初めての涙:学生時代の話
人生誰しも生きていく上で、様々なことに涙したことはあるだろう。
これは私が高校を卒業し、福岡に進学した時の話である。
田舎の高校も卒業し、福岡での進学。
初めての寮生活ということで不安半分、期待半分という気持ちで
寮生活を行う上で必要な物を購入するため両親と福岡の街、天神に買い物に来ていた。
一人暮らしとは違い、家電などある程度の物は揃っているため、
タオルや着替えなど生活必需品系だけの簡単な買い物ではあったが、
買い物が終わってしまうと初めての両親との別れが待っている。
箱入り息子だった私は、両親と離れて暮らす経験が全くと言っていいほど無く、修学旅行ぐらいが唯一両親と離れた時と言ってもいいだろう。
父や母とも、タオルどれがいいかな?
初めての学校での洋服どれがいいかな?など話をしながら購入するものを決めていく。
寮のカギは既にもらっていたため、
全て買い揃えた後は、寮へ荷物を一旦置きに行く。
また両親も寮母さんへ地元のお土産を渡し、簡単な挨拶も済ませた。
父が、「ごはん食べに行こうか」と一言つぶやく。
天神にあるデパートの飲食店で寮生活前の、家族水入らず最後の食事をとることになった。
食事の雰囲気もいつもの家族でとる外食と変わらなかったが、
新しい学校でも頑張れと応援してくれていた。
わたしも軽い返事で
「わかっとるわかっとる、がんばるけん。」
と少し照れながら返したのを覚えている。
食事を終え、両親との別れの時がやってきた。
アクロス福岡前で両親が
「ちゃんと頑張るとよ。無理はしたらいかんけんね。」
と優しくいってくれた瞬間、
私の目から涙が自然とこぼれ始めた。
その後からは涙が止まらず流れ続け、鼻水も止まらなくなってきており街中で泣きじゃくる私であった。
母は駆け寄りハンカチで涙を拭いて、優しく抱きしめてくれた。
父は少し離れたところで涙ぐんでいるのが分かった。
結局二人を見送る際も涙が止まることはなく、涙を流し鼻をすすりながら手を振っていた私だが、、、
これが初めての、花粉症発症の瞬間だったことは両親には言えなかった。
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