあります。現在では「当たり前」と感じる原則ですが、歴史的には、法人格が認められない奴隷という制度もありました。

「人として生まれれば誰もが権利能力を有する」というこの「当たり前」の規定が、どれだけ重い意味を持つのか、それを考えると、身が引き締まる思いです。

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