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No,263.認知症ケアについて【ユマニチュード】


はじめに

 現在、日本は世界一の高齢社会になっている。(出典:za(イザ!)総合ニュースサイト:産経デジタル)

高齢化が進むと、社会や経済にさまざまな影響が生じるだろう。

筆者作成

例えば、労働力人口の減少により、生産性が低下し経済成長が鈍化するだろう。また、高齢者が増えることで、医療や介護サービスの需要が急増し、これに対応するための人材や施設が不足することなどがあげられる。ここでは、後者の医療や介護サービスに焦点をあて述べてみる。

ユマニチュードとは何か?

高齢社会を迎えた日本では、加齢によって認知機能が低下するにつれてケア実施困難となる高齢者が増加している。

認知症の進行に伴って記憶の障害や失認・失 行などの中核症状だけでなく,徘徊,突然の興 奮,暴言・暴力,不安や睡眠障害などの行動・ 心理症状が合併するようになると,ケアの実施が困難となることが珍しくない(本田、2016)。

しかし認知症に関するケアについては介護従事者の経験や資質に依存せざる得ないのが現状だろう(本田、2016)。

ユマニチュードは、フランスの体育学の専門家であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティによって開発されたケア技法である。この技法は、特に認知症の方や高齢者のケアにおいて効果的とされる。
ユマニチュードとは「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語であり、ケアを受ける人の尊厳を重視したアプローチである。

ユマニチュードの4つの柱

ユマニチュードは、以下の4つの柱を基盤としている。

  1. 見る:相手を同じ目の高さで見つめることで、平等な存在であることを伝える。

  2. 話す:穏やかな声で前向きな言葉を使い、相手に安心感を与えます。

  3. 触れる:広い面積で優しく触れることで、相手に安心感と尊重を伝えます。

  4. 立つ:立つことによって生理機能を活性化し、人間らしさを保ちます。

ユマニチュードの5つのステップ

ユマニチュードのケアは、以下の5つのステップで構成されています:

  1. 準備:ケアを始める前に、相手に対して穏やかに話しかけ、安心感を与えます。

  2. 誘導:相手の動きをサポートしながら、ケアの準備を進めます

  3. ケアの実施:4つの柱を活用しながら、実際のケアを行います

  4. 終了:ケアが終わったことを相手に伝え、安心感を与えます

  5. 振り返り:ケアの過程を振り返り、次回に向けて改善点を見つけます

ユマニチュードの効果

ユマニチュードを実践することで、以下のような効果が期待できるといわれる。

  • 認知症の方が穏やかにケアを受け入れるようになる

  • ケアを受ける人の尊厳が保たれる

  • ケアを行う人と受ける人の関係が良好になる2

日本でのユマニチュードの普及

日本では、2012年に初めてユマニチュードが導入された。現在では、多くの医療機関や介護施設でユマニチュードが実践されており、その効果が広く認知されている。

このように、ユマニチュードはケアを受ける人の尊厳を重視し、穏やかで効果的なケアを提供するための技法である。

さいごに

高齢化社会が進む中、「介護」は誰にとっても避けることのできない問題です。
とりわけ、多くの場合家族が介護者となる「在宅介護」では、家族であるがゆえのムリや我慢が生じて、さまざまな負担やトラブルに見舞われ、
生活そのものが行き詰まるケースも少なくない。

今後ますます増える「老老介護」や「多重介護」など、問題はより深刻になっていくことをかんがえると、ユマニチュードについて知ることは重要だろう。

最後まで読んでいただきありがとうございます(^^♪

引用文献


本田美和子(2016)「優しさを伝えるケア技術 : ユマニチュード」『臨床精神医学』第45巻、号、pp573-577

日本ユマニチュード学会
 介護のほんね

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