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「食」から土台を築いていく〜「葛飾未来食」代表 山本やよいさん

「こどもが喜ぶ食事」を考えていたら、「ママが嬉しい食事」につながっていった

家族の信頼や安心の基礎を作るのが、「ルーティン感」と「小さな約束を守る」こと



自分の周りから良い環境を作り、拡げていく
「自分らしい選択をしていく」
仕事への想いや公私のバランスなどについて伺い、お人柄や魅力に迫りながら、良い環境づくりのヒントを探っていくインタビュー企画の第1弾です。

ISSHO NI(いっしょに)では、互いのありのままを大切に、みんなで支え合える社会を目指し、ひとりひとりができることを探っていきます。この企画では、その方の言葉をできるだけそのまま綴り、ありのままの魅力をお届けしていきます。



今回ご紹介するのは、
東京都葛飾区を拠点に、カフェでの食事の提供、陰陽をベースとした“重ね煮”講座、子どものおやつの選び方講座など、食に関する講座を多数開催されている山本やよいさん。2021年6月に任意団体「葛飾未来食」を立ち上げ、葛飾区の給食をみんなで考え、提案していく活動をされています。

「こどもが嬉しい食事」「ママが嬉しい食事」と分けて考えず、誰にとっても嬉しい食事を考え提供している山本さん。陰陽をベースとした中庸の考え方、食からの土台づくりを伝えています。

山本やよいさん

東京都葛飾区
「葛飾未来食」代表

ピックアップ! 山本やよいさんの“言の葉”

・私に合った育児をしないと、こどもに合った育児はできるわけがない
・「子どもが喜ぶ食事」を考えていたら、「ママが嬉しい食事」につながっていった。そこは分ける必要がないと気づいた
・じんわりと心に響いて、その感じたものを「家族に分けてあげたい」と思う食事を提供したい
・刺激よりもルーティン感。そこから生まれる信頼と安心を大切にしている
・こどもとママを分断しない
・給食が変わると、お母様方の意識が変わり、みなさんの食卓もきっと変わる
・家族の信頼や安心の基礎を作るのが、「ルーティン感」と「小さな約束を守る」こと

食を起点に地域をもっと良くしていく〜給食を考える「葛飾未来食」の活動

「葛飾未来食」という団体を立ち上げ、地域の課題を解決する一歩として食を起点に活動をされている山本さん。
環境問題や、地域の課題、福祉の課題など、いろいろな課題がありますが、1つ良くなると連動して良くなることがあります。私たちはそれを食から起こしたいと思って活動しています」。
今までのルールではなく本当にそれがこどもたちにとって良いものなのかということを一つ一つ考え直してもらう機会を、自治体や、小学校、保育園に投げかけ、未来へ向けた食環境の改善に取り組んでいます。

孤独な育児から、他者の視点による発見がある育児へ

山本さんは、「葛飾未来食」の他にも、薬膳をベースとした食の講座を開催したり、「ひよこのカフェハウス」でお食事を提供したりと、「食」に関わる活動を多数されています。「食」に関わることになったきっかけを聞いてみると「きっかけは食ではなく子育ての中にあった」という山本さん。
お子さんが0歳の時は孤独だったとのことです。

「きっかけは、子育て中の気づきでした。こどもを出産後、里帰りができず一人で育児をしていました。育児について知らないこともたくさんありましたが、誰にも聞けない、話せない状態でした。いつも考えていたのは、こどもに合った育児ってどうやったらできるのだろうということです」。

悩み抜いた末にたどり着いたのは、自分に合った育児をしないと、こどもに合った育児はできるわけがないということ。そして、育児をみんなで担えたら、「余白」をみんなが持てるのではないか、という気づきにつながっていきました。

山本さん:きっかけは、子育て中の気づきでした。
こどもを出産後、里帰りができず一人で育児をしていました。育児について知らないこともたくさんありましたが、誰にも聞けない、話せない状態でした。近所の方に話しかけてもらうことが嬉しくて、話しかけてもらいに散歩に行ったりもしていました。母乳のケアでたまたま通っていた助産師さんや、ネットの情報だけが頼みの綱でした。

山本さん:いつも考えていたのは、「こどもに合った育児ってどうやったらできるのだろう」ということです。
悩みに悩んで子どもを見つめに見つめて、ようやく子どもが1歳半ぐらいになった頃、「結局は、私に合った育児をしないと、こどもに合った育児はできるわけないな」と腑に落ちた瞬間があったのです。
サポート、時間、お金といった「余裕」や「余白」がないと、自分に合った育児というのはなかなかできないよね、と思いました。

山本さん:なぜ1歳半になってからようやく気づけたかと言いますと、その頃から仕事ができるようになったことが大きいのです。それまでは子どもと1対1の場面が多かったのですが、仕事に復帰し、行き帰りの時間に「自分時間」を持てるようになりました。こどもを保育園に預け保育士さんと一緒に育てることで、私以外の視点での発見があることが喜びでした。
そこで気づいたのが「余白」です。

山本さん:自分1人で育児をする環境の時は育児を抱え込んでいましたが、それをみんなでやれたら、余白をみんなが持てるのではないかなと思ったのです。
ですが、気づいたからといっても、すぐに余白は持てませんよね。
どのようにしたらみんなが余白を持てるようになるのか、自分にできることは何かと思っていたところ、ちょうど「ひよこのカフェハウス」がオープンするという記事を見つけたのです。

「ひよこのカフェハウス」にて、山本やよいさん手作りのごはん

食べること、話すこと、それをゆっくりとできる場を


「余裕」や「余白」がないと、自分に合った育児というのはなかなかできないと考えていた山本さんと「ひよこのカフェハウス」との運命的な出会い。ひよこのカフェハウスがオープンするという記事を見て、アプローチしました。育児中の親御さんたちに「食べること、話すこと、それをゆっくりとできる場を作りたい」と話す、カフェハウスのオーナーさんの想いに共感したといいます。

山本:共感したのは、私が「余白が足りない」と思っていた、この余白を、お母さんに感じてもらうためにこの場所を作るというオーナーの想いでした。
例えば食事の時に、育児中のお母さんは、赤ちゃんを抱きかかえて食べることもあり、食事の味もわからないという状況があります。そんなお母さん達に、ゆっくりと食事を味わう時間を提供したい。
食べること、話すこと、それをゆっくりとできる場を作ること。
オーナーが、それをしたいんだと言っていた時に、本当にその通り、私もこれを求めていた、と、思ったのです。

本当に身体にとって美味しいものは、対象を分ける必要がない、ということ


「ひよこのカフェハウス」で提供する食事は、最初は試行錯誤が続いたとおっしゃる山本さん。こどもに良いご飯を作ろうと試行錯誤していたといいます。そのうちに、どんどんママにも嬉しいご飯になっていくことに気づき、そこでの気づきを通して、「幼児食」への考え方がガラリと変わっていったとか。
「最初は、こどものために、こどもに喜んでもらえるようにというところに焦点を当てていたのです。それを考えていけばいくほど、どんどんとママにも嬉しい食事につながっていき、こどもとママを分ける必要がないというところに気づきました。本当に身体にとって美味しいものって、対象を分ける必要がないのです」。

山本:私は、じんわりと心に響き、食から感じたものを「家族に分けてあげたい」と思うものを提供したいと思っています。そんな食事の提供のしかたも、一つの「余白」の作り方かなと思います。
そのような流れで、ひよこのカフェハウスのごはんもそういうものにシフトしていきました。

大切にしているのは、じんわりあたたかいルーティン感

一時の喜びや、ハイになるような食事ではなく、山本さんが大事にしているのは、じんわりあたたかい「ルーティン感」
「自分の子育ての中で、こどもに合った育児ってなんだろう…から、自分に合った育児をすればいいんだ、に変わっていったのと同じように、食についても、幼児食ってなんだろう…から、自分やママが欲しい食事がいいのかな、ママがじんわりと嬉しいと思える食事を作れたらいいのかな、という考えになりました。そこに共通するキーワードが”余白”です」と山本さん。

山本:こどもって、大人が思っているほど刺激を求めてはいないと思うんです。食事も生活もだと思うのですが、ルーティンが大好きです。イメージで言えば、茶色とか黄色のルーティン(笑)。一時の喜びやハイな状態ではなく、私が大事にしているのは、じんわりあたたかい「ルーティン感」なんです。

山本:「家族の協力」というのも、そのルーティン感の中にあります。「家族の間に信頼と安心を作る」ということが私のモットーと言いますか、家族に対する約束だったりしているので、そこは本当に大事にしています。
刺激よりもルーティン感、そこから生まれる、安心と信頼
衣食住、一貫して大事にしています。

ーー食だけではなくて、暮らし方ということですね。ちょっと脱線しますが、「衣」にもこだわっていらっしゃるんですか?

山本:(笑)洗剤にはこだわっています。「衣」にもこだわっているからといって、所謂自然派といわれるスタイルの洋服が似合うわけではないので、その辺はバランスを見ながら(笑)

活動の広がり

じんわりとあたたかいルーティン感を大切にされている山本さん。「ひよこのカフェハウス」のお客様からも「なんでひよこのご飯ってこんなにほっとするんだろう」という感想をいただくとのこと。カフェハウスでの出会いと会話から、食に関するさまざまな講座開催に繋がっていったといいます。

山本:ママさん達の集まりの中で、こどもへのおやつの選び方の講座をやったりしまして、そこからまた、自然とか食とかを大切にしている方との繋がりが生まれて、コラボさせていただいたりもしました。
自然食を扱っているレストランとか、自然食品のお店の従業員さんに向けた講座もやったことがありますし、サスティナブルを大切にする会社さんのイベントでも講座を開催させていただきました。

中庸を作り出す”重ね煮”の考え方がベースに

「ひよこのカフェハウス」で提供する食事の土台になっているのは、中庸を作り出す「重ね煮」の考え方だそう。
「重ね煮というのは、食材の陰陽の性質をベースに、中庸の食べ物を作り出す煮方のことです」。
人間の体は、自然とバランスをとろうとするのですが、振り幅が大きいほどなかなか安定せず身体にも負担になります。冷房が効いているところと暑いところを行ったり来たりしていたらバランスを崩しやすく、疲れてしまいますよね。それと同じで、振り幅は少ない方が楽なのです」と山本さん。

山本さんのお子さんが0歳の頃、薬膳の学びを始めた山本さん。
こどもに合ったもの、ママに合ったものと分断することなく、中庸を重んじる考え方は、この重ね煮を学んでいたということも大きいですね」。

山本:陰陽の振り幅がない、ほぼほぼ中庸なものを毎日食べていれば、体も心も疲れずにいられるという考え方をしています。
この考え方が、ひよこのカフェハウスで作る食事でも、講座をする時にも土台になっています。
こどもに合ったもの、ママに合ったものと分断することなく、中庸を重んじる考え方は、この重ね煮を学んでいたということも大きいですね。

ひよこのカフェハウスで提供している重ね煮ごはん

地域の問題解決を食から起こしたい〜給食が変われば、家庭の食卓が変わる

山本さんが大切にしているのは「土台を作る」ということ。葛飾未来食の活動で給食を考えることを通過点として、こどもたちのベースを作る食の考え方について発信をしています。
給食が変わると、きっとみなさんの食卓も変わると思うのです。私は、さまざまな問題解決を、食から起こしていきたいのです」。

山本:私にとって、給食を考えることは通過点だと思っています。
私が大切にしたいのは、やはり「土台を作る」「ベースを作る」というところなんです。
基本的には、ベースのところを作る食事と、刺激的で楽しむ食事というのは分けて考えた方が良いと思っています。私が問題だと思っているのは、楽しむものがベースに入ってきてしまっていることです。

山本:例えば牛乳は、戦後に普及しましたが、私は嗜好品だと思っています。牛乳は美味しいし、飲みたいかもしれませんが、毎日ではなくて本当に自分を満たしたい時にたまに飲むものという意識で良いのではないかと。

山本:給食が変わると、きっとみなさんの食卓も変わると思うのです。食が壊している環境問題はたくさんありますが、その状況を変えようとするよりも、給食を変えたほうが早いのではと思っています。給食というのは食卓のお手本のように思っていらっしゃる方も多いので、給食が変わると、お母様方の意識が変わり、みなさんの食卓もきっと変わります
私は、さまざまな問題解決を、食から起こしていきたいのです。

家族との約束

ご家族との間においても、安心や信頼が基礎にある、土台づくりを大切に考えている山本さん。
”自分ばっかり”というネガティブな気持ちが溢れる前に、容器の中身をいかに少なくして、基礎をふかふかにしておくかということが大切だと思っています。その基礎を作るのが、「ルーティン感」と「小さな約束を守る」ことだと思っています」。
また、ご自宅で始めた新たな活動についてもお話しくださいました。

山本:子どもが赤ちゃんのころから続けているのですが、子どもとした約束はどんなに小さなことでも必ず守るようにしています。
それをすることによって、私が大切にしたいと思っている、安心とか信頼とかのベース作りをしています。

山本:そして実は、個人的に学童のような活動を始めています。自分の子どもも含め、数人の小学生を預かります。最初は、自宅の一部屋から始めるつもりです。学童というよりも、民間の学習塾と言った方が良いかもしれません。そこでお預かりして、帰宅する時には、お夕飯をちょっと買って帰ってもらえたらいいなと。

むすびに

信頼と安心をベースにした土台づくりを大切に、着実に歩みを進めていらっしゃる山本さん。

試行錯誤や悩みの中から次のステップへの気づきを得、
目指したい場所へ向けて一歩一歩踏み出していくご様子に、
お話を伺いながら感銘を受けました。

こどもたちの未来の食事を、本当の意味で美味しいものに

優しい眼差しと、しなやかな軸をもち、
地域のさまざまな問題解決を、食を起点に起こしていきたいと真摯に語る山本さんから、自分で良い環境を作っていくヒントや、あたたかな絆を築いて心地よく毎日を送るヒントを教えていただきました。




ISSHO NIは、ひとりひとりが大切にされ、みんなで幸せを共有しながら子育てできる文化・環境づくりを目指して発信しています。自分の軸を大切にしながら良い環境をつくり、想いを持って活動されていらっしゃる方々から様々なヒントをいただいています。

特に育児子育て支援や、こどもに関わる活動をしていらっしゃる方、明るい未来を見据えている事業者様方との協業を通じ、「できること」の幅を広げていきます。

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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