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どういたしまして

 一色は子どもが好きでは無い。
 子どもの施設で働いていたときにえらい目にあった。これはこちらの技量の問題も大きかったが、あまり子どもへのいい思い出が無い。

 そもそも子どもの施設で働くくらいなので、先天性子ども嫌い症候群では無い。
 舐めてかかるとえらい目に遭う。これも教訓になった。

 冒頭延々と子どもの話をしたが、何の事は無い。エレベーターを出るときに3.4歳くらいの男の子が扉を開け続けてくれた。
 それに対して、人として感謝の気持ちを持って、お礼を言った。さて、ここで冒頭である。

 後天性子ども嫌い症候群の一色は子ども相手に笑えない。マスクのせいだと思ってもらいたいが、そもそも好きでは無い対象物に笑うことは不可能だ。子どもよ、諦めてくれ我はエレベーターを降りる。

 聞こえた。
「どういたしまして」
 だから、お前らは嫌いだ。

 相変わらず、君たちの事を好きになれそうでない。