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食料危機はこない!・・・の?

マスメディアが役に立たない以上、自分たち自身で情報をとっていかなければなりません。しかし、その情報が偏ったものでもいけません

自分自身で情報をとるときには、ひとつのテーマに対して、複数の視点、単純に言えば、真逆の視点からの分析にも耳を傾ける必要があると思います。

そうした複数の視点からの情報を総合的に判断して、自分なりの物の見方というものを確立していく必要があります。

食料危機に対して警鐘を鳴らす人たちがいます。この問題、私も非常に気になっています。

これについて、食料危機は心配しなくてもいいという人もいます。

こちらの動画で語られているポイントは、以下の3つに集約されそうです。

①経営環境が苦しくなって潰れていく農家は生産技術が低い農家。
②減反政策をやめて、再びコメの増産政策を進めれば問題ない。
③農林水産省やJAが、全力で食料危機回避のための取り組みをするはず。

これらのポイントについて、私なりにひとつひとつ見ていきたいと思います。

①経営環境が苦しくなって潰れていく農家は生産技術が低い農家。

肥料や資材が高騰するなどして、経営環境が苦しくなるとしても、潰れていくのは生産技術が低い農家で、きちんと生産技術が高い農家は生き残っていくという指摘です。いわゆる、市場原理というやつです。

たしかに生産技術が低い(生産性が低い)農家が潰れて、生産技術が高い(生産性が高い)農家が生き残るというのは、市場競争原理が働いた結果として当然でしょうし、そうあるべきだという見方もあるかと思います。

ただ、そこには落とし穴があります。

また、ここで考えておきたいのは、生産性の高い効率的な農業が、果たして私たちにどのような影響をもたらすのか?ということです。
生産性の高さを求めるがゆえに、安全性が損なわれては元も子もありません。しかし「自由競争」の名のもと、生産性の高さばかりが求められれば、簡単に安全性が失われる可能性もあるわけです。実際、既にそれは起こっているとも言えます。

「「自由競争」まみれの農業は困る」より引用

単純に「トマト」という野菜を、安く大量に作りたいということを突き詰めるのであれば、そのためにできることは、かなり幅広くあると思います。種、苗、肥料、農薬・・・安く大量に作るためのあらゆる選択肢を排除せず、それらを組み合わせていけばよいということになります。

しかし、そこには農家なりのこだわりがあるので、一言で「トマト」に収めることができません。「●●なトマト」というところが、非常に重要になってくるわけです。「安全なトマト」、「美味しいトマト」、「実の詰まったトマト」、「たくさん獲れるトマト」・・・。

近年では、とくに安全性に関する視点が重要です。生産性を高めるために、農薬まみれの野菜を食べさせられてはたまったものではありません

トマトの話が出てきたので、ちょっと逸れますが、こんな話もあります。

法的には、産地偽装に当たらないらしいですが、新疆ウイグル自治区で作られたトマトが、船でイタリアまで運ばれて、そこで水と塩を入れて缶詰したらイタリア産トマト缶???

この短文、ツッコミどころだらけです。細かく事情を知りたい方は、是非、動画を通してご覧になってみてください。

とにかく、農業に利益第一主義の営利企業が参入するようになってきたら、食の安全などの問題がどうなるか分かりません。

そうしたこだわりのある農家を含めて、ただ一言「生産性の低い農家」と断じるのは危険です。

それだけではありません。

そうした利益第一主義の広がりとともに、農業経営全体の大資本化というのも問題になってくるでしょう。

こうした大資本の参入は、農業に限ったことではありません。資本家がより富んでいき、労働者はより貧困にあえぐといった、格差拡大の問題が懸念されます。

そして、それは世界共産化にも繋がる深刻な問題であるとも考えます。

ただ市場原理に任せて、生産性の高い農家だけが残るというのは、その先にある農業全体の大資本化を示唆しているのであり、世界共産化への準備段階とも捉えられる点、見逃すわけにはいきません

少数の大資本によってコントロールされる農業においては、食料(食糧)危機ですら、人為的に引き起こすことが可能になります。

人工肉などのビジネスに投資した人たちを儲けさせるため、意図的に食料危機を引き起こすような可能性だって否定しえません。

ワクチンビジネスに投資して、それで儲けるために人為的なパンデミックを起こすような人たちが、同じようなことを食料問題では絶対にしないなどと、思えるはずもありません。

この問題は、農業・農家といった狭い視野ではなく、もっと世界規模の問題として、巨視的に捉える必要があると思います。

②減反政策をやめて、再びコメの増産政策を進めれば問題ない。

減反政策をやめて、再びコメを増産すればいいというのは、きっとその通りなんでしょう。

ただ、そんなに簡単にできるのかは不明です。こちらの動画、私にとっては、割と衝撃的です。

動画の背景にある田んぼ、コメができているのに誰も刈り取りません

その田んぼをやっていた人が、体調を崩してしまって、刈り取れなくなったそうです。ただ、そのままにしておいてもいけないので、周りの人にタダで刈り取っていいと言っているにも関わらず、誰も刈り取らないといいます。

その理由は簡単で、金にならないからです。

その田んぼ(一反)で獲れるお米の末端価格が、大体10万円弱くらい。それに対して、農家の手取りはおよそ2割くらいなのだそうです。広さを考えたら、かなり少額です。

結局、今の農家さんにとって、どのような交付金が出るかという国の政策が、とても重要になるということになります。

そのなかで紹介されているのが、農林水産省が出している「水田活用の直接支払交付金」というものです。コメと一緒に、いろいろな作物をつくることで、交付金がもらえるそうです。

ここで問題になるのが、その交付金額です。麦や大豆には一反当たりで35,000円支払われるのに対し、家畜用の飼料には80,000円が支払われるというのです。

80,000円といったら、真面目にコメを作っていた時の末端価格(上述の10万円弱)くらいのボリュームになります。それがまるっと交付金でもらえて、さらにそこから売上が乗っかることになるわけです。

一反で、真面目にコメ作りをしたときの農家の手取りが、15,000円くらいのレベルだとしたら、その収入にはものすごい開きがあります。そりゃ、真面目にコメなんてやってられません。

この動画では、こんな政策をされてしまっては、農家が真面目に人間が食べる穀物を作らなくなってしまうのではないかという問題が指摘されているわけです。

減反政策をやめればいい?

現状、そんなに甘くないのではないでしょうか。

③農林水産省やJAが、全力で食料危機回避のための取り組みをするはず。

政府が本当に国民の生活向上のために存在するのであれば、それでもいいと思います。しかし、本当にそうなのか?という根本的な問題を考えなければいけません。これは前項②の問題にも、深く関わるポイントです。

ただ、この議論は、もう既に何度もしているので、あまり繰り返したくないところです。既に、いくつかの過去記事のリンクを貼っておきますが、政府が守ってくれるなんていうのは、幻想でしかないと思います。

めいこさん流に言えば、「政府は犯罪組織、イエーィ♪」です。

陰謀論?うん、そうだといいと思います。けど、きっとそうではないです。

ということで、「食料危機はそんなに簡単に来ない」程度の話なら、多少、そうかもしれないなとは思います。しかし、けっして楽観できる状況ではないですし、「食料危機は来ない」とまで言い切るには、なかなか心もとない根拠しかないように感じました。

てなわけで、一応、真逆の意見にも目を通すのですが、私としては、やはり食料危機には備えていかないといけないというのが結論です。

手綱を緩める暇なんて、到底ありそうにありません


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