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生産と消費はデザインの裏テーマ

デザインの歴史を産業革命を受けてのウィリアム・モリスの活動を起点とするならば、その裏テーマには常に「生産と消費」がある気がします。モリス→バウハウスくらいまではやや距離がありましたが、デザインがこれだけ力を得た理由としてアメリカにおける商業との結びつきは無視できません。そして、現在先進国でどんどん消費意欲が下がるなか、デザインはなんとか商業的(コマーシャリズム)から脱却しようともがいているように見えます。

デザインとは価値創出である、というものの、その価値が最終的にはデザイナーの報酬に帰結するならば、口ではどう言おうと結局は消費経済という大枠から抜けられません。かといって無報酬でデザインワークを行うことが解決案なのか、といえばそれも違うわけです。

そうやって答えがない問いがグルグルとめぐる中、奥山さんの本を久しぶりに再読してみました。代表作である車はもちろん、いまやトラクター・鉄瓶・絨毯などもデザインされる奥山さん。タイトルからして「ビジネスの武器」となっていて、価値あるものをデザイナーが生み、結果企業も生産者も潤って消費者も満足をつくることに直球で、ある種の気持ちよさがありました。そう、美しいものを人を欲しくなるんですよね。

こういう方が商品だけじゃなく、たとえば業界、もっといえば日本の産業をデザインするとしたらどうなるんだろう、と思いながら再読した一冊。

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ビジネスの武器としての「デザイン」 (2019年、奥山清行、祥伝社)

【本日の朝食】

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レモンのパン、アボガドプレートは茸のマリネと半熟卵をそえて。

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