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『いま、なぜ、市民なのか?』

■一新塾は2024年で30年目

一新塾は2024年で30年目を迎えます。
こうしてあるのも、ご指導いただいた500名を超える講師の方々と、
6000名の塾生一人ひとりの志を生きるチャレンジ、
そして、応援いただいた皆さまのおかげです。

思いもよらぬ出来事が次から次へと起こる時代。

出口が見えない戦争、
少子化・高齢化の波、
早まるシンギュラリティ、
格差、貧困、孤立、
地震や気候変動も深刻です。

時代の転換点、
一人ひとりの市民が立ち上がることの
重要性をますます実感しています。

■私の一新塾との出会い

かつて私は建築関係の仕事に携わっていました。
その時、阪神大震災の直後の建物倒壊の現場に訪れました。
焼け野原になったまち。
倒壊した建物。形あるものは一瞬にして崩壊してしまうはかなさを痛感しました。

しかし、試練のどん底にあって、市民が力強く立ち上がり、連帯を組んで、
未来に向かっている、コミュニティの底力を目の当たりにしました。

「やはり、人のつながり、コミュニティだ!」

これは、市民目線でコミュニティを見据えないことには
自分の未来もないな、と直感しました。

一新塾と出会ったのはその直後でした。
市民を生きる学校があると知り、
さっそく門を叩かせていただきました。

すると目からウロコの連続でした。
これまで業界目線で見ていた世界は表層の断片だけ。
この場では、講師も、塾生も、生き様でもって、
メディアには出てこないような、
業界の裏の裏の構造を解き明かしてくれます。

そして何より、
ゼロベースでビジョンを描き、
コンサルタントから、一市民に転身し、
嬉々として日本変革に挑み、
身を投じて全力でぶつかっていく
大前研一氏の姿に衝撃を受けました。

当時の自分を振り返ると、
市民という存在はまったくの蚊帳の外。
個人の力なんか、ちっぽけなもの、と思っていました。

しかし、大前氏は言うわけです。「個人の可能性は計り知れない。この個人の可能性を大きく広げることが社会変革の一番のトリガーとなる」とのメッセージが、自分の殻に亀裂を入れました。

■初期の頃の一新塾

講義では、第一線で奮闘する社会変革者の講師の気概に触れ、目が開かれました。その道の第一人者である講師の方々は、筋金入りの志をお持ちです。
深い専門性と深い知恵をお持ちです。

名もなき一市民であっても、私たちが現場で体験したことや自分の人生と深く向き合った思いを体当たりでお伝えすることで、市民だからこその知恵の存在に気づかせていただきました。

「既成概念をオールクリアしよう!」
「ゼロベースでビジョンを 描こう!」

ドン・キホーテのような一見、無謀に見えるチャレンジでも突き抜けた ビジョンであれば「面白い」と仲間が知恵を持ち寄るのです。
この場では、世代もバックグランドも違う者同士が、 主義主張を超えて議論をぶつけあいます。異質同士のぶつかりあいがある からこそ、計り知れない創造が生まれることを実感する日々でありました。しかし、いくら徹夜で議論を尽くしても、いくら正論を主張しても、それだけでは、社会は変わらない。

「まずは、現場でやってみよう!」 と現場での実験で確かめることにしました。議論からアクションへ現場主義の風土が浸透していきました。

こうして、政策を作ったらすぐに議員に提言するところまでやっていこう!という気運が盛り上がります。そして、議員や行政に政策提言してみましたが、20年前には、「素人がこん な政策を作って何になるんだ」と一蹴されることもよくありました。どうしたら市民からの政策が政治の世界に反映できるのか、試行錯誤を重ねていきました。

さらに、「社会問題で食べていきたい!」との塾生が急速に増え始め、政策提言のサポートだけでなく、社会起業を目指す方のためのプログラムを整えることにしました。
そして、2000年に入り、『政策提言』と『社会起業』と『市民活動』の3つのコースが生まれることになりました。

2002年の一新塾のNPO化に際して、大前氏より、一新塾の責任者としてのバトンを私が受けることになりました。

■ 3つの変化

NPO化を契機に、3つの変化がありました。

1つ目は、 自前の教室を持つことになったことです。
これまでは、週二日、セミナールームを借りていましたが、毎日、教室が使えることで学びの機会も活動量も数倍に増えました。

2つ目は、独自の方法論の確立です。
「6つの箱」や「タテ軸ヨコ軸羅針盤」など、社会を変えるプロジェクトのプランニングと立ち上げを後押しするフレームワークが整いました。

3つ目は、ミッション基軸の徹底です。
徹底的に人生の根っこを掘り下げ、自分だからこそのミッションを打ち立てることにこだわりました。自分のミッションをプロジェクトの屋台骨に据えることが風土となってゆきました。

もやもやの思いでも、この場に来れば、必ず糸口が見いだせます。
もやもやは、創造の源泉です。鮮明な志に転換させて、大きなビジョンを描けます。自分の使命が浮き彫りになってゆきます。同志との出会いがあります。現場に一歩踏み出すことで、プロジェクトが起動します。

これまでに、この場で生まれた「0→1」の社会を変えるプロジェクトは2000を超えました。政策提言、社会起業、市民活動、あらゆるテーマ、フィールドは日本全国、世界各国に及びます。

この場には、多様な年代、多様なバックグラウンドの方が集いますが、あえて共通点を挙げるとすれば、「もっと社会のために」 「もっと自分のミッションで」と志を生きる人生にギアチェンジするタイミングの方が多かったと思います。これまでの人生を振り返り、旧い自分の殻に亀裂を入れて、新しい生き方を求める人たちです。

仕事をしながらNPOを立ち上げた方は2000名。
社会起業家に転身された方は330名。
政治家に転身された方は253名です。

■いよいよ主体的市民の時代へ

これまでは、提供者側、つまり、政府や大企業が圧倒的な力を発揮してきましたが、IT革命により、テクノロジーが生活者としての個人をエンパワーする時代となりました。個人の発信でも共感を呼べば、大勢の人たちとつながり、計り知れないインパクトを社会に与えられる時代です。

個人の突き抜けたビジョンと構想力を発信することで、共感した人たちと新しいコミュニティを生み出し、従来の常識を覆す新しい創造を続々と生み出せるようになってきました。ネットも活用しますが、何より現場主義を大切にこの時代を向き合っています。

教育を教師だけに任せるのではなく、
医療を医師だけに任せるのではなく、
政治を政治家だけに任せるのではなく、
私たち生活者が主体的にかかわっていこう。

一新塾創設時に掲げられたスローガンです。

現場に身を投じての奮闘から紡ぎ出された知恵は、次に続く方に手渡されます。その知恵を使って、次の方が新しい実験に挑みます。そして、その経験で得た知恵を、また次に続く人たちへと知恵のバトンは引き継がれていきます。

こうした循環が起こり、主体的な市民が続々と誕生しています。
一人ひとりの志こそが社会創造の礎です。

これから、ますます、市民の存在が社会でのウエートを増してゆくでしょう。私たち市民、一人ひとりが、地域づくり、国づくりのプレイヤー。
ミッション基軸の全員参加の国づくりです。


★誰もが志を生きる
ネクストリーダー養成学校一新塾


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