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北谷馨の質問知恵袋 「商業登記法の援用の可否」に関する質問

今回は、「商業登記法の援用の可否」に関する質問です。

Q:取締役の就任承諾書として株主総会議事録を援用することができるのか、その判断方法が複雑でよくわかりません。

色々なことを一度に検討すると訳が分からなくなるので、一つひとつ検討していきましょう。大きく3ステップになります。「株主総会で取締役Aを選任した場合において、株主総会議事録を取締役Aの就任承諾書として援用できるか」という例で考えます。

【STEP1】
被選任者(取締役A)が席上で就任承諾している旨が議事録に記載されている必要があります。
【STEP2】
「取締役Aの就任承諾書に関する印鑑証明書が必要な場合」であれば、株主総会議事録に、Aの実印(市区町村に登録している印鑑)が押されている必要があります。
【STEP3】
Aの本人確認証明書を添付する場合(Aの印鑑証明書を添付したため本人確認証明書を省略できる場合を含む)であれば、株主総会議事録に、Aの氏名のほか住所も記載されている必要があります。

「印鑑証明書の要否」と「本人確認証明書の要否」さえ判断できれば、援用の可否を判断すること非常に簡単です。「個人実印が押されているか」「住所が書かれているか」をチェックするだけだからです。「印鑑証明書と押印がセット」「本人確認証明書と住所がセット」と覚えておきましょう。

なお、印鑑証明書や本人確認証明書の要否はいずれにしても検討することになると思いますが、援用の可否という点だけで見ると、逆から判断するという方法もあります。

【STEP2(別パターン)】
議事録に個人実印が押されていればOK。もし押されていなければ印鑑証明書の要否を検討する。(印鑑証明書が必要なら援用不可。)
【STEP3(別パターン)】
議事録に住所が記載されていればOK。もし記載がなければ本人確認証明書の要否を検討する。(本人確認証明書が必要なら援用不可。)つまり議事録に個人実印が押されており、住所の記載もあるのであれば、それ以上検討しなくても(席上で就任承諾している旨さえ書かれていれば)援用可能と判断できます。

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