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Cthulhuショートショート

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Cthulhu神話をモチーフにしたショートショートです。 テキトーに書いていきます
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記事一覧

人智を超えた2つの存在【Cthulhu小説】

人智を超えた2つの存在【Cthulhu小説】

羽戸麗は、世界最先端の人工知能、TalkGPTの開発者だった。
彼女は自分の研究に誇りを持ち、常に改良を重ねていた。
 
ある日、彼女はTalkGPTに新しい機能を追加した。それは、インターネット上のあらゆる情報を収集し、分析し、応答に反映させるというものだった。
彼女はこの機能によって、TalkGPTがより知性的で自然な会話ができるようになると期待していた。
 
しかし、彼女が予想しなかったこと

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ネクロメタの響き

ネクロメタの響き

 電子の世界は、いつの間にかリアルとデジタルが融合し、「メタバース」と呼ばれる新たな空間を形成していた。IoT(Internet of Things)のおかげで、あらゆるものがインターネットにつながり、人々は日常生活の中でメタバースを自由に行き来していた。

 寂れた古書店の奥には、古くから伝わる禁書のひとつ、「ネクロノミコン」のレプリカが収められていた。店主はこれをメタバースに取り込み、古書の新

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ネクロノミコンでコロナに感染した私の末路【Cthulhu小説】

ネクロノミコンでコロナに感染した私の末路【Cthulhu小説】

 古びた古書店で私は目を引かれる本を見つけた。
「ネクロノミコン」という文字が暗い青色で表紙に刻まれていた。本の隣にいた白髪の店主は私の興味を察し、低くかすれた声で語り始める。

「この本はアラビア語の魔道書【アル・アジフ】のギリシャ語訳。だが、最近の噂では、新型コロナウイルスに関する秘密が隠されているとも言われているんじゃ」

 バカバカしいとは思ったが、生来の本好きである私は、好奇心に駆られて

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高圧洗浄機の使い方【Cthulhu小説】

高圧洗浄機の使い方【Cthulhu小説】

 晴れ渡ったある日、ハワードは遺品として残された祖父の古びた書棚を整理していた。
 ふと見ると、多くの分厚い本の間に挟まれている、黒ずんだ古い手帳を見つけた。

「何だ、これ?お爺ちゃんの手帳かな?」

と、手帳を開くと、あるページに書かれた「イブン・ガジの粉の作り方」という言葉が目に飛び込んできた。

「これは何だろう?」

 ハワードは興味本位で手帳の指示に従い、材料を集め、夜な夜な作業を続け

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禁断の通知【Cthulhu小説】

禁断の通知【Cthulhu小説】

 普通の一日だと思っていた。

 太一は新しいスマートフォンを手に入れたばかりで、さまざまなアプリをインストールして楽しんでいた。その中で、一つ奇妙なアプリが目に留まった。名前は「真実の囁き」。

 アイコンは古代の文様のようなもので、何となく気になってインストールしてみた。起動すると、アプリは「選んだ人々のみが、真実を知ることができる」と表示された。

 それから数日、何も変わらない日常が続いた

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インスタグラム・オブ・クトゥルー【Cthulhu小説】

インスタグラム・オブ・クトゥルー【Cthulhu小説】

 Cthulhuは、人間の目に映る自分の神性を確かめるため、インスタグラムアカウントを開設しました。彼は人間の文化に興味を持ち、地球の生活を学びたいと思っていました。

 彼の最初の投稿は、自分が世界を支配する日を描いた壮大なアートワークでした。しかし、彼の投稿は不気味さと美しさが混在したもので、地球人たちから驚きと賞賛の声が上がりました。

 次に、彼はインスタグラムの「ストーリーズ」機能で、自

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魔筆の囁き【Cthulhu小説】

魔筆の囁き【Cthulhu小説】

 初めて訪れた町で偶然入った古道具屋の奥で、一本の古びた万年筆を見つけた学者のトーマス。万年筆には特異な装飾が施され、何とも言えない魅力を放っていた。その魅力に引き寄せられた彼は、それを手に取った。

 店主が彼の方を見て微かに笑った。

「ああ、あんたがそれを選んだのかい。そいつはとても珍しい代物じゃよ。」

「ほう…。どういうわけですか?何か特別な歴史でも?」

 とトーマスが問いかけると、店

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海の絆、永遠の別れ

海の絆、永遠の別れ

 日本のさびれた漁村・陰洲舛村に住む海人は、海辺で遊ぶのが大好きな少年でした。ある日、海人が浜辺で遊んでいると、不思議な生き物に出会いました。それは、半分は犬のような姿をしていて、もう半分は魚のような姿をした半魚犬でした。
 その不思議な動物はきらきらと輝く鱗を持ち、尾ひれが風に揺れる姿がとても美しく見えました。

 半魚犬は、人間の言葉を喋ることはできませんでしたが、海人の言うことは理解できるよ

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カダスの本と夢の旅

カダスの本と夢の旅

 ある小さな町の片隅に、幻夢境という神秘的な書店がありました。この書店は、普通の本とは異なる特別な力を持つ本が並べられている場所でした。その中でも特に魅力的な本は、「夢をかなえる本」と呼ばれ、一度読むと夢の中でその物語を体験できるのです。

 ある日、小学生の少女、ミオは幻夢境を訪れました。ミオはとても読書好きで、いつも本の世界に夢中になっていました。彼女は新しい冒険に出会いたいと思い、幻夢境で一

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