見出し画像

【記述式】申請の個数の判断-数個の原因関係を1個の原因関係と評価する例外②(蛭町講師)

今回は以下の記事の続きとして,「申請の個数の判断-数個の原因関係を1個の原因関係と評価する例外」の「数次相続の例外」を取り扱う。

数次相続の例外(今後の出題)

【1】数次相続と遺産分割

 焼き直しプラスアルファで問題が出題される傾向を考えれば,遺産分割を使った数次相続の例外には注意すべきである。

 例えば,Aが死亡し,その相続人がBCで,その後Bが死亡し,その相続人がDEである場合,1次相続の相続人Cと,Bの地位を相続で包括承継したDEがAの相続財産である甲土地について,これをEが相続する旨の遺産分割協議をした場合,この遺産分割協議を,1次相続でBが単独相続し,2次相続でEが単独相続する2個の遺産分割協議を含むものと解釈する。

 この解釈により最終以外の相続である1次相続が遺産分割によりBの単独相続となるため,上記の先例により「令和○年4月1日B相続 令和○年5月1日相続」と併記して1個の相続による移転登記を申請することができることになる。

【2】数次相続と相続分の譲渡

 焼き直しプラスアルファで問題が出題される傾向を考えれば,遺産分割を使ったより応用的な事例にも注意を向けるべきである。

 甲土地の所有者であるAが死亡し,その相続人がBCで,その後Bが死亡し,その相続人がDEである場合,1次相続の相続人Cが相続分をDEに譲渡した数次相続人間の相続分の譲渡の事例は,相続分の譲渡に遡及効がないため,1次相続で甲地が相続人BCに移転し,2次相続で甲地のB持分がDEに移転し,相続分の譲渡で甲地のCの持分がDEに移転するため,3個の原因関係に対応し,3個の登記を申請しなければならない。この結論は,2次相続人DEが相続分を1次相続人Cに譲渡する場合も同様である。

 これに対して,上記の事例でCから相続分の譲渡を受けたDEがAの相続財産である甲土地についてEが単独相続する遺産分割協議をすれば,当該遺産分割の解釈が問題となり,これを上記【1】にならい,1次相続のBの包括承継人DEとCの相続分の譲受人であるDEが1次相続の遺産分割としてBが単独相続する旨の協議をなし,それを前提として2次相続の相続人DEでEが単独相続する協議をなしたと解釈する。

 この遺産分割の解釈により,1次相続が結果として単独相続となるため,上記の先例により,「令和○年4月1日B相続 令和○年5月1日相続」と併記して1個の相続による移転登記を申請することができることになる(平30.3.16民二137課長通知)。

※ こちらの記事に関する質問は受け付けておりません。

画像1

画像2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?