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【記述式】申請の個数の判断-1個の法律関係を数個の原因関係と評価する例外①(蛭町講師)

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代物弁済

 1個の法律関係を2個の原因関係と評価し,申請の個数が増加する原因関係の個数例外がある。

 その典型例が,平成10年に出題されたXの1番抵当権の被担保債権を設定者兼債務者Aが設定目的物である甲土地を代物として代物弁済契約を7月1日に締結し,翌7月2日に登記を申請する事例である。

 この場合,締結している契約は1個の代物弁済契約であるが,代物の移転合意が民法176条の合意に当たるため契約締結日である7月1日に甲土地の所有権が移転し,移転登記の原因関係となる。

 また,債権者を保護するため,代物が給付された時点で本来債務の弁済の効力が生じる。代物が不動産であれば,対抗要件を具備して初めて給付となるため,甲土地の所有権の移転登記を申請する7月2日に1番抵当権の被担保債権が代物弁済で消滅し,消滅の附従性により1番抵当権の消滅し抹消登記の原因関係となる。

 なお,代物弁済は混同ではないため,後順位担保権が存在したとしても問題なく1番抵当権は,代物弁済によって消滅する。

56・平10-甲土地 代物弁済による所有権移転登記(共通)
58・平10-甲土地 代物弁済による2番抵当権抹消(共通)

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