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No,118.森林の浴槽「森林浴の効果を調べてみた」

※この記事は2分で読めます

近くにある山道を歩いたら気持ち良かったことがきっかけで、たまに山に登っている。

もともとストレス関係の研究を少しかじっていたので、森林浴(森林浴→ストレス改善効果)という言葉は知っていた。

確かに今まで読んできた論文結果のような効果はある気がする。

そんなこんなで、新たな趣味になりそうな森林浴(登山)は論理から実践に入ったケースである。


森林浴の効果

李(2009)によると「森林浴をするとストレスホルモンが減少し、免疫力が上がり、癌をはじめとするさまざまな病気の予防につながる」

その理由として、ストレス抑制によるナチュラルキラー細胞の増加があるという。ナチュラルキラー細胞とは癌細胞を自然に殺す細胞で、癌細胞の発生・増殖・転移を抑制する重要な役割を果たすといわれる。

つまり、森林浴でストレスが改善されるとナチュラルキラー細胞が増えて癌になりにくいといったことだろう。

また物理面でも、森林内の木が分泌するフィトンチッドのような生理的活性物質による効果もストレス改善に関係しているみたいです(谷田貝、1993)。

フィトンチッドとは、

1930年ごろロシア・レニングラード大学のボリス・トーキン(英語版、ウクライナ語版)が、植物を傷つけるとその周囲にいる細菌などが死ぬ現象を発見した。ボリス・トーキンはこれを植物が周囲に何らかの揮発性物質を放出したためと考えて、この物質をフィトンチッドと命名した。フィトンチッドは「植物」を意味する「Phyto」と「殺す」を意味する「cide」から作られた造語である。またマツやヒノキといった針葉樹から発散されるフィトンチッドが、森林の中でヒトをリラックスさせる成分であることを明らかにした(奈良・堀井、2010)

心理面で「気持ちいいな~」といったことだけではなく、免疫医学や物理面でも実証されているんだね。

森林浴の実験

1. 実験者と実験内容

①森林浴コース

男性35歳~56歳(12名)と女性25歳~43歳(13名)に2泊3日滞在してもらい、森林遊歩道を2.5km(2時間)散策(1日目・2日目)してもらった。

②都市部コース

同じメンバーで2泊3日滞在してもらい、緑の少ない都市部を2.5km(2時間)散策(1日目・2日目)してもらった。

結果

①森林浴コース

森林浴前に比べて、1日目、2日目ともナチュラルキラー細胞が活性およびナチュラルキラー細胞が増えた。

②都市部コース

ナチュラルキラー細胞の変化なし

ちなみに森林浴後の効果を調べた結果、ナチュラルキラー細胞の活性と細胞増加は1カ月持続効果があったらしいです。

最後に

森林浴をするためには、当然歩かないといけない。

有酸素運動(歩く)は、認知機能にいいことが多くの研究結果から導き出されているからね(Sabine K ,et al.2009;園田、2015)。

その前提として、「1回30分以上の運動を 週2回以上実施し、1年以上継続している者」を運動習慣があるひと(厚生労働省)と推奨しているように、継続することが大事なんだけどね。

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)

引用文献

谷貝光克(1993)「森林が放出する輝発生成分とその効果」『現代科学』第8号、pp36-41

奈良松範・堀井充・ 畔上浩史(2009)「フイトン・イフェクト::森林の新しい活用」『地球環境全集』第17号

奈良松範・堀井充(2010)「フィトンイフェクト:森林環境の活用 ガス分析と景観評価」『地球環境シンポジウム講演集』

Sabine Kubesch, Laura Walk, Manfred Spitzer, Thomas Kammer, Alyona Lainburg, Rudiger Heim ,and Katrin Hille(2009). A 30-Minute Physical Education Program Improves Students' Executive Attention. Mind Brain Educ, 3 , pp 235-242

園田悠馬(2015)「有酸素性持久運動プログラムが要介護認定者の脳機能に及ぼす影響」『滋賀医科大学雑誌』第28巻、第1号、pp1-8




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