見出し画像

ウェル・ビーイングな働き方を考える

テレワークが導入される企業が増え、在宅勤務でパソコンを使って仕事をし続ける人が増えているといいます。

当初は、自宅でのスペースの確保や気を散らさずいかに集中できる環境を作るかと言った課題が多かったかもしれませんが、一旦始まってそれが長く続くと別の問題も出てきています。それは「仕事の詰め込みすぎ」です。

テレワークで仕事をすると、予定表の隙間にどんどんミーティングが入ってゆきます。それだけならば今までもあったことかもしれませんけれど、テレワークの場合はリアルではあった部屋から部屋への移動時間がなくなり、クリック一つで次の会議に行けますし、チャットやコールで呼び出されて、パソコンに向き合いっぱなしになってゆきエネルギーが消耗してゆきます。テレワークになってから忙しくなったとかシンドイとかなっている人もいるのではないでしょうか。

オフィスから離れて会社の誰とも会うことなくパソコンに向かって仕事をしている状況はそれまでの働き方と大きく異なりますし、心を病んでゆく人も出てきています。そんな中で今、組織の中では今までとは違った意味での「働き方改革」が始まっています。それが仕事における「ウェル・ビーイング」であり「ヒューマニティ」と言われるものです。

詰め込みすぎて燃え尽きないような仕事の仕方をするには、時間の使い方をコントロールが必要になってきます。業務時間中に意図的に作り出す「意味のある時間」です。今回はそこに絞って仕事におけるウェル・ビーイングを考えてみたいと思います。

ブレイク

人間が一つの作業に集中し続けることができる限界は90分と言われています。子供の場合はそれが45分であり学校の授業の時間割はそれを元に設計されているのです。
つまり、その時間が経過したら休憩を取らないと作業への集中が途切れ、状況によってはミスや重大な事故すら引き起こしかねません。

長い会議でも途中で休憩を入れますし、一日のワークショップを設計する場合は午前に一回、午後に二回のブレイクを入れます。時間は10分から15分。その間に外の空気を吸いに行ったりリフレッシュできる飲み物や食べ物を摂るのが望ましいです。

画像1

長い休憩を取るのが難しいほど次々と予定が詰まっている時は、せめて1分の瞑想の時間を取ると良いでしょう。私の場合は、ずっと座ってテレワークをしているときは1時間に一回は立ち上がって立禅をするようにしています。Apple Watchはスタンドをリマインドしてくれるので、その時にスッとその場に立ち上がって呼吸に意識を向けて心を整えます。

リチャージ

Microsoft Officeスイートを使っている職場では、週の頭に自分がどのように時間を使っていたかについてレポートが出てきます。MyAnalyticsというレポートで、自分の仕事に集中できる時間(フォーカス)がどれだけ取れていたかとか、メールを受信してから平均して何分以内に読んでいるかとかを統計を取って方向をしてくれるものです。

画像5

コラボレーション時間というのは会議やチャットをしていた時間でそれ以外の時間がフォーカスという統計の取り方になっているようです。アイドル時間(PCへのアクセスがない時間)とかもとれると良いように思います。

画像2

自分の時間を確保できているとウェルビーイングということになるようです。中断されることで余計なストレスを感じたり、元に戻るまでに時間がかかるということもあります。

画像4

こうしてみるといかにメールに反応してしまっているかが見えてきます。

画像4

どうも私は、メールが入るとそれが緊急性があってもなくても返事しておいて自分の仕事に戻っておきたいというのがあるようです。部下や他のチームメンバーの仕事を止めないというのを心情としているので無理からぬことなのですけれど、それによって自分のフォーカスの時間が細切れになってるのが分かりますし、これが疲れの原因にもなっていそうです。

リチャージは、文字通り充電を意味します。予定が次々に入ったりメールの対応に忙殺されて疲れ始めている時に、エネルギーを蓄えつつフォーカスの時間を取るようにするのがリチャージです。
決してサボっているわけではありません。会議やメールへの対応を一旦止めて自分の仕事に集中する時間を取るということです。

このリチャージですが、週の半ばぐらいに取るのが最も意味があります。ウェンズデー・アフタヌーン・リチャージという言葉もあるのですが、水曜の午後をこのリチャージの時間に充てて週半ばで自分の仕事のプライオリティを見直し態勢を整えたり、物事を集中して片付けるのです。この時間は会社や組織内のルールとしておくと確保がしやすくなるでしょう。

水曜日をノー残業デーにしている企業の話をよく聞きますが、仕事の終わりの時間で縛るやり方は返ってストレスを生みかねません。ノー残業デーを入れるのであればこのリチャージとセットにしたほうが良いでしょう。

画像6

セットアップ

最もウェル・ビーイングな仕事の仕方に効果があると私が考えていて実践するようにしているのが、セットアップです。
セットアップは仕事の始まる月曜日の朝に自分の時間を1時間から2時間ブロックしてその週の行わないといけない仕事のリストアップと優先順位づけをする時間です。メールの分類やファイルの分類などに充てても良いでしょう。
なぜこれが有効であるのかの理由は二つあると思っています。

月曜日の朝になると皆が一斉に動き出すので次々と連絡が入りその対応に追われだすと自分のペースが完全に崩されてしまい気がつくと一週間が終わりに近づいて自分の仕事が進まなかったという状況に陥ったりします。
これをドリフト(漂流)と呼びます。
ドリフトしないためには、流れに任せるのではなく自分の足場をしっかり固めておく必要があります。これが一つ目の理由です。

二つ目の理由は、日曜日の夕方の気分にあります。「サザエさん症候群」という言葉がありますが、週末にリフレッシュすることができても日曜日の夕方(ちょうどサザエさんを放映している午後6時半ぐらい)になると月曜日からのことをちょっと考えてブルーになるというのは、学生時代から経験している人が多いのではないでしょうか。
「来週はどんな予定だっけ」とか「あ、仕事のこと思い出しちゃった」とかなってブルーになってしまうと、せっかくリフレッシュしたのに精神的な脱力感(ディスチャージ)で休んだ効果が薄れてしまいます。人によっては月曜日のことが気になって眠りが浅くなる人もいるでしょう。

月曜日の朝にセットアップを確保できていれば、「月曜日からのことは月曜日の朝に考えればいい」となって思い切り週末をエンジョイしてすっきりと眠りにつくこともできるのではないでしょうか。

セットアップにどのくらいの時間が必要かは個人差がありますので、一概には言えませんが、最初のうちは半日取っておいた方が良いかもしれません。慣れてくると実は1時間もあればできるものだということになってきます。
毎朝早めに仕事を始め、誰からも連絡が来ないうちにセットアップをする人もいますが、結局労働時間が増えるしサービス残業を助長するのであまりお勧めしません。

セットアップの時間を持つことは、マネジメントにとっては特に重要で日々変化する状況の中で足を止めてプランや戦略の見直しをすることにつながります。マネジメントがドリフトすると組織ごと遭難しかねないですからね。

画像7

まとめ

ウェル・ビーイングというとQOL(Quality of Life)のように質的な面に目が行きがちですが、QOLを上げるために何をやるにしてもそのための時間は確保することが必要になってきます。

おそらく多くの人が人生の多くの時間を仕事に費やしているでしょう。心と体の健康を維持しながら最も生産性の高い仕事の仕方をするには、工夫が必要です。今回あげたブレイク、リチャージ、セットアップは、特に目新しいものではないかもしれませんが、こちらをきっちり習慣化することと関係者と共有するのことは明らかに仕事のアウトプットも自分の気分も良いものにしてくれると私は思っています。

画像8


最後まで読んでくださってありがとうございました ( ´ ▽ ` )/ コメント欄への感想、リクエスト、シェアによるサポートは大歓迎です。デザインの相談を希望される場合も遠慮なくお知らせくださいね!