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メンタル症状別『勉強状況最適化Hacks』

 皆さんこんにちは。クラスマネージャーの黒澤です。

 勉強をやっていると必ずといっていいほど、「やる気」、「集中力」等のメンタルの問題に直面します。

 カウンセリング等で受験生の方からご相談を受けていると、その悩みの多くがこの「やる気」、「集中力」等のメンタルの問題に深く関わっています。

 ただ、この「やる気」や「集中力」等のメンタルの問題というのは、いくら「気合」だとか「根性」でなんとかしようとしても残念ながら何とかなるものではなかったりします。たとえば、気持ちを奮い立てることで解決しようとして、どうしようもなかったという経験がある方は結構多いのではないでしょうか?

 「やる気」や「集中力」が出ない自分をいくら嘘の気持ちで騙そうとしても、実はやりたくないという本心や本能の部分は騙すことはできないわけです。こういう部分に関してはいくら理性があるといわれる人間も動物なので本能には逆らえません。

 他方で、たとえば、場所を変えたら急に勉強をやる気になったという経験があるのではないでしょうか?また、何か問題を解きはじめて気づいたらやる気になってたといったような経験がないでしょうか?

 実は、メンタルの問題というのは「やる気」「集中力」が出る「環境」が整っているかといった部分や「やる気」「集中力」が出る「仕組み」を知っているかという部分からアプローチしたほうが自然に勉強を続けることが可能になります。要するに、「環境」作りや「仕組み」作りをして自然に勉強に向くようにするほうがいいですよということです。

 今回は、各自のメンタルの症状に応じて、どのように勉強状況を最適化していけば効果的かといったことをHacksの形でまとめてみました。ご自身に該当する症状があった場合はご参考になさってみてください。

症状①勉強にまとまった時間集中できない、気力が持たない。気づくと違うことをやっている

【Hack1】自分の勉強をしている「環境」が勉強に対するやる気を削ぐ状態になっていないかに目を向ける

 勉強は『他の行為をする可能性』がないほど集中可能(勉強道具だけを持って図書館やカフェ等に行くときを考えてみてください)です。要するに、勉強するしか選択肢がないような状態が理想的だということです。

 そこで、勉強に集中できないという場合には、他の行為をする可能性のない「図書館」「カフェ」等の場所に行くか、「自宅」などで勉強するときは他の行為のトリガーになるものを徹底的に排除していくと効果的です。

 勉強において自分を信じるのは大切ですが、以下のような事柄については自分は信じてはダメです。

・パソコンなどでネットサーフィンしてしまう
→勉強で使わない場合はパソコンを物理的に遠ざける。講義視聴等勉強で使わないといけないときには仕方がないので、サイトブロッカー等を導入して勉強に関係ないものは勉強をする時間帯は見れないようにする。または、講義を見るのは別の部屋で行いパソコンのある部屋と自習をする部屋を分ける。パソコンは勉強にも使える面もありますが下手すると時間ジャブジャブ消費系コンテンツなので危険です。「とりあえずデスクに座ったらパソコンを立ち上げる」という習慣がある方はご注意ください。そのままネットサーフィンで波乗りジョニーになるベルトコンベアーです。

・携帯
→こういうトピックがあると必ず言われることですが、電源切って別の部屋においておく等が必須です。私の場合、これに関してはタイマー付きの金庫に携帯を入れてしまったりします。自分ではどうしようもない人からの連絡で集中力の途切れを防止するという趣旨もあります。殊、勉強との関係では「スマホ、ダメ、絶対」を合言葉にしてもいいです。なお、スマホを勉強のコンテンツとして使用している方は勉強とそれ以外の遊び使用をきっちり分けるのが大切です。簡単に遊びにシフトするからです。

・テレビ
→勉強部屋には置かない。または、部屋が分けられないならカバーをかけてしまう。自分はそうするとカバーを外すのがめんどくさくてテレビをつけません。リモコンも反応しにくくなるので余計見なくなります。

・ソファー、布団、ベッド
→目に映るところにあると最強の勉強サボりのトリガーになります。要するに、飛び込みます(笑)。個人の住宅事情等もありますので、どかせとまではいえませんが、可能な限りデスクから離れているのが理想的です。勉強部屋を変えるなどができるのが理想的です。

・趣味の娯楽物資
→最強レベルにそっちに引っ張られます。趣味は基本的に楽しいから趣味なので人間は簡単に飛びつきます。報酬として利用するのはいいですが、勉強をやるときには遠ざけてください。勉強をやる近くにおいておくと数分後に趣味の世界でパラダイス状態の自分を発見することになります。

【Hack2】課題のハードルを極限まで下げる

 勉強は達成が困難な課題にすればするほど、それに比例して「やりたくない」だとか「かったるい」という気持ちが出やすく着手することが困難になります。

 そこで、課題のハードルを極限まで下げて、まず、勉強に着手するということに対しての抵抗を下げるのがポイントです。

 勉強はやりだすといわゆる『作業興奮』というものが起こって継続することができるようになることが非常に多くあるのです。しかし、そのとりあえずの最初の一歩がやる気のでない人には鉛のように重いです。ですから、最初の一歩を軽くして『作業興奮』を得やすくするわけです。身体が温まる前にいきなり100キロ持ち上げろといわれたら死にますよね?ということです。

 たとえば、後記するように1回の勉強をする時間の刻みを細かくしたり、勉強の頭に持ってくる課題を択一を数問解く等の簡単に取り組めるものに設定すると着手がしやすくなります。そのようにとりあえず簡単に着手できる勉強の導火材を用意ししてみてはいかがでしょうか。

【Hack3】勉強をする時間の刻みを細かくする&タイマーを使って時間制限を作る

 人間が本当に集中できる時間というのは案外少なくて25分から45分が適切な時間だといわれています。小学校の授業時間を思い出していただきたいのですが、45分に設定されていますよね。これ科学的根拠に基づいているようです。

 長い時間を勉強する方がいますが、そのような人も1時間勉強するといってもたとえば、その中にストレッチをしていたり、自分が学習している対象から目を離している時間があることのほうが多いです。

 勉強というのはただがむしゃらにやっているだけではだめで「集中」と「拡散」の時間が必要です。

 「拡散」というのは、一度集中を解いてリラックスするということです。そのリラックスしている間、脳は無意識下で「集中」しているときの情報を整理するようです。昨晩寝る前には分からなかったが、朝起きてみたらあっさり分かったというような現象や、時間置いて見直してみたら何で分からなかったのが分からないくらい普通にわかったという現象はこれのせいです。

 この「拡散」というのは、集中力の面でも勉強の成果の面でもこまめに入れてあげるとよいです。たとえば、25分勉強→5分休憩→25分勉強→5分休憩といった風にやるといった具合です。前にnote記事で書いたポモドーロトレーニングはこれに基づいています。

 私は、この25分勉強→5分休憩というサイクルを1セットとしてタイマーで管理しながら勉強してから、集中力が格段に上がりました。短い時間集中すれば良いので1セットが重くないですし、時間制限があるのでその期間でどれだけすすめるかといった風にタイムアタックのような使い方ができるからです。

【Hack4】それでも勉強がやる気にならない集中できないときは運動をすることで脳を活性化させる

 集中力ややる気というのは脳内のドーパミンの量と関係しています。そして、5分程度のランニングや20~30分程度のウォーキング等でもこのドーパミンというのは分泌されるので、勉強を始める前や勉強が煮詰まってきたときなどにこれを挟むと、やる気が出た状態で勉強を開始したり、疲れてやる気がなくなった脳の状態をリセットできたりするのでおすすめです。自分はある程度勉強が煮詰まってきた場合などにリセットの趣旨で散歩をしたり、ランニングを入れたりします。有酸素運動をしたからなのか眠気がなくなりますし、頭がすっきりします。

【Hack5】上記1~4をしてもどうしようもないくらい集中できない場合

 上記をやってもどうしようもないくらいやる気がでない場合は、そもそも身体が疲れていたりして生理的に勉強ができない状態である可能性が高いので、仮眠をとるなどして一度自分をリセットするといいです。

症状②「いつになったらこの勉強終わるんだろう」と思うことがある

【Hack1】自分が勉強している対象がそもそも「終わりがないもの」、「成長を感じられないもの」になっている可能性がある

きちんと「測定可能なもの=カウントできるもの」、「客観的に終わりがあるものなのか」をチェックしてください。また、正解した間違えた等の「取り組むことでフィードバックが得られる勉強」をすること。

たとえば、

(終わりがあるもの)
・問題演習・過去問演習等
→100問なら「すべて正解する」という形でカウントできる
→客観的に終わりがあるといえる

・テキストを意味が分からない部分には付箋を貼りつつ「何ページ読む」という目標設定での勉強
 →ページ数をカウントできる&付箋を貼って意味不明な部分は飛ばすので無駄に立ち止まらない
 →客観的に終わりがある

・その付箋を剥がすために調べもの、精読等を行う
 →意味が分かれば付箋を剥がせるという形でカウントができる
 →客観的に終わりがあるといえる

・講義を「聞き終える」という目標設定での講義受講
 →消化講義数をカウントできる→客観的に終わりがある

(終わりがないもの)
・テキストを「完全に理解できるまで読む」、講義を「講師がいっていることを100パーセント理解できるまで聴く」という目標設定での勉強
 →「理解」というのはいつやってくるかが不明なので勉強がそこから先にすすまない可能性が大&「理解」という目標設定が主観的で客観的に数値で定まらないのでカウントが困難

 →客観的な終わりが定まらない

【Hack2】自分がその課題を繰り返すたびに減らす意識があるのかチェックしてください。

 膨大な量を同じ質量で繰り返していても、あなたの課題は減りません。「分かったものは、省いて。分からないものは、残す」この作業の繰り返しの中で徐々に自分の課題が目標となる試験本番までに減っていく意識で勉強しているかが大切です。

 自分の課題が減っていくのを見ることで精神的にもそれを見て安心できます。減らさないといつまでも自分ができていることとできないことの区別がつかない状態なので、それを見て病みます。

【Hack3】いつまでに終わらせるという締切を作る

 上記で目標設定・課題をカウントできるものにしたら、何日までに終わらせるという形で締め切りを設けてください。計画を組むのに時間をとりすぎても可処分時間を圧迫しますので、勉強スケジュールを組むためのアプリ等を用いるとアナログで処理するのの数倍は楽に管理できます。

症状③「あれもやりたいこれもやりたい」はあるが一つもきちんとやれている気がしない。どれからやればいいか分からない

【Hack1】『自分が後1年で受からなければ受験を絶対にやめなければいけない』というルールがあるとすれば何を仕上げるのかという教材をきっちり選ぶ

 勉強の教材などが好きな方に多いのですが、あれもやりたいこれもやりたいと教材を買っているうちに何をやればいいのか分からなくなってくることがあります。そういう場合、机のまわりや自分の本棚などが使わない教材が大量に置かれていることが多かったりします。たとえば、机にまったく使わないテキストや答練の冊子が大量に並んでいませんか?

 そういった場合、自分がやる教材がきっちり決まっていて机に向かった直後にその教材に迅速に着手できればいいです。しかし、机に向かった瞬間に「何やろうかな」と迷うのであれば、それはきっちり仕上げる教材だけを自分の身近な場所に置くように勉強環境をととのえるのがいいです。

 自分も受験生だったので、「あれもやりたいこれもやりたい」という受験生心理は非常によくわかります。しかし、複数のものを「とりあえずやる」ということは誰でもできますが、合格のために「極める」という局面においては複数のものをできるのは超人だけです。複数のことに時間を割く分、一つ一つの仕上がりは必ず薄くなります。薄くなった知識が現場で全く使えないのは本試験を一度でも受けた方はご存じかと思われます。

 ですから、時間がある人は特にそうなのですが、教材をきっちり選んでそこからブレないようにしましょう。

 自分は、『自分が後1年で受からなければ受験を絶対にやめなければいけない』というルールがあるとすれば何を仕上げるのかだとか、過激にいえば、『来年受からなければ死ぬとしたらどの教材だけやるか』と仮定してやることを決めます。

 死ぬかもしれないという極限状態にさらされれば、人間は無駄なことは絶対やらないはずだからです。生き残るために必要なことだけをやります。

【Hack2】上記の要領で教材を絞ったら、やると決めたものは物理的に自分が学習する場所の近くに置き、やらないものは遠ざける

 やると決めたものを物理的に近くに置くのは、近くに置いたものとの接触回数が増えるからです。逆に、やらないものを遠ざけるのは接触回数を減らして迷いが生じるのを避けるためです。やらないものであっても目に映った瞬間にやらないとダメかな?今の勉強で大丈夫かな?と迷いが生じます。

 たとえば、自分の場合、書斎に本が1000冊近くあるのですが、勉強机付近には上記の要領で選別したテキストや基本書しか置きません。また、書斎と勉強をする部屋は司法書士試験受験生を卒業した今も別々です。なぜなら、それが他のことを考えずにそのテキストや基本書に自分のエネルギーを100パーセント使うことができるからです。


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