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【映画】「ちひろさん」ここまで心が開放された映画ははじめてかも

大人になってから特定の女優やタレントで”推し”というものを持っていなかったけど、ここ最近は有村架純が好き。

きっかけは「コントが始まる」というドラマで観た有村架純。
かわいいのはもちろんだけど、この方が演じる人物に対して好意を抱いてしまうほど演技が自然体で魅力的。

そんな有村架純が主演でしかも主題歌がくるりということでずっと観たかった「ちひろさん」をやっと観れたので備忘録を書いてみる。

あらすじ

元風俗嬢のちひろさんは海辺の田舎町の弁当屋さんで働いている。

風俗嬢であったことを周囲に隠さず飄々とマイペースに生きる彼女の魅力に街の人々も吸い寄せられるように集まってくる。

ホームレスのおじさんや、家庭環境や友達関係に悩む女子高生、シングルマザーのもとで孤独を感じている小学生、過去の父子関係に苦悩する青年などそれぞれに孤独を抱えている人々と交流することでちひろ自信も自らの孤独と向き合っていく。

それぞれ孤独を持つ登場人物の名言

作中のセリフで印象に残ったセリフがいくつかある。
あまり映画やドラマで共感できる言葉ってないけど、本作ではグッと来る言葉がたくさんあった。

みんなで食べた方がおいしいってよくいうけどさ、みんなで食べてもおいしくないものもあるし、1人で食べてもおいしいもんはおいしいよ

ちひろ

家族との食卓で味を感じないと言うオカジへの一言。
娘を持つようになって、将来、自分の理想の食卓像なんてのは強要するもんじゃないなと最近思っていた。
孤食を問題視しがちだけど、孤食でも美味しいものはおいしい。
みんなで食べて美味しければそれでいいし、美味しくなければ無理にみんなで食べる必要もない。
食卓に限らず固定観念にとらわれず、肩の力を抜くことを忘れないようにしたい。
あと、この話をしている横でおいしそうにおにぎりを頬張るマコトが可愛かった。

「”これいいね”って言ったらさ
”それいいね”って言ってくれて
”そうだよね”って言ったら
”そうだね”って言ってくれて
何か…それだけでよかったんだけどな」

ちひろ

本作で一番グッときた言葉がこれだった。
自分が言ったことに対していちいち否定してくる人間が苦手で、どうして単純に”そうだね”って言えないんだろうと思うことが結構あって、なんか「あ~」って心が開放された気分になった。
自分とは違う星に生きているだけなんだと思った。
最初は全部観る時間がなくて途中で止めようと思っていたけど、このセリフに共感しすぎてこのあと一気に観てしまった。

怖くないよ、夜は私たちの味方だからね

チヒロ

ちひろさんが子どもの頃に初めて自分と同じ星の人だと感じたチヒロさんの言葉。
自分も同じ星の人と出会ってみたいな。

人にも自分にも期待しないって決めたら少しだけ楽になったんだ

べっちん

これは自分も普段から意識していることで、共感した。
他人や自分に対して期待をするから、裏切られたときに勝手に失望する。
はじめから期待しなければ何もない。
べっちんは新しく友達ができたことに対して少し怖さを感じている。
けど友達ができたことは良かったと感じている。
ちひろさんの巡り合わせによってべっちんも少し前に進んでいる。

しばらく沈んどけ、人の体は浮くようにできてっから。
もがかなければ浮かぶんだよ。
ジタバタするから沈むんだって。

内海

これはかなりライフハックとしても役に立ちそう。
落ち込んだ時に紛らわそうとして何かをするとどんどん泥沼にはまっていってしまう。
そういうときは何もしないで沈んでいればいい。

最近ずっとリリー・フランキーのスナックラジオを聞いているから、リリー・フランキーが言うことは全部正しいんじゃないかと思う病気にかかっている。

登場人物の過去を深堀りしない

本作の特徴として、登場人物の過去を深く語らないところが面白かった。

弟からの電話に出るのに戸惑ったり、母が亡くなった知らせを受けても悲しまなかったり、オカジの家庭環境も表面的な部分しか見せなかったり。

今見ているのは目の前にいる人間のことであって、今までのことなんか知る必要がないと作中でも言っている。

それが作品の描き方にも影響している気がして、別にそんなこと関係ないよなーと思った。

家族であろうと分かり合う必要はない

自分は家族もいるし、友達も多少はいるけど割と孤独な人間だと思っている。
他人とあまり深く関わりたくないし、他人に興味もない。
とくに過去の話とか深い話をズケズケと聞いてくる人は苦手だ。

でも別にその人と一緒にいたり話したり楽しくするのが嫌なのではない。
これってなんなんだろうという思いはあった中で、この作品では

人はみんな人間という箱の中に入っている宇宙人で、それぞれ違う星の人だから分かりあえなくても仕方がない。

それが例え家族であろうと分かり合うことがすべてではないということを言っていてすごく楽になれた。

孤独を受け止め生きていく

なんで最後こんな楽しくなったのにちひろさんどっか行っちゃったんだろうと思ったけど、なんか楽しくなると寂しさ感じて結局孤独を感じるの分かる気がするな。

人と関わりつつも内面では孤独を感じている。
それでも孤独を受け止めて肯定して生きていく。

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