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ファーストステップ司法書士1「司法書士試験の概要を知ろう!」


【1】はじめに

みなさんはこれから,司法書士試験の最終合格に向けて学習を開始するわけですが,まずは,司法書士試験の制度を知っておくことが大切です。ここでは,司法書士試験の概要を確認します。司法書士試験は,筆記試験と口述試験から成り立っています。ここでは,筆記試験を中心に説明していきます。

★POINT★
口述試験は,筆記試験の合格者に対して,例年10月中旬に実施され,試験官の問いに対して,受験生が口頭で回答する形式で行われます。合格率はほぼ100%なので,今の段階から対策をする必要はありません。

【2】筆記試験の概要

筆記試験は,例年7月の第1日曜日に実施され,1日で全て終了します。筆記試験には,「午前の部」と「午後の部」があり,「午前の部」が9:30~11:30の2時間,「午後の部」が13:00~16:00の3時間,合計5時間の試験となっています。

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【3】配点

配点は,「午前の部」の多肢択一式(択一式)の問題が35問で105点満点(1問3点),「午後の部」の多肢択一式(択一式)の問題が同様に35問で105点満点(1問3点),「午後の部」の記述式の問題が2問で70点満点,総合で280点満点となっています。

【4】基準点制度

(1)意義
①「午前の部(択一式)」,②「午後の部(択一式)」,③「午後の部(記述式)」の3点について,いずれか一つでも一定の「基準点」に達しない場合には,それだけで不合格となります。すなわち,総得点で合格点に十分な点数を取ったとしても,いずれか一つでも基準点を下回ると合格することができないのです。

(2)基準点の変動
基準点は絶対的な点数として定まっているわけではなく,毎年受験生全体の得点により変動します。すなわち,その年の試験問題が易しければ,受験生全体の得点も高く,基準点は高くなります。逆に,その年の試験問題が難しければ,受験生全体の得点も低く,基準点は低くなります。

【基準点制度から分かること】
基準点は,受験生全体の得点(=試験の難易度)によって変動する

司法書士試験は絶対評価ではなく相対評価の試験

受験生の大半が正解する問題を正解することが重要

★POINT★
すなわち,筆記試験は「○点得点できれば合格」といった絶対評価の試験ではなく,相対評価の試験であるため,問題の難易度に関わらず,受験生の大半が正解する問題を確実に正解することが非常に重要といえます。

【5】合格点

上記①~③の得点が基準点に全て到達しても,即合格というわけではなく,最後に「(総合)合格点」を突破する必要があります。合格点の点数も固定されているわけではありませんが,「基準点の合計+20~30点(択一式で約6~9問分)程度」がおおよその合格点です。近年の基準点と合格点は,以下のようになっています。

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★POINT★
年によって違いはありますが,今の段階では,「8割近くの得点を取れば合格ライン」と押さえておきましょう。「本試験の問題を8割程度得点できるための学習を試験当日までに終わらせる。」という発想が重要です。

【6】筆記試験の合格率

(1)直近の合格率
令和元年度の本試験を例にとると,出願者が「16,811人」,受験者が「13,683人」(※1),最終合格者が「601人」であったため,対出願者数の合格率は「3.5%」であり,対受験者数の合格率は「4.3%」でした。一般的に,筆記試験の合格率は対出願者の合格率をもとに「3%」と捉えられています。

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(2)合格率のカラクリ
「3%」という合格率は,出願者数に対するものである点に注意が必要です。すなわち,筆記試験の午前の部と午後の部の両方を受験した「受験者」の数に対する合格率は「4%」となっています。司法書士試験の学習期間は1年以上に渡るのが一般的なので,午前の部のみを受験して,受験者数にカウントされない,いわゆる「試し受験」の層が一定数いるのです。
また,司法書士試験には受験資格や回数制限がないため,受験者数にカウントされる人の全員が,実際に合格が可能な実力を持ち合わせているわけではありません。そのため,実質的な合格率は,対受験者数の「4%」よりも更に高いことが分かります。

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