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漫画みたいな話。(前編)

昨日、友人の金城小町から、サル(というあだ名の友人)が、面白いところに行ってきたよと話していた。
南城市に永久機関を発明したおじさんが居て、その永久機関を見学に行ったということで、その話が興味深すぎて気持ちが昂ぶっていたのだが、「そういや、サルさんはインターネットとか全然しないくせにそういう面白い話をどっから仕入れてくるんだろうね。あの、ポルターガイストレストランの話もサルが見つけてきたでしょ?」と言われ、ものすごく久しぶりすぎて忘れていたけど、あれはとてつもない経験だったなあと、昔書いた日記を探して改めて読んでみたらやっぱりかなり面白い出来事だったので、再掲しておこうと思う。
かなり長いのでいくつかに分けて載せていく。

※あまりに漫画みたいな話すぎて、信じがたいかもしれませんが、一切の創作はありません。これに登場する友人たち全員が経験した出来事ですのであらかじめ。


------2010年05月23日(日)の記事------  

これは、サルというあだ名の友人から聞いた話である。

沖縄県は北谷町に実に不可思議な飲食店があるというのだ。 

そこは一見、なにも変哲も無いただのイタリアンレストランなのだが、いつしか不可解な現象が起きるようになったと言う。 

最初の発端は些細な事である。あるときから店内の床によく輪ゴムが落ちていることに従業員が気づいた。
なぜ輪ゴムが毎日のように床に落ちているのか従業員は理解出来なかったのだが、ある日、従業員の一人の背中に、なにかが当たったような気がして振り返ると、さきほどまでは無かった輪ゴムが地面に落ちている。 

誰かが飛ばしたに違いないと考え、周りを見渡すも、人は誰もいないのである。 

その日を境に、どこからとなく輪ゴムが飛んでくるのを目撃する者が出てくる。 

やはり、輪ゴムの飛んでくる位置には誰も居ないのだから、これはどういうことかと誰もが思い始めた頃には、現象はエスカレートしていった。 

店のそばで飼っている犬が一点を見つめ、ヒドく怯えることがあり、どうしたもののかと近寄ってみると、犬の頭の上に輪ゴムがちょこんと乗っていたと云い、 また、ある日は、店から出た人物の後ろから輪ゴムが次々と飛んでくるのだ。 
それは決して誰もいない店の中からだったと云う。 

いよいよさすがに店内に見えないナニカがいるとなり、お祓いを頼み、現象は一旦収束するかのように思えた。 

しかし、それでは終わらなかった。 

今度は店内の床にビー玉が転がっているようになったのだ。 

誰が持ってきたでもないそのビー玉をまた従業員は拾い集め、入れ物の中に入れていたのだが、そのビー玉は増える一方で、遂には信じられないものを目の当たりにすることになる。 

何もない空間からビー玉がストンと落ちてくるのである。 

やはり、それも一度だけではなく何度も起こるのだから、当然そこにくる一般客も目撃することがある。 

ある日、とある客は、水の入ったグラスの中に、突然ビー玉が落ちる瞬間を目撃し驚愕する。 
天井の位置からではなく、水面ギリギリの高さからビー玉が降ってきたのだという。 

いつしか、そこは知る人ぞ知る、超常現象が見る事が出来るイタリアンレストランとなり、恐いもの見たさで携帯電話のムービーモードで店内の様子を撮影しながら食事をする客が増えたのだという。 

ちなみに、その怪奇現象が起きる瞬間を見事撮影に成功した映像もあったようで、ハレルくんという別の友人はその映像を確認したので、現象は間違いないと言うのだ。 


もちろん、ここまでの大ごとになったら、このレストラン側もこれは霊の仕業と考え、名のある霊媒師や、ユタ(沖縄における"イタコ"のようなもの)に相談するのだが、誰もまともに取り合ってくれなかったそうだ。 

レストランは実に困った。 
確かに実害は無いものの、なにせ不気味で仕方ないのだ。 

そんな折、このレストランの噂を聞きつけた、とある研究家がこの現象の正体を断言したという。 

『これは、間違いなく宇宙人の仕業です!!』(by / UFO研究家) 

そうか… 

そうきたか!!!!!! 

幽霊でもいい!宇宙人でもいい!僕にも遂に不思議体験ができるチャンスが巡ってきた!
その話を聞いた瞬間から、僕はサルくんと共に『ミステリー(実証)サークル』を結成し、その日の木曜日に噂のイタリアンレストランへと踏み込むことにした。



------2010年05月28日(金)の記事------

僕たち"ミステリー(実証)サークル"は、このほど宇宙人がいるという噂のイタリアンレストランへ行ってきたのだ。 

そのレポートを今ここに記そうと思う。 

時刻は5月27日(木)18時半頃。 
新潟から引っ越してくるケンジくんを空港へ迎えにいき、その後、我々ミステリー(実証)サークルは、目的のレストランへと潜入。 

店内に入ると、話に聞いた"頭に輪ゴムが乗った犬"であろう犬が出迎えてくれる 

「予約とか必要な立派なレストランだったらどうしよう」という考えとは裏腹に、こじんまりとした広さの個人経営のお店であり、メニューも決して高価な値段と言うほどのものでもない。 

まずは一安心だ。 

安心ついでに、一同は食べものやドリンク類を早速頼むことにする。 

小洒落た店内を見回し、いつ何が起きても良いように警戒する我々だが、何も起きる様子は無い。 
それでも、僕は何度も地面を見渡し、ビー玉や輪ゴムが落ちてやいないか確認をしていた。 

奇怪な現象は起きる事無く、飲み物や料理は運ばれ、それを食す。 
このときだって、一切注意は抜かりない。何度も皆のグラスの中にビー玉が入ってやしないか確認したのだが、何も起きる事は無い。 

食事を終え、しばらく談笑するも、平穏そのもの。 

しかし、なにも起きないからとそこで諦めてしまう程度が、我々ミステリーサークルではない! 

お店のことは、そこの店員に聞くべし! 

と、オーナー風の男性に、話を始めたのが、今回の実証ツアーの発起人でもあるサル団員である。 

サル 
「すみません、非常に聞きづらい事なんですが、いいですか…?」 

男性 
「はい、なんでしょう?」 

サル 
「ここの店で、輪ゴムやビー玉が飛び交うと聞いたのですが、」 

男性 
「ぇ、、え?なんのことでしょう?」 

サル 
「友人から、ここの店で何もない空間からビー玉が落ちたりすると言ってたんです。」 

男性 
「あ、へえ、、そんなことが…。」 

平静を装っているようだが、明らかに動揺しているのが見て取れる。 

そこから我々は切り込んで言った。 

ゆう 
「僕らはそれがどうしても見たくて来たんですが、本当にあるんですか?」 

男性 
「いや、もうちょっとその話は…」 

サル 
「あれ、その言い方はやっぱり本当のことなんですね!」 

男性 
「すみません、もうそれは終わった事なので、お話できないんです。」 

ケンジ 
「僕はここに来るために新潟からやってきたんです!!」 
テキトーこと言って、ケンジくんも勢いで乗っかってくる。 

男性 
「そんな遠いところから…?いや、でももう解決したことなので…。」 

サル 
「解決したってことは、原因が究明できたってことですよね?正体はなんだったんですか?」 

男性 
「すみません、それが分かったので、もう今は言えないんです。」 

ゆう 
「そこをどうか!僕たちは自分たちが知らない真実ってのを見たくて仕方がないんです!!」 

しばらくはずっとこの押し問答が続き、男性店員も決して口を割ろうとしなかった。 

普通ならここらで食い下がるものだろうが、幼い頃から名探偵コナンから金田一少年などの探偵ものの漫画やアニメで胸を躍らせ、知的好奇心が育くまれていったのが男の子というもの。 
(今回のサークル団の中には女性陣もいたのだが、完全に少年化した男たちの勢いについてくのが精一杯で、喋る間がほとんどなかった。) 
いつの時代だって、真実を解き明かさなくちゃ気が済まないものである。 

そりゃ、知らない方が面白い真実があるのも事実。 
しかし、謎解きもなにもする前から、はなから不思議は不思議で終わらせてはつまらないものだ。 

【私たちは神秘を結末ではなく始まりとみなす。すなわち、探求の始まりであり、さらに大きな神秘につながっていくものとみなすのである。 神秘を保っておきたいがために神秘的なものに手を触れないでおこうとするなら、探求は止んでしまい、知識の探求は終わりとなる。これは知られざるものを崇拝することへの高い代償である】 

とは、"クリティカルシンキング 不思議現象篇"よりT・シック・ジュニア&L・ヴォーンの言葉である。 
誰だかさっぱり分からないが、実に良い事を言う。 
畏怖の念は実に大事であるが、それにより思考停止に陥っては元も子もない。 

そんなわけで、僕らはこの謎を解くために、しつこく質問攻めをするのだった。 

それはそれは本当にしつこく。 

もう、男性はほとほと困り果てた様子ではあったが、適当に話を流すことがかなわないと思ったのか、何かを警戒するように遂には店内の扉を閉め、他の客が来ないようにした。そして、仕切りに何かに怯えるように、言葉を選び選び返事を返していた。 

この時点で聞き出せたことはこうである。 

◆輪ゴムやビー玉が飛んできたことは確か。 
◆今までに合計で100~500個ほどのビー玉が降ってきていた。 
◆実はビー玉以外のものも降ってきたりした。 
◆ひとつ言える事は決して人為的なものではない。 
◆心霊や、科学の専門分野の人たちに聞いたが原因は分からなかった。 
◆また、UFO研究家の矢追純一も調査に来たが、連絡が途絶えた。 
◆なぜこういう事が起きたのか結局原因は分かったが、それは言えない。 
◆そして、この現象はもう起きる事は無い。 
◆この話をすることは決して私の役目ではない 
◆詳しく話せば命に関わるかもしれない 
◆はっきりと言えることはこの先、"すごいこと"が起きるということ 
◆その"すごいこと"が何かは、やはり言えない 

聞けば聞くほど謎が深まるばかりで、なかなか確信に近づくことができない我々であったが、サークル団員たちの目はもはや名探偵ばりのギラリとした眼差しへとなっていた。 

男性はしきりに店内奥のキッチンの方へ不安そうな目配せをしているのが、見るからに分かる。 

この人は言いたくても言えない理由がある。 
それでも僕たちは切り崩していかなきゃならない。 
とりあえず、僕らの席に座らせた 

ここで男性は初めて僕らに質問を投げ返してきた。 

男性 
「その前に、なぜみなさんはここの出来事を知っているんですか?知る事ができないようになってるはずなのですが…」 

サル 
「え?それは口止めされてるってことですか?」 

男性 
「いや、そういうことじゃなくて、ここで起きたことをみんなが忘れちゃうんです。」 

サル 
「ぼくの友人がビー玉が降ってくる映像を見たそうです。その映像が残ってるからじゃないですか?」 

男性 
「なるほど、記憶が薄れていっても、映像が残っていたら覚えてられるのか…。」 

確かに現象を目撃した人たちでも、時間が経つと、そんなことがあったなんて奇麗さっぱり忘れている事が多いらしく、一時期は恐いもの見たさの客等も来ていたが、ここ数ヶ月パタリとこの"ビー玉"の件の話をする者も居なくなったという。 

その後、現象の正体、そして原因が分かると、現象も収まり、僕たちが来るその日まで平穏な日々が続いていたらしい。 

ゆう 
「僕、最初、この話を聞いたとき、輪ゴムやビー玉っていうチョイスが子どもっぽくて、これは座敷童の仕業じゃないのかなって思ったんですよね。」 

男性 
「いや、宇宙人や幽霊とか、そういう類いとも少し違うんだよね。」 

ケンジ 
「じゃあ、未来人がやったんですかね?」 

「あ…、少しだけ惜しいのかもしれない。ただ、やっぱりこれ以上は話せない。」 
男性は答えた。 

サル 
「っていうか、おじさんはなんで、この現象の正体も理由も分かったんですか?」 

男性 
「いや、それを言うと…」 

ゆう 
「あの、もしかしてですけど…、"手紙"が届いたんですか?」 

ざわざわざわ… 

この僕の一言により、マンガ『賭博黙示録カイジ』を彷彿させるくらいの勢いで一瞬で場の空気が激変した。 

男性 
「な!!!なんで、そこまで!?誰から聞いたの!??」 

もう、完全に動揺を隠せない男性であるが、早く話の核心を知りたい僕は「勘です」とだけ答えた。 

実際は、勘と言うよりは、話の節々を手繰り寄せて導き出しただけなのだけど、それをわざわざ、「こうこうこうで、こういう推理をしました」なんて言うと、男性が余計に言葉を選んで情報が得られなくなりそうだったので、伝えるべきではないと判断した。 

ゆう 
「これから起きる"すごいこと"っていうのも、その手紙に書かれてたんですよね?一体、なにが起きるんですか?」 

男性 
「いや、本当にそれは言えない。」 

サル 
「その前に、おじさんが話せないワケってなんでなんですか?」 

男性 
「私や君たちに不吉なことが起きるかもしれない。今までも興味本位や遊び半分で来た人たちがヒドい目にあってきたから。」 

ゆう、さる、けんじ 
「「いや、俺たち遊びじゃない!本気っすよ!!!」」 

けんじ 
「それに、どんな不吉な事があったって、愛の力さえあれば乗り越えることが出来るから、大丈夫っす!」 

男性 
「愛の力か…。」 

このときまで緊張していた男性の顔がゆるみ、ほくそ笑んだことを僕は見逃さなかった。

そう、この"愛の力"。 
一聴するとチープな響きの言葉だが、実は今回の現象の核心に迫る言葉だったのだ。 

男性は立ち上がり、何度かキッチンの中に入っていき、そこから出てくると、こう答えた

男性 
「ちょっと、カウンターで話そうか。」 

僕たちは遂に、真実を知るチケットを手に入れたのだ。 

僕たちが店内奥のバーカウンターへ移動するときに、男性は言った。 

男性 
「きみたち、輪廻転生って言葉わかるかい?」 

そう、こっからはもう、ゲームとか漫画レベルのトンデモナイ話を聞くことになる。 

さらには、ウソみたいにホントの衝撃的な展開が待ち受けているなんて、誰が予想しただろうか。 

しかも、これが全部ホントの話だって云うんだから人生何が起きるか分かったもんじゃない。ではでは、まだ続きます。  

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