【詩】全員不在
佐為末利(さいまつり)と申します。
先日、睡眠のお薬を切らしており、全く眠れない夜がありました。(2、3時間寝れたけど寝た気がしなかった)
底知れぬ闇の中に身を置いていると、果てしない孤独を感じました。本当に。
なんで寝れないんだ、、、と自分を責めたり。
だって私、未成年の時から10年以上、不眠なのです(正確には「不眠」と思ってきたのです)。だから、急に自分の思考を制御してくれるストッパーのような存在がなくなると、不安で不安で仕方がない。これは「病み」だって思ってます。ずっとずっと病みと向き合ってきて、その言葉にできない病みをあえて詩という言語に落とし込むことで、社会生活とバランスを保っている節がある(保ててない時もあるけど)。
けれど、眠れないということは自分に何か教えてくれてると、果てしない夜の底で思いました。その日あった出来事、その日でなくても、これまでの出来事、自分の中できっと消化しきれなくて、体の中に蓄積された消化不良を一個一個時間をかけて浄化させるために、眠れない夜は存在します。
闇の中を深く深く掘っていくと、やあやあと頭を下げて出会うべき言葉に出会います。歯車がガチャリガチャリ、と動き始めてそこで詩の言葉になります。
点と点はどれだけ時間をかけたとしてもいつか線になるし、世界はいいようにできてる、うん、そう信じたいです。変に抗わない、だけどもがきたい。
不眠の詩です。現代詩人会第32期に投稿したものです。
読んでください。
さいまつりでした。
全員不在
突然、
姿を消すことが多い私は
本来居るべき時に居ない
不在への絶対的価値に陶酔して
私ではない別の誰かになりたがった
しゃべれないこと
言葉を発せないことは
昼間には劣等感となるから
私は夜がもう一つの口として
しゃべり出すのを知ってた
なきものとされた人たちは
夜、その解像度を低くする
あなたの眼の奥底に
潜った私を呼び出す行為として
不思議なことに
居ない人の存在は肯定されていた
高校生のときから不眠を拗らせていた私は
眠れないことが
他者の存在否定になることに
独特の優越感があった
不眠の理由なんていくらでもあったが
夢でクラスメイトが、
あの子、ガチ勢だから
アピールなんじゃない?
って悪口を言ってた
言いたくないことを言うよりか
言いたいことを言えない方がまだマシで
てきとうに口を開くより
夜が
まるでこちらを理解不能というように
大きく口を開けて待ってるのを
私は待ってた
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