【書評】稼ぐが全て(葦原一正・2018)

良書です。

FIBA(国際バスケットボール連盟)による日本代表チームの国際大会出場停止処分という大きな危機を契機とし、それまで二分されていた日本バスケトップリーグを新リーグ設立によって統合したのみならず、日本バスケ発展の起爆剤となったB.LEAGUE。

B.LEAGUE事務局長として、約1年というあり得ない短さの準備期間を超スピードで駆け抜けて新リーグ設立にこぎつけた著者が、その舞台裏とこれからのスポーツビジネス新時代の幕開けを語っています。

人材採用論、リーダー論、事業戦略論、マーケティング戦略論、営業論、コンテンツ論、ビジョン論の7章で構成され、自身の経験やアメリカなどの先進事例から導かれた思想や理論と実践が解説されています。スポーツビジネスに興味のある方は必読の一冊かと。

また、様々なシーンでの著者の奮闘ぶりが伝わってきて、最後まで読み終わると、こちらも勝手に勇気づけられるような本です。


自伝的な著書と言っていいと思いますが、こういう本は好きです。

単純に舞台裏というのは面白い。私は前からB.LEAGUEには注目していて、新潟アルビレックスBBのファンとして年に数回アリーナで観戦もしているのでなおさらでした。

もうひとつ自伝的な本が好きなのは、変な意味での背伸びしていないからです。

世の中には「〇〇が明かす成功の法則35」みたいな本がたくさんありますが、ひとつの成功例に過ぎないものでも、あたかも再現性の高い法則やメソッドによるものであるかのように書かれがちでなかなか腹落ちしないことが多いです。自分でも活かせる学びが多いと思いきや、それぞれの内容が逆に薄く感じるのであまり好きではありません。

その点、こういった自伝的な本はあくまでイチ事例というか、一つの体験談として「この課題に対し、こう考え、こう手を打って、こうなった」という形で素直に書かれていて、しっかりと重みを感じることができますし、逆にストンと入ってきます。


開幕して瞬く間にB.LEAGUEファンとなった私ですが、アリーナスポーツの魅力、バスケの魅力を存分に活かし、多くの人に届ける努力あってのことだと再認識できました。葦原さんはじめB.LEAGUEの皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思います。

この記事が参加している募集

Bリーグ

気が向いたらサポートをお願いします。いただいたサポートは長岡西陵スポーツクラブの活動に活用いたします。