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<BACK NUMBER>第79回 苦手克服研究所 民法の「抵当権の被担保債権の範囲」

 みなさん、こんにちは。
 
伊藤塾行政書士試験科講師の藤田です。
 
それでは、今回も一問一答をやっていきましょう!
 
 
今回取り扱うテーマは、
民法の「抵当権の被担保債権の範囲」です。
 
 
題材としては、「平成30年度 問題30 肢5」を扱っていきます。
 
 
まず、「平成30年度 問題30 肢5」を以下に示します。
 
 
肢5 抵当権者が、被担保債権について利息および遅延損害金を請求する権利を有するときは、抵当権者は、原則として、それらの全額について優先弁済権を行使することができる。
 
 
 
 
……
 
 
 
 
いかがでしょうか?
 
 
 
 
結論からいうと、肢5は誤りです。
 
 
以下、理由を解説していきます。
 
 
肢5は、抵当権の被担保債権の範囲についての知識を問う問題です。
 
 
まず、民法375条1項を見ていきましょう。
 
 
375条1項「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。」
 
 
このように、抵当権者は、原則として、満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができます。
 
 
したがって、本問は、原則として、全額について優先弁済権を行使することができるとしている点が、誤っています。
 
 
なお、本規定は、あくまでも後順位抵当権者や一般債権者を保護するためのものです。
 
 
よって、後順位抵当権者や一般債権者がいない時は、同条の制限はなく、利息および遅延損害金の全額について配当を受けることができると解されています。
 
 
また、債務者や物上保証人に対する関係では、この制限はない(全額弁済する必要がある)ことも、併せて押さえておきましょう。
 
 
今後も、試験合格に役立つ知識をお伝えしていく
予定ですので、日々の勉強の息抜きに
ご活用ください。
 
 
では!