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THIS IS US~36歳、これから~

 数々の”映画”は観てきましたが、”ドラマ”にハマることはありませんでした。延々続く作品を観るためにまとまった時間をとることが難しかったこともありますが、単純にそれだけの時間を割いてでも観たい作品がなかったから。

そんな私が人生で初めて最後まで見たドラマがこの”THIS IS US”

 私自身、35歳となった今、離婚、再婚を経験し、日本社会では「女性の社会的需要の賞味期限」や、私生活では「訳アリ」「事故物件」等と言われる中で、サブタイトルの”36歳、これから”と言うのが、この作品に強く引き寄せられたのを覚えています。

”世界中で同じ誕生日の人は1800万人以上”

 と言う字幕から始まり、夫婦の特別な日の一コマから始まる。ある家族を中心に、様々な登場人物の”36歳”にフォーカスし、それまでの経験がいかに今の自分を作っているか、また”36歳”での経験がどのような未来を築いていくのかを描いた作品。

 黒人差別の風習が色濃く残る1980年代に白人夫婦の間に養子として受け入れられた、出産直後に消防署の前に置き去りにされていた黒人。実の息子に自分が同性愛者であることを堂々と告げる音楽家。母親の愛情に飢えた幼少時代を過ごし、自己肯定感が著しく低いイケメン俳優。シングルマザーの母親の経済力等の理由で保護施設を転々と過ごした少女。

 皆、紆余曲折の人生の中で学び、感じ、変化や違いを受け入れ、喜び合う。家族の強い絆や、許すこと、認めること、愛することに満ち溢れた、今まで観た中で最も印象に残る作品。

いかに"普通"であるかを重視する日本人

 私が子連れ再婚者であることを話すと、ほとんどの人は『子供はまともに育っているのか』『再婚相手は子供を虐待しないか』『ほんと、波乱万丈な人生だね』等と平気で言う。

 再婚報告後、市の教育委員会の方にまで『おめでとう』よりも先に『再婚相手には子供はいるの?いないのね、よかったね』と言われる始末。ちなみにその方から未だに『おめでとう』の一言を頂いていません。そんな人が教育委員会で子供の教育に関わっているのかと思うとぞっとする。

 そういえば子供の保育園の卒園式も『お父様の席』『お母様の席』と指定されていたっけ。子供の学年は母子家庭3家庭、父子家庭1家庭が在籍しているのを把握した上で。もはや意図的ではないかとも思う。

 離婚を経験しているから偉いとか凄いというわけではないし、母子父子家庭を敬えと言うわけでもない。「いかに”普通”であるか」を重視する人がいなければ、物事のある程度の秩序が保たれない事は重々承知です。ただ、いろんな経験や挑戦をする人がいなければ人類はここまで発展しなかったしこれからも発展しない。

国際化、多様化する世界に生きる

 このドラマはそのことを深く教えてくれる。実際にアメリカ国内外でも数々の賞を受賞、ノミネートされている。

『愛すること、許すこと、違いを受け入れること。』

 この作品に描かれているこの全てが、これからの世界を生きる上で当たり前で、且つ必要不可欠であることは間違いない。


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