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サラリーマンだったからこそ、今がある(4)

~人生には何一つ無駄なことはない~
 
●市民の底力
1995年阪神大震災の直後に、建物倒壊の現場を訪問する機会がありました。焼け野原になってしまったエリア。倒壊した建物。形あるものは一瞬にして崩壊してしまうはかなさを痛感しました。そんな試練のどん底で、市民が立ち上がり、連帯を組んで、前を向いて、お互い支え合っている力強さ。市民の底力、コミュニティの普遍的な力を垣間見させていただき、自分の中に衝撃が走りました。
 
一新塾と出合ったのは、その直後でした。
一新塾に入ると、目からうろこの連続でした。社会の表面のほんの断片しか見えていなかった薄っぺらな自分を痛感しました。この場では、様々な業界を担っている人たちが、自分の生き様で舞台裏の業界の構造を解き明かしてくれて、「ああ、そうだったのか!」との発見が続々と起こりました。
 
また、一新塾の仲間に、自らのビジョンをぶつけると、これまでは「できるのか!」と一蹴されてしまうことが、一緒になって考え行動してくれる仲間を得られ、救われました。コミュニティの再生は、まず、私たちがお互いの志を尊重し、志を応援し合うことからだと確信を得ました。
 
そんな時に、「一新塾で働かないか?」との誘いをいただきました。
私は市民の底力、地域コミュニティの可能性に魅了されて、9年間勤めた会社を辞めて、一新塾事務局の仕事に飛び込ませていただきました。
 
●サラリーマンだったからこそ今がある!
「人生には何一つ無駄なことはない」ということを最近とても実感しています。

それは、一新塾の経営と教育の場作りを通じて、私が果たしたいと思うことを進めるための技術やスキルの多くがサラリーマン時代に養われていたことを日々、深く感じているからです。
 
限られた制約条件の中で一定の成果を具体的に出すことを求められ、必死になって現実の要請に応えようとする中で学ばせていただいていたのです。
 
具体的には、3つの教訓を得ました。
 
一つ目の教訓は、カッコ悪いと思っていた地域の現場をウロウロ歩き回ることが、いま、何より大切な現場主義の姿勢となっています。
 
二つ目の教訓は、時間つぶしに利用されたと思っていた人生をお聞きしないと始まらなかった仕事の進め方が、いま、ミッション基軸のプロジェクト支援に欠かせないスタイルとなっています。
 
三つ目の教訓は、自分の事業が住民の反対運動でつぶされそうになり、やっかいな存在であった市民の存在が、いま、自分のミッションになっていることです。共同住宅の建設現場で遭遇した住民の大反対の体験を通じて学んだ「ビジョンを繰り返し語ることで、人間は立場を超えて、条件を超えてわかりあえる」との知恵は、一新塾生のプロジェクト支援でも大きな力となっています。
 
サラリーマン時代は、「自分のミッション」と「組織のミッション」をぴったり重ね合わせることは難しく葛藤は確かにありました。しかし、このサラリーマン時代に、「自分のミッション」を果たすための技術を学ばせて頂いていたのです。
 
そして、今、一新塾の仕事に携わり、「自分のミッション」に思いっきり
邁進できる環境に身を置かせていただく中で、日々試されているのは、
「自分のミッション」を具現化するための技術です。
 
かつて、「回り道せず、もっと早くこの世界に飛び込んでいればよかった」
と思ったことがありましたが、今は違います。
 
かけがえのないサラリーマン時代がなければ今の自分はありません。


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■『第二の人生は志を生きる~サラリーマンから市民への転身』(一藝社)
NPO法人一新塾/森嶋伸夫 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4863592485

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