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SpaceXの低軌道衛星通信サービス「Starlink」が日本の一部地域でサービス開始

 イーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発企業のSpaceXは、2022年10月、低軌道衛星通信サービスのStarlinkを日本向けに提供すると公式Twitterアカウントで発表しました。日本は、アジア初のStarlinkサービス提供国です。
2022年11月までに、ほぼ日本全域でStarlinkの個人向けプラン「レジデンシャル」が利用可能になりました。

1.サービスの概要

 Starlinkは、地球全域をカバーする3,000基以上の衛星で構成される衛星メガコンステレーション(地球の上空を高速で周回する多数の低軌道衛星(LEO)を次々と切り替えて地上との通信を実現する仕組み)を利用した高速インターネットアクセスサービスです。

衛星メガコンステレーションの仕組み

  沖縄県や小笠原諸島を除く日本列島のほぼ全域でサービスを利用することができます。

 サービス料金は、2023年1月に大幅な値下げが行われて、月額6,600円になりました。それとは別に、衛星通信用キット代が最初に3万6,500円(期間限定の半額料金)かかります。現在、公式サイトから申込み可能で、無料お試し期間が30日間付いてきます。データ通信量は現在無制限となっています。

 キットには、電子フェーズドアレイ方式のアンテナ、Wi-Fiルーター、ケーブルなど必要な機器がすべて同梱されています。
 スマホ用アプリも準備されており、ダウンロード速度などの通信パフォーマンスがリアルタイム表示されます。アプリは契約者でなくても誰でもダウンロードすることができ、自宅からStarlink衛星の電波をどの程度受信できるかを事前に確認することができます。

 Starlinkは、高度550kmという低軌道の衛星を使用するため、レイテンシー(遅延)約20ミリ秒、下り速度約100~200Mbpsの高速かつ低遅延の通信が可能だとアピールしています。

公式サイトのStarlink申込みページ

2.Starlink計画

 イーロン・マスク氏が代表を務めるSpaceXは、低軌道衛星通信サービスで世界のトップを走っている事業者で、同社が進める衛星メガコンステレーションを利用した高速インターネットアクセスサービスがStarlinkです。

 Starlink計画では、最大4万2,000基の人工衛星を打ち上げる予定であり、2019年5月からStarlink衛星の打上げを開始し、2023年1月現在、3,338基が稼働中です。
 また、Starlinkは、2023年1月現在、45か国で100万人以上の加入者にインターネットアクセスを提供しています。

 日本では、KDDIが2021年9月に、山間部や離島でも高速通信を提供できるように、Starlinkをバックホール回線(auの基地局とバックボーン回線をつなぐ中継回線)に利用する契約をSpaceXと締結し、2022年12月に運用を開始しました。
 また、2022年10月、KDDIは認定Starlinkインテグレーターとして、日本国内の法人や自治体向けにStarlinkの衛星通信サービスを提供する契約をSpaceXと締結し、こちらも2022年12月からサービス提供を開始しています。

 日本でのStarlinkサービスの提供は、当初は通信事業者向けのサービスのみで、一般の個人や法人向けのサービスはもう少し先の話だと思っていたので驚きました。

 早期に予約した人には既にキットが届いており、使用体験を公表している人もいます。


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