見出し画像

第1回 公開模擬試験をうけて

【公開模試第1回の振り返り】
みなさんから届いた答案の採点も一段楽したため、簡単な講評をお伝えしたいと思います。

現段階で私が感じたことを、現実的な視点からお伝えしますね(正式な講評は、答案の返却に合わせて改めてお届けします)。

なお、まだ解いてないよ、という方は、ご自身で解いた後に読むことをおすすめします。

【問題44】
まず、本問は、訴訟選択の問題という点においては典型的な問題でしたが、機関訴訟という手が回りにくい分野がテーマだったので、みなさん苦労されているのが分かりました。

そのような状況を踏まえた上での現実的なラインは、やはり「機関訴訟」というキーワードを記述できたかどうか、というところにあります。

国vs地方公共団体なので機関訴訟、というある種の典型例が頭に入っていた方は、比較的上記キーワードを書きやすかったのではないかと思います。

他方、今回の事例をみて機関訴訟に気がつくことができなかった方は、機関訴訟の典型例をまだ押さえきれていなかったということなので、いま一度確認をしておきましょう。

難しい概念やマイナーな分野こそ、典型例や具体例を押さえることが重要だということですね。

なお、本問のように難しい問題は、とにかく何かしらキーワードを書いて部分点を拾う、という意識が大事です。

完全解を目指すのではなく部分点を拾う…この意識で記述式の問題に取り組んでいただければと思います。

一歩一歩、進んでいきましょう!

【問題45】
本問は、「同時履行の抗弁権」と「留置権」という二つのキーワードを記述することができたかどうか、というところがポイントです。

本問は、問題文の中に、「Bから売買代金の支払を受けるため」や「甲建物の引渡しを拒もうと二つの手段を考えた」という記載があります。

このような記載から、上記二つのキーワードを導いていただきたかったというところです。

たとえば、「債務不履行に基づく解除」等の記述も見受けられましたが、上記の問題文中の記載からすると、妥当ではないことがわかるかと思います。

本問は、ここまで記述できれば十分ですが、「同時履行の抗弁権」と「留置権」という二つのキーワードに気づくことができれば、あとは両者の相違点から、主張を断念した理由である「契約の効力」や「第三者に主張できない」というところまで導くことができる、というところです(もっとも、理由まで完璧に記述するのは、なかなかハードルが高かったかと思います)。

いずれにせよ、まずは、「同時履行の抗弁権」と「留置権」という二つのキーワードに気づくことができたかどうかがポイントです。

気づくことができなかった方は、それぞれの典型的な場面をしっかりと押さえる、ということが重要です。

典型的な場面の押さえ方としては、やはり過去問演習が一番です。

択一式の過去問を演習することにより、典型的な場面を頭に入れておきましょう!

【問題46】
家族法の問題ということで、見た瞬間に「うわっ」と思った方もいると思います。

ですが、冷静に問題文を読んでみると、いわゆる利益相反行為の典型的な場面だということが分かると思います。

「親権者にとってプラス、子にとってマイナス」となる行為が利益相反行為にあたります。

本問では、AがEから金銭を借り入れる、という点から親権者にとってプラス、C所有の甲土地に抵当権を設定する、という点から子にとってマイナスとなる行為であることが読み取れます。

したがって、本問の抵当権設定行為は、利益相反行為にあたります。

なお、利益相反行為にあたるかどうかは、外形から客観的に判断します。

そのため、金銭の借り入れが、「養育費等の工面も兼ねて」いたとしても、利益相反行為にあたるという結論は変わりません。

本問は、この「利益相反行為」というキーワードが書ければ十分です。

なかなかその後の手続は押さえられていないと思うので、その点については、この問題を踏まえて押さえておけば、十分です。


【まとめ】
全体的に問題が難しかったので、落ち込んでしまった方も多いかと思います。
ですが、まだまだ本試験までは時間があります。
一つ一つやるべきことをこなしていけば、大丈夫です。

改めてお伝えしますが、記述式については、完全解ではなく部分点を拾うという意識が重要です(これは、本試験でも同じです)。

今回の模試であれば、「機関訴訟」「同時履行の抗弁権」「留置権」「利益相反行為」というキーワードを記述することができていれば、十分です。

記述できなかった方は、それぞれの典型例や具体例をまだ押さえきれていないという可能性が高いです。

択一式の過去問を演習しつつ、典型例や具体例を押さえていきましょう。

先ほども書きましたが、まだまだ時間はあります。
これから本試験までが一番力が伸びる時期です。

一緒に頑張っていきましょう!!

伊藤塾行政書士試験科 藤田 竜平